社会不安障害とは?ひきこもりや不登校もケアする遠隔診察『オンライン精神医療』の現状・きっかけ

社会不安障害とは?ひきこもりや不登校もケアする遠隔診察『オンライン精神医療』の現状・きっかけ

病は気から、なんて言われていますがこれは本当に的を得ているのではないでしょうか?

『5大疾病』のひとつとされ、もはや誰でもかかりうる病気となったのが『精神疾患』です。

『精神疾患』には様々な背景があり、ひきこもりや不登校も含まれ、社交不安障害という可能性もあるのです。

ひきこもりや不登校などの社交不安障害は長い期間にわたることが多いため、通院やケアには負担がかかるものでした。

そんな精神科の診療・ケアをオンラインで行なうことを可能にし、通院負担を軽減する取り組みを始めたところもあるようです。

社会不安障害ってどんな病気?

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初対面や目上の人と会ったり、大勢の人の前での発表や発言などの社会的状況や行為の際に、緊張したりまたその前に不安になるのは自然なことですよね。

通常その不安や緊張は、会話や発表、発言に支障をきたすほどではなく、時間とともにやわらぎ、そのような対人場面を何度か経験することによって慣れていくものです。

 

しかしながら、このような社会的状況や行為の際に生じる不安や緊張とそれにともなって現れる身体の症状が、会話や発表、発言に支障をきたすほど著しく、その苦痛から社会的状況や人前での行為を避けたくなってしまい、その結果、社会生活に障害がでてしまう状態が社会不安障害というものです。

社会不安障害では、緊張症状がすぐにはおさまらずに意識すればするほど強くなり、さらに何度やってもなかなか慣れないため、徐々に自信を喪失し、消極的になってしまうのです。

これまで

  • 対人恐怖症
  • あがり症
  • 赤面恐怖症

と呼ばれていたものもこの障害に含まれるものです。

 

社会不安障害でみられる症状

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社会不安障害の患者様は、自身が不合理と思うほど、周囲からの否定的な評価を過剰に恐れ、自分が失敗したり、恥をかいたりする可能性がある状況や行為に恐怖を感じます。

具体的には、よく知らない人と会ったり、注目されるような発表や発言をもとめられたりするなどの社会的状況、人前での電話をかけたり、食事や字を書いたりするなどの社会的行為に対して強い恐怖をいだいてしまうのです。

また恐怖にともなって

  • 緊張
  • 赤面
  • 発汗
  • ふるえ
  • 動悸
  • 声がでない
  • 息苦しさ
  • 腹痛
  • 尿意頻回
  • ぎこちない行動

など身体の症状が現れるため苦痛が強く、さらに、この身体の症状が余計に周囲に『変に思われるのではないか』という不安につながり、緊張症状を強める結果となるのです。

そして、これらの状態がまた起きるのではないかと恐怖し(予期不安)、社会的状況や行為を避けるようになってしまいます(社会恐怖:回避行動)。

社会不安障害になると、社会的状況や行為を避けるようになりますので、本来の能力を発揮する機会もなくなり、自信も喪失してしまうのです。

その結果、職業の選択が制限されたり、教育の可能性を失ったり、社会的技能の習得や結婚の機会を逃がすなど、仕事や学校、家庭をはじめとする社会生活に支障が現れてしまいます。

さらに避ける社会的状況が増えていくと、‘引きこもり’につながる場合もあるのです。

社会不安障害になりやすい人の特徴

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社会不安障害に特異的な性格傾向というものは、統計学的には見い出されているものではありません。

他の不安障害に共通して、神経質傾向(不安になりやすい傾向)が強い方がなりやすいようです。

特に、森田神経質

  • 内向性
  • 過敏
  • 心配性
  • 理想主義
  • 完全主義

などという性格傾向を持つ方は社会不安障害に陥る危険があると考えられますが、その一方で、遺伝的要因も考えられているのです。

他人の拒絶に対する過度の恐れ、引っ込み思案、劣等感を特徴とする回避性人格障害は、社会不安障害の重症型と考えられます。

 

発病するきっかけ・原因

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社会不安障害は他の不安障害と比較して早い時期に発病するものです。

多くは10代半ばに発病する一方で医療機関への受診は30代が中心と遅いため、発病のきっかけについてはよくわかっていませんが、発病に先立つストレスの関与も推測されます。

思春期に対人緊張を意識し始め、学生時代は緊張場面を回避しながら過ごしてきた方が、就職後に回避できなくなり社会生活上で支障をきたして受診される場合が多いでしょう。

社会不安障害の原因については、現在の所よくわかりません。

 

