あなたは『アデノウィルス』をご存知でしょうか?
今となっては世の中に浸透しつつある名前となっているのではないでしょうか?
あまり聞き慣れない名前と思う方もいらっしゃるかとは思いますが、私達の生活の中でも感染の多いウイルスで、インフルエンザウイルス並みに検出されています。
夏風邪の原因とも言われているアデノウィルスの特徴と対策をみておきましょう!
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アデノウイルスって何?どんなもの?

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まずはアデノウイルスがどんなものか知っておきましょう。
アデノウイルスは、大きさが直径75nm~80nm。
DNA遺伝子をもち、カプシド(正20面体)構造体をもっている小さな球形粒子状のウイルスです。
アデノウイルスはライノウイルス等とともに「風邪症候群」を引き起こす原因となる比較的多く見られるウイルスの一種です。
アデノウイルス細胞の表面には12本のアンテナ様の突起が見られ、たんぱく質でできた殻状のカプシドに包まれており、たんぱく質と脂質で構成されるエンベロープは保持しておりません。
アデノウイルスは正二十面体の構造をもつDNAウイルスで、現在では51類もの型が確認されています。
アデノウイルスは夏風邪を引き起こす「風邪症候群」の原因としても有名で、発熱や喉の痛みなどを引き起こします。
アデノウイルスは型により引き起こす症状が違い、プール熱などの咽頭結膜熱を引き起こすのは「3型、4型、7型」になります。また結膜炎など目の病気を引き起こす「8型、19型」などであり、症状が現れる部位がウイルスの型により違うのが特徴です。
プール熱もアデノウイルスが原因なの?

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アデノウイルスは夏場の屋外プールなどで広く感染するケースが多いことからプール熱(咽頭結膜熱)の原因となるウイルスとして広く認知されております。
しかし、実際はプールの水を感染経路とする感染以外にも飛沫感染や接触感染などによっても広く感染する強い感染力を保持しているウイルスでもあります。
アデノウイルスの型は、現在51の型が確認されており、それぞれ発症しやすい病気や症状からA~Fの6群に分類されております。
アデノウイルスの中でもプール熱(咽頭結膜熱)を最も発症しやすいのは「3型」ですが、他の型でもアデノウイルス感染症によってプール熱を発症するケースも多く確認されるようになってきております。
またアデノウイルス8型は、目やにや目の充血症状を発症する「はやり目」の原因となるウイルスでもあり、アデノウイルスの型によっても対象となる組織が異なる点もひとつの特徴です。
※はやり目=流行性角結膜炎
アデノウイルスの感染経路は?

アデノウイルスは夏場のプールで感染が広がる傾向があることから『プール熱』とも呼ばれていますが、インフルエンザウイルスと同様に飛沫感染や接触感染が原因となります。
プールの水の汚染やタオルの貸し借りが原因とも思えます。
また通常のくしゃみや手の接触によっても感染することがあります。
このウイルスは子供が感染するケースが多く、原因は手洗いやうがいが不徹底なのも一因と考えられます。
アデノウイルス感染後の症状は?

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アデノウイルスに感染した場合の潜伏期間は約一週間で、他のウイルスと比較しても長い傾向になります。
発症した場合の症状は以下の通りで、主に喉や目に表れます。
咽頭結膜熱

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喉が腫れて痛みがあり、38℃から40℃近くの熱が一週間程度続くのが特徴です。結膜炎を併発することも多く、目は充血で真っ赤になります。
喉の腫れが進行した場合、扁桃炎になることもあります。
気管支炎

気管支炎が発症した場合、高熱やせきが収まらずに最悪では肺炎に進行するケースもあります。
胃腸炎

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胃腸炎を引き起こす型(40型など)に感染した場合、下痢や腹痛、嘔吐などの症状が出ます。
悪化した場合は幼児の腸重積を引き起こす可能性もあり注意が必要です。
出血性膀胱炎

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11型のアデノウイルスが引き起こす出血性膀胱炎が発症した場合は、排尿時のおしっこが血で真っ赤になります。
また排尿時に痛みがあるのも特徴になります。
流行性角結膜炎

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『はやり目』とも言われる病気で、8型のアデノウイルスによって引き起こされます。
結膜だけではなく、角膜にも炎症が見られるのが特徴で、酷い目やにや視力低下が出る場合もあります。
夏風邪症状の代表はコレ

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夏風邪の代表的な症状として挙げられるのは『咽頭結膜熱』と言われています。
これは、アデノウイルスとも深く関係していると言えます。
咽頭結膜熱は誰もがおそらく経験のある『夏風邪』の代表とも呼ばれる疾患です。
プール熱の主要症状でもある為、咽頭結膜熱=プール熱と認識されておりますが、咽頭結膜熱は夏かぜの全般的な症状を示す疾患でもあります。
アデノウイルス感染症のこの代表的な3つの症状は「咽頭結膜熱の三大症状」とも呼ばれております。
※咽頭炎・結膜炎・高熱の3つの症状を咽頭結膜熱の3大症状と呼ぶ
この3大症状は3つがすべて揃って発症するケースもあれば、単体で症状を発症するケースも多くあります。
どれかひとつでも症状が当てはまる場合は、咽頭結膜熱を疑う必要があるでしょう。
診断された場合の出勤や登校はできるの?

