胃腸炎と一言で聞いてもその症状や原因は様々なものがあります。

熱があるだけでなく下痢の症状もある場合に、最も可能性が高いのは『感染性胃腸炎』です。

下痢という消化器に関係する症状であっても、実は全身に関わる病気が隠れていることもあります。

また、発熱と下痢の症状がみられたとき、原因として考えられる病気や対策は年齢や性別によって異なります。

今回は胃腸炎に関する『発熱と下痢の仕組みと考えられる病気、対策・対処法』についてご紹介していきます。


発熱が起こる仕組み8つの段階

下痢発熱

  1. 発熱は細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る反応です。
  2. 体温は脳にある視床下部という部分で調節されています。
  3. 体内に病原体が侵入すると、その病原体をやっつけるために免疫細胞が働きます。
  4. この免疫細胞は、平熱よりも高い温度の方がより強力に働くことができます。
  5. 視床下部は防御力を高めるために体温をあげるよう全身に命令を出します。
  6. すると、手足の血管を収縮させ、身体の表面(皮膚)に近い血液を身体の中心へと移動させます。
  7. 熱が逃げないようにしたり、身体を震えさせることで新たに熱を作り出したりします。
  8. そして発熱させ、体温をあげているのです。

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下痢が起こる仕組みとは?

下痢発熱

下痢は『便に含まれる水分が多すぎる状態』です。

私たちの消化管には1日の間に、

  • 食事や飲み物から摂取する水分約2L
  • 食べ物を分解するときに働く唾液や胃液、腸液などの消化液7L

計9Lの液体が流れています。

このうち99%は腸で吸収され、便に含まれる水分はほんの100gです。

このバランスが崩れた場合、たとえば、摂取する水分量や消化液の分泌量が多かったり、腸の吸収力が落ちてしまったりすると、簡単に下痢になってしまうのです。

また、腸に炎症がある場合、働きが悪くなることで吸収力が落ちるのもそうですが、その部分から血液や細胞の中に溜まっている水分が漏れ出てしまうことでも便の水分量が増えることになり、下痢を引き起こします。

 

これが辛い!発熱と下痢が同時にみられる原因

下痢発熱

感染性胃腸炎

 

ロタウイルス、ノロウイルスなどのウイルスやサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどの細菌感染が原因です。

症状は

  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 脱水
  • 発熱

などがみられます。

発熱は、病原体に対抗するために生じるものですが、下痢や嘔吐で水分が大量に失われて脱水になってしまうことで、身体に熱がこもりやすくなることも原因の一つとして考えられます。

下痢は、腸の炎症によっても生じますが、身体から病原体を排除する働きもあります。

身体の中に病原体を留めないために、消化管の動きを活発にさせることで、消化吸収する前に腸を通過させ、下痢便として排泄させています。

 

炎症性腸疾患

 

潰瘍性大腸炎、クローン病はいずれも『難病指定の特定疾患で、消化管の広い範囲に炎症を起こします』

20代~30代の若い人に発症しやすい自己免疫性の病気です。

自己免疫とは、自分自身の細胞を誤って敵として認識して攻撃してしまうことをいいます。

潰瘍性大腸炎では男女差はありませんが、クローン病はやや男性に多いことが知られています。

それぞれの症状として、潰瘍性大腸炎では、結腸から連続的に病変が広がっていき、炎症部から出血が生じることで粘血便や貧血がみられます。

これに対し、クローン病では消化管のどこの部分にでも炎症が生じるため、肛門周辺のできものや口内炎なども特徴的です

『2週間以上発熱と下痢』が続く場合は炎症性腸疾患が第一に疑われます。

 

免疫不全症候群

 

免疫系の遺伝子に異常があり、『生まれつき免疫力が低く、感染症に対して抵抗力が異常に低い病気』です。

一度風邪をひくとなかなか治らず、重症化しやすく、治ったとしてもまた再発してしまうということを繰り返します。

皮膚や口、消化管の粘膜に感染が起こることが多く、にきびや口内炎ができやすかったり、発熱や下痢が続いたりします。

下痢が続く状態では栄養が十分吸収できないため、周りの子と比べると成長に遅れが出ることもあります。

 

甲状腺機能亢進症

 

甲状腺とは首の前にある小さい臓器で、新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンを分泌しています。

バセドウ病や亜急性甲状腺炎などの甲状腺の病気では、甲状腺の機能が亢進し、じっとしている場合でも身体は常に運動を続けているような状態になってしまいます。

この結果、

  • 動悸や息切れ
  • 発熱
  • 大量の汗
  • 手の震え
  • 体重の低下

などの症状が現れます。

また、消化管の動きも活発になることで、消化・吸収が間に合わないうちに運ばれてしまうため、下痢の症状もみられます。

甲状腺の病気は女性に多く、20歳~40歳代に発症しやすいといわれています。

このほか、腹膜炎などの病気でも下痢の症状がみられることがあります。

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【対策】熱・下痢があるときの対処法は?

下痢発熱

下痢に対しては、『水分を何回にも分けてゆっくりと摂ります』

これは下痢によって多量の水分が体から奪われていることにより、脱水になるのを防ぐためです。

冷たい物をごくごく飲むと腸を刺激しさらに下痢を悪化させるため、白湯や常温のお茶、スポーツドリンクなどが好ましいです。

また下痢が始まって半日~1日は『絶食して腸を安静にしましょう。』

食べ始めはお粥やうどん、スープなどの消化の良いものを食べます。

 

腹痛に対しても下痢の対処法と同じように『腸を安静にすること』が第1です。

温めたり、前傾姿勢をとることで痛みを和らげる効果が期待できます。

発熱は病原菌を倒すために体が反応しているので、あまり急激に熱を下げてしまわない方がいいのですが、あまりにも高熱になると、熱に弱い脳がダメージを受けてしまう恐れがあります。

そのため頭は冷やすようにしましょう。

悪寒が起こっている時は無理に冷やさず体を温めます。

 

体温が上がりきったら、今度は汗をかくなどして体温を下げようと体が動きだすので、暑いと感じた時に体を冷やし始めます。

体を冷やすポイントとしては、大きな血管が皮膚に近い所を通っている場所を冷やします。

首や脇の下、足のつけねを冷やすと効果的です。

脇の下で体温を測っている場合は、両方を1度に冷やしてしまうと正確に体温が測れないので、片側ずつ冷やしてください。

 

【対策】子供に熱・下痢があるときの対処法は?

下痢発熱

食事はおかゆややわらかくゆでたうどんにします。

食欲がない時には無理に食べさせる必要はありません。

食欲があっても消化の良いものにしましょう。

消化の良いものとは豆腐や麩、鶏肉、白身魚など離乳食に使える食材が目安になります。

家族の食事を作る際に、味噌汁や煮物などに豆腐や麩を入れて取り分けると手軽です。

ベビーフードのうらごし野菜を利用してもよいですね。

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まとめ

下痢発熱

発熱と下痢の症状がみられたとき、頻度としては感染性胃腸炎のような消化管の感染症が最も多いです。

しかし、炎症性腸疾患やバセドウ病などの自己免疫疾患や免疫不全症など、全身に関わる病気が隠れていることもあります

  • 発熱や嘔吐、動悸などの下痢以外の症状がある場合
  • 症状が落ち着かずに長引くような場合

は、食べ過ぎかな、冷えたかなと自己解決せず、『医療機関で適切な治療』を受けるようにしましょう。