脳内の神経伝達物質である

  • ノルアドレナリン
  • セロトニン
  • ドパミン

の関与や社会的状況における認知的な脆弱因子、社会的技能の欠損、遺伝要因などの仮説があるようです。

その中でも不安障害の恐怖症状

  • 社会恐怖
  • 広場恐怖
  • 単一恐怖

などについては脳内のメカニズムが明らかになりつつあるようです。

人が様々な刺激に対して不安や恐怖を獲得する過程において脳内の扁桃体という部分が重要な役割を果たすと考えられます。

 

扁桃体は感覚入力を担う視床、物事を捉える前頭前野、記憶をつかさどる海馬、自律神経(交感神経・副交感神経)を制御する視床下部などと神経ネットワークを形成しているものです。

このネットワークを介して扁桃体は刺激に対する恐怖を学習したり、危険を察知して回避する防御機能を担ったりするのです。

人が危険を想像したり、察知したりすると扁桃体の神経細胞が興奮して予期不安や恐怖が引き起こされるようです。

 

さらにその興奮が交感神経の活動性の亢進を招いて、心拍数や呼吸数の増加、発汗、ふるえなどの身体症状が表れます。

これら扁桃体の神経細胞の興奮過程にはセロトニン神経機能が関与しており、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、この神経細胞の過活動を抑制することによって恐怖症への治療効果を発揮すると考えられます。

オンライン診療が可能になったきっかけは?

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診療所の多くで、児童や思春期の患者さんが多いことはよくあることですが、ひきこもりや不登校で、途中から診察に来られなくなってしまい、治療が中断してしまう患者さんが少なくないのも現状です。

一方、仕事で帰りが遅くなってしまい、診療時間に間に合わない患者さんもいたのです。

また、そもそも医療機関を受診するタイミングが遅く、『ここまで悪化するより前に、もっと早く来てくれれば』と思う患者さんも少なくないのです。

やはり通院というのは煩わしさもあるものなので、『やめる理由』が何かあると、どうしても来なくなってしまうのです。

できるだけ通院のハードルを下げる仕組みとして、オンライン診療の可能性を探っていたのです。

 

厚生労働省の『通達』

平成27年8月に出された『情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について』という通達でした。

これは平成9年に出された通達の改正なので、まずは平成9年の通達について説明しましょう。

当時はインターネットも十分発達しておらず、主にテレビ電話を通した遠隔診療を想定していたのです。

この通達では、遠隔診療ができるのは『離島』や『へき地』で、なおかつ症状が安定している患者に限りました。

適用できる病気も示されていますが、そこに精神科は入っていなかったのです。

ところが昨年8月の通知では、これらはあくまでひとつの例示に過ぎないことになったのです。

この通達を受けて、医療システムの提供を行なっている旧知の会社『メドレー』に遠隔診療システムの開発についてアドバイスを行いながら、開院に向けて動き出しました。

 

外出や通院そのものが困難だという患者も

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医療機関を受診できない人とは?

社交不安障害や強迫性障害の症状で、外出や通院そのものが困難だという方もいます。

また、本人の代わりに家族が来て、相談だけで終わってしまったり、薬だけほしいと訴えるケースは、どの医療機関でもあることです。

 

働いている方は?

『仕事のため平日はなかなか受診できないので、日曜日は開いていませんか?』という問い合わせは多くみられました。

そういう方でも、昼休みや仕事が終わった後に10分ほどテレビ電話で診察を受ける時間なら作れるという人はいるでしょう。

オンライン診療は、そのような時間のやりくりで受診のハードルが下がる可能性も秘めているのです。

まとめ

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ひきこもりや不登校などの社交不安障害だけではなく、様々な精神疾患の人のケアをすることができるオンライン精神医療はこれからの時代、多くの人が利用できて良いでしょう。

病院へ行くことも苦痛に思う人のケアにはオンラインで受診できることはとても負担を減らすことができますよね。

オンライン精神医療によって多くの人が救われると良いですね。

 

社会不安障害とは?ひきこもりや不登校もケアする遠隔診察『オンライン精神医療』の現状・きっかけ

3 件のコメント

  • fuannna より:

    社交不安障害は私にも言えるかもしれません。ですが周りの方達のサポートのお陰で何とか生活出来ています。感謝しなければいけません。

  • 大変ですね より:

    私は日中 家でパソコンの作業を続けていますが、ひきこもりのような心になっているかもしれません。家族や地域の方と仲良くしてそうならないように心がけたいです。

  • ネットで便利 より:

    オンラインで相談してくれる機関があると便利です。大変助かると思います。私も自分の体の不調をネットで相談したら、正式の医師からアドバイスを受けて安心しました。

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