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病院で診察を受け、咽頭結膜熱であると診断された場合は、社会人であれば基本的に仕事の出席を控えるようにしなければいけません。
これは、アデノウイルスの感染力が強くウイルスをばら撒く原因となりかねない為です。
尚、幼稚園児や小中学生の場合は文部科学省が登園・登校の禁止を明確に指定しております。
但し、大人の場合は仕事などの都合もあり、無理をしてでも会社へ出勤しなければいけない時もあるでしょう。
このような時は、うがい・手洗いなどを徹底しナノサイズのウイルスを通さないマスクを常備するなど最低限の社会的衛生モラルを守るよう努めなくてはいけません。
特にトイレの後の手洗いは入念に行い消毒まで徹底して行うようにしましょう。
アデノウイルスの潜伏期間・二次感染期間

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アデノウイルスの潜伏期間は、一般的に5日~7日程度と言われております。
潜伏期間とは、ウイルスが体内に侵入してからアデノウイルス感染症の症状を発症し始めるまでのウイルスが活動期に入るまでの期間のことです。
アデノウイルスは症状を発症するまでの潜伏期間がやや長い傾向にあることもひとつの特徴です。
もし1週間以内にプールの授業や、プールの習いごとなどがあり、咽頭結膜熱の症状を発症した場合は、集団感染の予防も含めプールの管理者へ報告しておくとその後の感染拡大の予防手段となるかもしれません。
特に潜伏期間が長いアデノウイルスは健康保菌者(体力があり感染はしているが症状を発症していない人)が二次感染の引き金となるケースも少なくありません。
登校・登園は原則2日間禁止

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感染症を発症したプールに自分の子供が通っていた事を確認。しかし我が子は症状は出ていない。
もしこのようなケースであっても自分自身(このケースでは大人・親にあたる)が体力が落ちている状態であった場合。
このような場合は、子供が元気であってもウイルスを保有している可能性があり大人が感染してしまうケースも出てきます。
尚、プール熱は文部科学省が定める学校伝染病(※正しくは学校において予防すべき伝染病)の第2種に指定されている伝染病のひとつです。
学校伝染病第2種の種類

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学校伝染病の第2種は、飛沫感染を伴い子供がかかりやすく、学校内で流行する可能性が高い伝染病が指定されております。
文部科学省が学校伝染病として指定されている「第2種伝染病」には以下のような伝染病が指定されております。
咽頭結膜熱(プール熱)の場合は、主要の症状が治った後2日間の登校・登園は禁止されております。
学校において予防すべき伝染病(学校伝染病第2種)
【~文部科学省指定~】
- 百日ぜき
- 麻疹(はしか)
- 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
- 風疹
- 水痘(水ぼうそう)
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 結核
大人の症状・二次感染経路

アデノウイルス感染症は幼児~小学生期の子供に圧倒的に多く発症するウイルス感染症です。
しかし幼児・子供に限らず、大人であっても感染症の症状を発症する可能性をもつウイルス疾患でもあります。
大人がアデノウイルス感染症に感染するケースの大半は前項でも解説した通り子供から感染する二次感染のケースが大半です。
ですから乳幼児や園児・小学生がいる家庭のお父さん、お母さんはアデノウイルス感染症に感染する可能性が高いと言えるでしょう。
アデノウイルスの二次感染予防

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二次感染の主な感染経路としては、
- くしゃみなど飛沫感染(ひまつかんせん)
- 便などの糞口感染(ふんこうかんせん)
- キスなどの接触感染(せっしょくかんせん)
などの感染経路があります。
アデノウイルスは飛沫感染するウイルスですから、直接触れなくてもウイルスは空気中にも漂っているので容易に感染することになります。
ですから、赤ちゃんのおむつを交換する際は、使い捨ての手袋などを使用し、かつマスクの着用をすることも感染予防のひとつの手段となります。
尚、大人がアデノウイルス感染症に感染した場合の症状も、幼児・子供の症状と同様の症状を発症します。
しかし乳幼児などの症状と比較すると大半のケースで症状が軽症であるのが特徴です。
症状発症後は長くても1週間程度で体調も体力も回復してきます。
大人が感染して回復が遅れるケース

