2009年に世界的大流行(パンデミック)をもたらした『新型インフルエンザ』。
なぜ新型インフルエンザは生まれたのか?なぜパンデミックを引き起こしたのか?
新型インフルエンザにどう対抗するのか?
今回は『新型ウイルスの怖さ・出現方法・対策方法』についてまとめました。
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【恐怖】新型インフルエンザはなぜヤバい

なぜ、新型インフルエンザが怖いかというと、今まで人類が一度も感染した事がないため、『全く免疫がなく、重症化し、大流行する可能性がある』からです。
また、普通のインフルエンザは、人では主に呼吸器で増殖しますね。
しかし、新型インフルエンザは、呼吸器だけでなく、消化器や、他の臓器でも増殖する可能性が高いです。
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 胸痛
- 鼻出血
- 歯肉出血
など多彩な症状がみられ、より重症となることが予測されるからです。
H5N1が新型インフルエンザとなって、スペインインフルエンザ並に流行すれば、わが国で最悪で約64万人の死者が出る可能性があると言われています。
ただし、スペインインフルエンザは約100年前の話であり、タミフルやリレンザのない時代のことです。
現在は医療も進んでおりますので、もう少し被害は少ないと思います。
しかし、一方で、交通機関の発達もめざましく、スペインインフルエンザの頃の輸送機関は船でしたが現在は飛行機ですので、一度流行すればアッという間に世界中に広がり、多くの犠牲者が出るかもしれません。
『H5N1』は高病原性で、20016年7月19日現在:世界中で854人感染(患者)し、そのうち450人が死亡しています。
→『死亡率約53%』これはとんでもない数字です。いかに重症かと言うことです。
H5N1では、肺炎のような呼吸器症状が強く見られ、重症な呼吸障害(急性呼吸不全:ARDS)による死亡が目立ちます。
スペインインフルエンザでも重症な呼吸器症状で、丈夫と思われていた青年層が大勢亡くなりました。
その原因は現在の脳症のような過剰な免疫反応(高サイトカイン血症)によるものではないかと考えられています。
H5N1も呼吸器症状が強く、もしかしたら、とんでもない過剰な免疫反応(高サイトカイン血症)を起こすのかもしれません。
H5N1のアジアでの家族内感染では、血縁関係の感染が多く見られています。
つまり親子で感染するが、夫婦間では感染が見られないことが多いようでした。
この様なことは過去のインフルエンザでは見られていないことで、『H5N1は、遺伝的な要因で感染しやすくなるのかもしれません。』
H5N1が毎年冬にみられるインフルエンザのように、人から人へ効率的に感染するようになったらどうなるのだろうかと、心配されています。
新型の検査も現在のキットでわかりますが、通常のインフルエンザか新型かの区別はつきません。
また、通常のインフルエンザと比べると、H5N1の陽性率はあまり高くないと言われています。
新型専用の検査キットは現在開発中です。
ウイルス分離や、PCRという詳しい検査で新型かどうかわかりますが、少し時間がかかります。
ただ、『H5N1は、重症な呼吸器症状がみられる場合が多く』、原因不明の重症肺炎が見られれば新型(H5N1)を疑う根拠になります。
また、呼吸器症状以外にも下痢、嘔吐、腹痛、胸痛、鼻出血、歯肉出血など多彩な症状が見られれば疑いは強くなります。
おそらく、新型の流行し始めは診断が難しく、その間にどんどん流行が広がるおそれがあります。
【新型インフルエンザ】パンデミックとは

新型インフルエンザが、大流行することを、“パンデミック”といいます。
過去のパンデミックで有名なものには、
- スペインインフルエンザ(1918年)、
- アジアインフルエンザ(1957年)、
- 香港インフルエンザ(1968年)、
- ソ連インフルエンザ(1977年)
があります。
香港インフルエンザは、毎年見られているいわゆるA香港型です。
新型が発生すると大流行しますが、その後多くの人が抗体を持つようになり、流行の規模は小さくなります。
そうなると今度は別のタイプのインフルエンザが流行するようになり、また、多くの人が抗体を持って終息します。
やがて、時がたつにつれ、以前に罹ったことのあるタイプのインフルエンザの抗体が下がってくると、再び以前と似たタイプのインフルエンザが流行するということを繰り返していると考えられています。
『H5N1は、過去において全く人類が経験したことのないタイプ』のため、大きな驚異となっています。
1918~1919年にかけて発生したスペインインフルエンザは、世界中で猛威をふるい、そのため、第1次世界大戦が早く終結したといわれるほどです。
当時の記録では、流行の波が3波に分かれ繰り返し押し寄せました。
第1波が一番患者数は多かったようですが、重症者は第2波の方が多く、重症な呼吸器症状のため、普段は丈夫と思われていた青年層での死亡が目立ちました。
多分、感染を繰り返すうちにウイルスの病原性が増強するからでしょう。
現在、鳥インフルエンザとして出現しているH5N1のウイルスが、このまま人類の前から姿を消してしまうのか、新型インフルエンザウイルスとなってパンデミックを起こすのかどうかはだれにもわかりません。
新型インフルエンザの脅威

新型インフルエンザは
- 1918年のスペイン風邪、
- 1957年のアジア風邪、
- 1968年の香港風邪
という3回のパンデミックを引き起こし、近年では2009年に新型インフルエンザが大流行しました。
特にスペイン風邪は、非常に強いで病原性だったため当時の世界人口の約半分がかかり、2000万~4000万人が死亡したと言われています。
なぜ新型インフルエンザは脅威なのか?

