ストレス社会といわれる現代では、あなたを含め世の社会人はうつ病にかかるほど悩みを抱えています。
うつ病には、様々な症状や他の疾患との関係性があり、その複雑な病態を解明するのは現代の医療をもってしても特効薬と呼べる治療法はないといっても過言ではありません。
うつ病を抱えた人々は、休職者となってしまう可能性が非情に高いのです。
中でも、『発達障害』や『双極性障害』を抱えているのにも関わらず、踏ん張っている方も少なくないのが現状なんです。
うつ病をかかえ、休職者となってしまった人と発達障害と双極性障害との関係性を紐解いていきます。
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うつ病休職者の現状!?傾向と復職への道とは

うつ病で休職中の社員が、毎日決まった時間に病院に通い、同じうつ病の仲間とともに再発を防ぐためのプログラムを受けることが『うつ病のリワーク』と呼ばれ注目を集めています。
いま、うつ病やうつ病休職をめぐる最新事情はどうなっているのかでしょうか?
日本でうつ病のリワークを進めるプログラムを普及させた中心的人物のひとりである方の、最新の知見をもとに現状をご紹介していきます。
うつ病休職者は減っている!?過重労働の現状と発達障害と双極性障害

最近のうつ病の傾向をとして厚生労働省は、長時間労働を抑制するためにさまざまな施策を打ち出しています。
以前に比べれば、長時間労働の負荷は下がってきているのではないでしょうか。
従来型の、いわゆる過重労働によるうつ病というタイプは、減ってきている印象があります。
現在は別のタイプ、軽い『双極性障害』だとか、軽度の発達障害を帯びていると思われる人がうつ病となって休職するケースが目立つようになっています。
ちなみに、双極性障害は以前、躁鬱病と呼ばれていたもので、気分が昂揚しているときと落ち込んでいるときの差が大きい病気です。
『発達障害』は、脳機能の発達のばらつきのための生じる学習やコミュニケーションなどの障害です。
精神症状には、『主観的に感じるもの』と『行動に現れるもの』があります。
主観的な症状は、周囲にはわかりづらい。
逆に行動の変化は、本人よりも周囲の人のほうが気づくことがあります。
たとえば、軽度の双極性障害である双極性スペクトラムの場合は、他人に攻撃的な態度を示すことで、周囲はそのテンションの高さに気づくが本人はいたって普通だと思っているケースがあります。
また、発達障害の傾向を帯びている方だと、対人関係の機微が読めない行動をとってしまい、周りは違和感があるけれど、本人はそのズレに気づかないことがあります。
この『感覚のズレ』の一例として、本人はたくさん仕事をしているように感じていても、上司は『そんなに仕事を与えていない』という話がよく聞かれます。
これは、精神疾患全般によくみられる現象です。
少し症状ある状態で勤務していると、仕事をこなすことが非常な負担となり、通常より少ない業務量でも、本人は重荷に感じることがあります。
ほかの人の仕事の状況を把握するほどの余裕もないので、『自分だけたくさん仕事をさせられている』と不満に思うわけです。
そういうときは本人・上司と産業医または主治医で合同面談を行ない、上司から他の社員の業務量について説明してもらい、復職者の納得感を得ながら対応を進めるとよいでしょう。
うつ病休職者の復職を維持する方法

では、順調な復職を維持するために心がける方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
うつ病での休職後、復帰してすぐに以前と同じペースで働くことは、絶対に避けたほうがよいです。
病気が回復していく『曲線』には個人差がありますが、復職した3カ月は試運転、体調がよければ4ヶ月めくらいからペースをあげていき、本当に順調な状態が続けば、復職後1年くらいしたら『元と同じレベルに戻す』が目安となります。
就業の保障はない!?診断書の『復職』が意味するものとは

医師から『復職可』と診断されても、再発して休職することは少なくないようです。
休職を繰り返さないためのポイントはそもそも、『病状が改善して復職可』という診断書は、目立つ症状がなくなったと言っているに過ぎず、患者がきちんと通勤して業務ストレスに耐え、再発なく就業を継続できるという保障ではありません。
『復職』とは、病気になったときと同じストレスに戻るということです。
ですから、再発を防ぐためには、さまざまな工夫が必要です。
こういった工夫について、精神科や心療内科の医師が患者を指導できなければ、『復職可』という診断書に実質的な意味はなく、
- 復職可の診断書
- 復職
- 再発
を繰り返すことになります。
厚生労働省も、『復職可』の診断はあくまで復職のプロセスのスタートラインに過ぎないことを認めていて、実際には、その後に短時間の『試し出社』などが行われます。
休職を繰り返す要因のひとつに、患者自身が『再発をしやすい』ことを認識していないことが挙げられます。
復職すると、焦って以前と同じように仕事をしようとします。
周囲もそれを受け入れてしまうことが少なくありません。
仕事の業務内容は、慎重に戻していくべきなんです。
ほかには、生活のリズムが乱れると再発を招きます。
休職を繰り返す人のなかには、飲酒やゲーム、チャットなどによる夜更かしなどの生活習慣を改めることができない人がいます。
いずれにせよ大切なのは、患者自身が体調管理の努力をしていることをベースに、状態に応じた仕事の配分を周囲にも理解してもらうことです。
- 『患者自身の体調管理を行うための指示」』
- 『仕事の配分のペースアップ』
などについてのアドバイスについて、医師などのスタッフが今後、さらに有効な役割を果たすことができるようになれば、うつ病からの復職も円滑に進むようになるでしょう。
【新型うつ】発達障害の背景にある生きづらさによる治療法とは

