厚生労働者が公表した平成27(2015)年11月実施の『国民健康・栄養調査』(対象:無作為抽出の約5300世帯)の結果、我が国日本では喫煙率は前年比で1.4ポイント減の18.2%で過去最低を更新しました。

質問には7066人が回答を寄せ、男性層が前年比で2.1ポイント減の30.1%、女性層は同0.6%減の7.9%です。

後者の微減ぶりがやや気になるが、厚労省側は

  • 『健康意識自体の高まり』
  • 『消費税によるタバコの値上げの影響』

との見方をしています。

禁煙をする人も増えていますが、まだまだ吸い続けている人も多くいる日本。

受動喫煙の問題もあり、禁煙個所も増えています。

では、今日、世界的なレベルでの受動喫煙・喫煙事情はいったいどうなっているのでしょうか?


【2008~2014年】88カ国5300万人が禁煙に成功

禁煙 日本 受動喫煙

12月12日の『Tabacco Control』(オンライン版)に、なかなか興味深い最新の知見が掲載されました。

注目の研究論文は、2005年から始まったタバコの規制に関する世界保健機構の枠組み条約(WHO FCTC)の影響を世界的視野でレビューしたものです。

解析を行なったのは、ジョージタウン大学ロンバルディ総合がんセンター(米ワシントンD.C)の腫瘍学教授であるDavid Levy氏らの研究チームです。

結果、WHOが謳うこの世界的なタバコ規制プログラムの効果によって、2008~2014年の間に88カ国5300万人もの禁煙(者)を後方支援できたとの数値が導かれました。

 

Levy氏らの解読によれば、この喫煙率低下の影響によって、対象国全体の累計で2200万人近くの生命が救われた計算になるということです。

禁煙に有効な各種の対策とそのおおよその有用人口の内訳は、『高いタバコ税効果』で700万人、『禁煙法』で540万人、『健康被害警告によるもの』で410万人、『販売禁止が導いた結果』が380万人です。

件の枠組み条約下、6年間でこれだけの人々の『生命を救うこと』に有用な結果が得られ、禁煙(者)への取り組みは、『150万人の生命を救うことに寄与した』と同報告は綴っています。

 

受動喫煙の首位は『飲食店』の41.1%

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これらの数字は近年、健康被害警告と高い税金を課したバングラディッシュや、健康被害警告に取り組むベトナム、禁煙法や広告の制限に積極的なロシア連邦などの政策実施が影響して高まった、とも報告されています。

『今回の研究結果は、効果が証明されているタバコ規制政策を持続的に実施すれば、さらに何百万人もの生命が救える可能性がある点を示唆している』(Levy氏)

折しも12月4日に韓国・釜山で行なわれた日中韓3カ国の保険相会合では、いずれも五輪・パラリンピックの開催(平昌・18年冬季、東京・20年夏季、北京・22年冬季)を控える立場から受動喫煙防止対策を強化する方向で一致しました。

 

これはいうまでもなく、国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機構(WHO)が掲げる『タバコのない五輪』を反映したものです。

具体的には公共の場などでの全面禁煙をめざし、対策強化に3カ国が協力し合う項目を盛り込んだ共同声明を採択したのです。

一方、前掲の厚労省調査では『1カ月間の受動喫煙の有無』を場所別に複数回答する設問もあり、非喫煙者5771人が答えているが、首位は『飲食店』の41.1%となっています。

2位がパチンコ店などの『遊技場』、3位が『職場』『路上』の30.9%と続いています。

 

しかも同省の『健康日本21』が掲げる飲食店での受動喫煙経験値、その目標値が『15%』というから、目下の現実とは大きくかけ離れているようです。

こうした喫煙・禁煙事情の世界比をしてもやはり、わが国はガラパゴス化が著しいのでしょうか。

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【海外の反応】オリンピックに向けて

禁煙 日本 受動喫煙

4年後は東京での開催となるオリンピックです。

実は、オリンピック開催国として、禁煙をどう進めるかが、議論になっているのです。

WHOが、日本の受動喫煙に関する取り組みは世界で最低レベルだと指摘する中、『たばこのないオリンピック』を実現するための課題とは一体?