なぜインフルエンザはこれほど恐れられているのでしょうか?
その理由は、『強力な伝播力』にあります。
インフルエンザは地球上に存在するウイルスの中でも最も伝播力が強く、『ヒトは6歳になるまでにほぼ100%がインフルエンザにかかる』と言われています。
さらにインフルエンザは頻繁に変異するため、1度インフルエンザに対抗する免疫を獲得しても何度も感染してしまうのです。
そして、数十年に1度出現するのが私たちに全く免疫がない新型インフルエンザです。
通常の季節性のインフルエンザは、以前に似た型のウイルスに感染していれば、比較的軽い症状で済みます。
しかし、新型インフルエンザは人類が初めて出会うため、若くて壮健な人であってもかなりの確率で感染・発症してしまうのです。
新型インフルエンザはなぜ生まれるのか?

それではなぜ、新型インフルエンザは発生するのでしょうか?その答えは『種の壁・遺伝子再集合』にあります。
種の壁
インフルエンザウイルスの特徴は、『ヒトや鳥、豚のような種の壁を越えて感染する』ことにあります。
一般的に、そのように種の壁を越えて多様な生物種の間での感染は、ウイルス遺伝子の変異が必要になるため非常に難しいことです。
それなのになぜインフルエンザは種の壁を超えるのでしょうか?
その答えは『インフルエンザの圧倒的な変異の速さ』にあります。
ほかの種であれば何百万年もかかるような変異、すなわち進化をインフルエンザウイルスは年単位、月単位でやり遂げるのです。
遺伝子再集合
驚異的な速さで変異するインフルエンザウイルスですが、遺伝子の変異には大きく分けて2種類あります。
- 少しずつ変異していくマイナーモデルチェンジ型の変異
- 全く別のウイルスに変異するフルモデルチェンジ型の変異
ここで問題になるのは後者の『フルモデルチェンジ型』です。
では、このフルモデルチェンジはどのように起こるのでしょうか?
それは、異なる種類のウイルスが同時に1つの細胞に感染した場合に起こり混ざってしまったときです。
このとき遺伝子再集合が行われ全く新しい性質を持ったウイルスが誕生するのです。
新型インフルエンザ3つの出現方法

これらの種の壁と遺伝子再集合を踏まえ、ヒトに感染する新型インフルエンザが出現する仕組みは大きく分けて3つあると考えられています。
1.ハイブリッドウイルスが豚で出現
『豚はヒトインフルエンザと鳥インフルエンザにかかる』ことが知られており、これらのインフルエンザに同時にかかると新しいインフルエンザが生まれます。
2.鳥のウイルスが豚で変異
豚が鳥インフルエンザに感染し、体内で人に感染しやすい形に変わります。
3.鳥のウイルスが人に直接伝播
鳥インフルエンザウイルスが直接ヒトに感染します。
新型インフルエンザに対抗する方法はあるのか?