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アデノウイルス感染症は、子供の場合は圧倒的に多くのケースでプール熱による感染が多くなります。しかしアデノウイルスがもたらす疾患としては、この他にも
- 胃腸炎(いちょうえん)
- 急性呼吸器感染症(きゅうせいこきゅうきかんせんしょう)
- 出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)
- 流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)
などの疾患を発症する可能性をもつウイルスでもあることを把握しておく必要があります。
これらの疾患の発症につながった場合はやや重い症状を発症するケースもあり治療期間が長期間に渡るケースも出てくるので注意が必要です。
アデノウイルスに感染した場合の治療法

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アデノウイルスに対しての治療法は現在のところ見つかっていません。
全ての治療が対症療法であり、各症状を緩和するにとどまっております。
言ってしまえば、有効な治療法がないから『指定感染症』となっているのです。
細菌ではなくウイルスなので抗生物質も効果がなく、自然治癒に頼っているのが現状になります。
咽頭結膜熱などほとんどの症状が一週間程度で回復しますが、目の角結膜炎などについては眼科医による治療が必要になります。
アデノウイルスにかからないために知っておくべき5つの予防法

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アデノウイルスに感染しないための予防法をまとめてみます。簡単なことですので、ぜひ実践して下さい。
手洗い、うがいの履行
アデノウイルスはどこにおいても感染する可能性があるため、日常的な石鹸による手洗いやうがいは効果が高く、家族全員で履行して下さい。
プールでの注意
プールは塩素消毒による管理をされているプールを選び、入る前後に必ずシャワーを浴び清潔を心がけて下さい。
家族が感染した場合
同居の家族がアデノウイルスに感染した場合、タオルの共用はやめて別々のタオルを用意して下さい。
食事の際の食器も別のものを用意して、大皿での提供は止めることが大切です。
消毒の徹底
感染者がさわったと思われる箇所を消毒することが必要です。
特にドアノブやテレビのリモコンなどは、家族全員が普通に触る箇所であり感染源になりやすいので注意して下さい。
感染者との接触を避ける
アデノウイルスは感染力の非常に高いウイルスになり、感染が明らかになった場合は感染者との接触を極力避ける必要があります。
学校や仕事も数日間は休むことが必要です。(他の人にうつさないためにも)
子供が感染してお母さんが看病する場合においても、手洗い、うがいに注意し、タオルなどの共用は避けて感染しないように注意して下さい。
アデノウイルスは子供が多く感染すると考えられていますが、ウイルスの型も多く抗体も出来にくいため、大人にも普通に感染してしまいます。
大人の感染では症状が重くなることもあり、感染予防には特に注意が必要です。
夏に多いとされている感染ですが、今年は対策を練って効果的な予防を実践してみてはいかがでしょうか。
治療期間の目安は?

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尚、高熱は比較的長期的に継続するケースが多く4日間~7日間程度に渡り熱が続くケースがあります。
発熱の発症時は、寒気やふるえを感じることもあるので暖かい服装を心がけましょう。
のどの腫れや炎症を伴う咽頭炎症状は3日間~5日間程度続くケースがありますが、完全にのどの痛みがなくなるまでには1週間程度の期間が必要になるケースもあります。
目ヤニや、目の充血症状に関しては10日間前後、症状が継続するケースが多く、点眼剤などの使用を行い治療を続けていくのが基本です。
アデノウイルス3大症状の治療期間の目安

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基本的な3大症状がすべて治まるのは1週間~長くても2週間程度の治療期間が必要となるため、子供が感染者の場合は、お父さんお母さんはある程度長期的な治療を行う心構えが必要です。
尚、症状が治まっても、体内に侵入したウイルスが死滅しているとは限りません。
アデノウイルスは症状が治った後も2週間~時には1ヶ月程度に渡り、ウイルスの排出を続ける為、糞便などからの2次感染には最大の注意が必要です。
その為、プール熱を発生した児童は、基本的に1ヶ月程度プールへの参加はできません。
まとめ

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いかがでしたか?
このように、アデノウイルスは一旦発症すると長いあいだ症状が出続け、夏風邪といえどなかなか苦しい病気でもあるのです。
しかし、だからこそ正しい知識を持って、自分が感染しないように他人に感染させないように心がけることが重要です。
また、記事であげたとおり子供の症状は重篤になる場合があるので、特に小さい子供のいる方は注意して体調や様子に気を配るようにしてくださいね。
アデノウィルス、初めて聞きました。夏風邪を引いた事はありますが、このウィルスと関係していたのでしょうか。治りづらいでした。
アデノウィルスという文字は初めて聞きます。家族がかかって感染したら大変ですね。うがい手洗いを家族にも勧めて、夏風邪予防したいですね。