職場でうまくいかない原因が発達障害にある場合、「リワーク」で治すことは可能なのでしょうか。
発達障害は、厚生労働省『みんなのメンタルヘルス』では、以下のように説明されています。
<発達障害とは生まれつきの特性で、「病気」とは異なります。発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害、学習障害、チック障害などが含まれます。これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。>
<同じ人に、いくつかのタイプの発達障害があることも珍しくなく、そのため、同じ障害がある人同士でもまったく似ていないように見えることがあります。個人差がとても大きいという点が、「発達障害」の特徴といえるかもしれません。>
発達障害の傾向がある人は、
- 落ち着きがない
- 空気がよめない
- あいさつもしない
などと思われることが多いようです。
そのような人が仕事を始めると、対人関係などで困難をきたし、うつとか不安といった症状が起きることがあります。
そのため仕事を休職し、リワークプログラムに入ってきます。こういった方をリワークプログラムで支援することは可能です。
リワークプログラムスタッフのための手引きも作成しています。
発達障害の人の場合は、得意、不得意の差が大きい傾向がありますので、確認する必要があります。
また、対人関係についても、自分が相手のどのような影響を与えているか、よく理解できていない場合があります。
リワークプログラムでは、ほかにメンバーやスタッフがいるので、対人関係の特徴はすぐに分かります。
そして、把握された特徴について、支援をしていきます。
では、原因が発達障害に関連しない、先ほどの『新型うつ』は、どのように治療すべきでしょうか?
『新型うつ』は、一つの病気ではないと思います。
背景に双極性スペクトラム、性格の偏りなどなんらかの心理的背景があると思います。
経過をきちんと確認し、必要な心理検査を行なうことが大切です。
心理検査によって何かの偏りが確認されたら、患者さんができることを一緒に考え努力してもらい、必要であれば周囲にアドバイスしたりします。
抗うつ薬は、従来型のうつ病を目標に開発されているので、新型うつにはあまり効かないと思います。
心理的な背景を確認し、確認された偏りを改善するために工夫することが、治療の基本ではないでしょうか。
発達障害の子供への取り組みがすごいと話題

大阪市立大空小学校では、発達障害の子や感情を上手にコントロールできない子も、特別支援学級ではなく普通学級で他の児童と一緒に学んでいます。
2012年当時、全校児童約220人のうち特別支援対象の子供は30人超。
ほかの公立小学校の割合よりもはるかに多い。
そんな同校が目指すのは『不登校ゼロ』。
どんな子も『居場所がある』と感じられるよう、同級生や教師、保護者、地域のボランティアの人々が彼らの支援に取り組み、実際その成果も表れています。
解決の要!居場所を見つけることの大切さ

同校では
教室に居ることが不安で外に飛び出してしまう子
頻繁に暴力を振るったり暴言を吐いたりする子
協調性のない子
こういった子供たちが、いつも何かしら騒動を起こし、先生たちは気が休まる暇がないんです。
同校の校長は、現場に出て体当たりで子供たちにぶつかっていくタイプのようです。
この学校で机上の空論など通用しない。
甘やかさず、悪いことは悪いと叱ります。
しかし、必ずその子が何とかがんばれるよう声をかけ、正しい方向に導くのです。
厳しいながらも愛情に満ちた指導に、教育者としての強い信念が感じられますよね。
生き生きした子供たちや学校関係者に対する制作側のまなざしは、とても温かいですね。
特別支援対象の子供たちは、一進一退を繰り返しながらも確実に成長する。
クラスメートたちも彼らと関わり合うことで、相手の気持ちを推し量ることや、自分と少し違っていても受け入ることを、実践を通して学んでいきます。
『自分の子供が、”問題のある児童”から傷つけられたり、学習を妨げられたりしたらたまらない』という親の気持ちもわかるが、一緒に学ぶことは心の豊かさを身につける機会にもなるのではないでしょうか。
『彼らに関わることで周囲の子供たちが変わり、その親の意識を変え、地域全体を変えていく』という教育専門家の言葉も印象的でした。
発達障害児の将来は?サポートを離れた後の考え方

特別支援が必要な子供の状況はさまざまだが、発達障害を持つ子の場合、原因は主に何らかの脳の機能障害で、完治は困難でも行動療法や薬物療法などで症状の軽減は可能だといわれています。
もちろん大空小学校は医療機関ではないです。
しかし、ここで周囲とのコミュニケーションを学ぶことも、発達障害児、またその他の支援対象の子供にとって、かなり重要な意味を持つのではないだろうか。
親身になり助けてくれた教職員や同級生、地域ボランティアに見守られてきた彼らも、やがて卒業の日を迎えます。
中学、高校、そして社会に出た時、あまりに違う周囲の環境に戸惑うこともあるでしょう。
その行く末が案じられるが、この小学校で学んだ経験はきっと本人の糧になるのではないでしょうか。
自らも努力し続けてきた彼らの今後にエールを送るとともに、この記事を通して大空小学校の取組みに人々の関心が高まることを期待したいものです。
発達障害の子供さんが授業中に落ち着きがないという問題は聞いたことがあります。たとえ病気ではなくても、じっと1日中 休憩を挟んでも イスに座って授業は辛そうです。