 

【リオ】屋根があるだけで法律上は禁煙

リオデジャネイロの会場では、禁煙マークがはられていました。

実はリオでは、すべての屋内施設でたばこを吸うことができないと法律で決まっており、『喫煙スペース』もないのです。

屋根があるだけで“屋内”とみなされるので、開放感のあるオープンカフェのような飲食店でも禁煙になるのです。

従業員はどう思っているのでしょう。

『たばこを吸わない人は、喫煙者の煙を吸いたくない。モラルを持って、マナーを守るべき。だからこの法律には賛同します』

屋根があるだけで、たばこが吸えないというのは、吸う人にとって厳しいものです。

しかし、こうした禁煙の動きは世界で、特にオリンピック開催国では進んでいるのです。

 

【北京】日本以外では罰則付きの規制

中国・北京では、2022年に冬季オリンピックが開かれることになっているが、そこに向けて禁煙化が進められています。

例えば、屋根のある公共の場所では原則、喫煙ができないのです。

違反した喫煙者には最高で約3000円の罰金、禁煙を徹底していない施設には、最高で約15万円の罰金が科せられるようになっています。

北京のほかにも、バンクーバー、ロンドン、ソチ、そして今回のリオデジャネイロ、2年後の韓国・平昌と、それぞれ開催地で屋内の喫煙に関する規制があり、罰則もあるのです。

 

受動喫煙で年間60万人が死亡

『禁煙化』がオリンピック開催地で進められているのはどうしてなのでしょう。

実は、WHO(=世界保健機関)が、他人のたばこの煙を吸う受動喫煙によって、年間で推計60万人が死亡していると訴え、2010年から世界的なイベントでの『禁煙化』を求め始めているのです。

これにIOC(=国際オリンピック委員会)も賛同し、共同で『たばこのないオリンピック』を推進しているという背景があります。

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罰則付きの規制がない日本

ただ、これまでの開催地と違って、東京では罰則付きの規制は今のところありません。

規制がすすんでいない理由には、たばこ農家の組合など、たばこ業界の反対もあるが、まず第一にたばこを吸える場所と吸えない場所を区切る『分煙』にするのか、それとも屋内をすべて『禁煙』にするのか、といった問題もがあるようです。

 

東京の飲食店などでは『分煙』スタイルが浸透しているが、日本フードサービス協会はお客さんが自由に選択すべきだとしていて、『分煙』を支持しています。

たばこを吸うお客さんが離れてしまうことへの抵抗感もあるのかもしれません。

一方、東京都の医師会は『分煙』では、煙を完全に防げないとして飲食店での全面禁煙を求めているのです。

 

屋内の全面禁煙に踏み切れない理由

海外と東京では“屋外”での喫煙事情が異なっています。

海外では、屋内は全面禁煙とされていても、路上など屋外では灰皿や『喫煙スペース』が多く整備され、たばこを吸いやすいといいます。

これに対し、東京では路上などでは、ポイ捨てや歩きたばこを防ごうと路上喫煙を条例で禁止する自治体が多くあります。

つまり、海外にならって屋内を全面禁煙とすると、外でも中でも吸えないということになるのです。

こうした現状から、屋内の『全面禁煙』に簡単には踏み切れないという状況です。

 

【日本】世界基準を目指す

そうはいっても、オリンピック開催にあたっては、WHOやIOCが『禁煙化』を求めていることから、きちんと考えていかなければなりません。

ポイントになるのは『世界基準』です。

たばこを吸う人の権利は守られるべきだが、WHOは、日本の受動喫煙に関する取り組みは世界で最低レベルだと指摘しています。

世界中の観光客をおもてなしするためにも、なんとか環境を整えて2020年を迎えたいものですね。

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まとめ

禁煙 日本 受動喫煙

日本の禁煙・受動喫煙問題はまだまだ難しいようですね。

喫煙ルームを設けたり、分煙をしていたりというのは多くみかけますが、禁煙をするというところまではなかなかいかないようです。

体の為にも、周囲の人のためにも環境のためにも、これからの活動が良い方向へ進むことを願います。