WHOは、インフルエンザ大流行を6段階に分け、各段階ごとに対策を立て、健康被害やパニックを最小限にとどめるように呼びかけています。
WHOによるインフルエンザ大流行6段階
- 第1段階 :人から新型のウイルスは検出されていないが、人へ感染する可能性を持つウイルスを動物に検出
- 第2段階: 人から新型のウイルスは検出されていないが、動物から人へ感染する危険性が高いウイルスを検出
- 第3段階: 人への新型のウイルス感染が確認されているが、人から人への感染は基本的にはない。
- 第4段階: 人から人への新型のウイルス感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている。
- 第5段階: 人から人への新型のウイルス感染が確認され、パンデミック発生の危険性が大きく、より大きな集団発生がみられる。
- 第6段階 :パンデミックが発生し、急速に感染が広がる。
現在は、第3段階ですが、第4段階も時間の問題といわれています。
- 第3段階の対策:薬の確保、診断・治療ガイドラインの整備など。
- 第4段階の対策:流行地への渡航自粛、入国者の健診など。
- 第5段階の対策:ワクチン、指定医療機関での治療、集会自粛(拡大防止策)。
- 第6段階の対策:患者数の増加により、普通の医療機関でも診療が行われる。
大事なことは、第4段階から、第6段階までの間に『いかに感染の規模を小さくとどめる事ができるか』と言うことに尽きます。
少しでも時間を稼ぎ、ワクチンの普及を待つことになります。
対策その1:ワクチン
インフルエンザワクチンは、『インフルエンザを予防する上で最も効果の高い手法』であると言えます。
しかし、パンデミックの前に流行するウイルスを予測するのは難しく、パンデミック後に製造しては間に合わないという問題があります。
パンデミックの対策は、毎年流行する季節性のインフルエンザ対策の延長線上にあります。
季節性のインフルエンザに対する最大の防衛策はワクチンです。
平成19年9月1日、国内2社のH5N1インフルエンザワクチンが承認される運びとなりました。
ただ、このワクチンは人→人感染する新型に対するワクチン(まだ流行していないので作れない)ではなく、鳥インフルエンザH5N1ワクチンです。
したがって、人→人感染する新型が流行した時、どのくらい効果があるかはわかりません。
また、毎年流行するA香港(H3N2)が少しずつ変化するように、H5N1にも、亜型(同じようなタイプだけど微妙に違う)が何種類かあります。
それに応じて、異なるH5N1に対するワクチンが毎年生産されています。
この新型を予測して作られたワクチンを『プレパンデミックワクチン』と呼んでいます。
新型が出現してから作られるワクチンが『パンデミックワクチン』です。
前述したように、プレパンデミックワクチンは、『鳥→鳥感染している鳥インフルエンザに対するワクチン』です。
インフルエンザウイルスは感染する時にヘマグルチニン(HA)が働きますが、鳥インフルエンザのヘマグルチニン(HA)は、鳥には感染しやすくても、人には感染しにくいため、プレパンデミックワクチンの人→人感染での効果は不明です。
もしかしたら、プレパンデミックワクチンは、人→人感染では効果が期待できないかもしれません。
とは言え、他に変わる手段もないため、プレパンデミックワクチンは、第4段階(人→人感染が見られた段階)で、本格的に接種開始される予定です。
パンデミックワクチンは、パンデミックが発生してからでないと製造できませんし、その製造には、ウイルスが発見されてから少なくとも6ヶ月くらいかかるといわれています。
しかし、最近ウイルス同定から6~8週間で製造できるDNAワクチンが開発され始めました。
アメリカで研究が進んでいますが、日本の企業も開発に参加しており期待がもてます。
パンデミックとなれば多くの人が感染し、私たちの日常生活に欠かせない電気や水道などのライフラインに支障が見られることが予測されます。
そこで、新型インフルエンザワクチン接種に関するガイドライン(案)では、特にウイルスに暴露される機会が多く、市民の日常生活の維持に不可欠な仕事をしている人たち、具体的には、社会的機能維持者(消防、警察、自衛隊、電気、ガス、水道、食料供給、通信、交通など)や医療従事者に本人の同意を得て、プレパンデミックワクチンを接種し、個人防衛と拡散防止をはかるとしています。
新型に対するパンデミックワクチンは、最初のパンデミック第1波には間に合いません。
したがって、いかに感染の規模を小さくとどめる事ができるかということが大切になってきます。
新型は、スペインインフルエンザのように何回も流行を繰り返すかもしれませんから、パンデミックワクチンができたら、早めに接種すれば第2波の流行には間に合うかもしれません。
ところで、人→人感染防御効果は期待できなくとも、鳥→鳥感染防御効果があるなら、全国の鳥(鶏)にプレパンデミックワクチンを接種すればよいように思いますが、現状は接種されていません。
プレパンデミックワクチンは、毎年私達が接種しているインフルエンザワクチンと同様の『不活化ワクチン』です。
したがって、重症化を防ぐ効果は期待できますが、直接の感染を防ぐことはできません。
もし、多くの鳥(鶏)にプレパンデミックワクチンを接種した場合、感染しても重症化しない鳥(鶏)を見逃してしまうおそれがあります。
そうしますと、鳥インフルエンザH5N1ウイルスは常在化し、その結果、ウイルス変異を招き、人→人感染を起こしやすくなるという心配があります。
そのため、現在日本国内では鳥(鶏)に対する『プレパンデミックワクチンの接種は禁止』されています。
対策その2:抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、ラビアクタ、イナビル、ファビピラビル(商品名アビガン))
『タミフル』は、今のところ新型にも効果が期待されています。
しかし、タミフルの効かないウイルス(耐性ウイルス)も出現しており、少し不安もありますが、現時点では一番頼りになる対策(薬)です。
H5N1が新型になった場合、H5N1は殆ど肺炎を起こしていますので、直接肺に到達する吸入薬のリレンザ、イナビルは、タミフルよりも速効性が期待できます。
また、H5N1はウイルス血症(全身にウイルスが拡がること)を起こし、呼吸器だけでなく、消化器や、他の臓器でも増殖する可能性があります。
経口薬であるタミフルは血中移行がよく全身症状に対してはリレンザよりも勝ると思います。
おそらく、『新型の場合は、リレンザとタミフルの併用が最善の治療』と思います。
さらに、重症例には『点滴静注のラピアクタの併用』も必要でしょう。
もう一つ有力な薬があります。
インフルエンザウイルスの増殖そのものを抑える作用を持つ『ファビピラビル(商品名アビガン)』という薬です。
インフルエンザウイルスの複製酵素をRNAポリメラーゼといいますが、この薬は、RNAポリメラーゼを阻害してウイルスの増殖を直接阻止します。
従来の抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビル)は、人の体内の細胞で増殖したウイルスが細胞外にでるのを阻止することによって効果を発揮しますので、ウイルスが大量に増えたあとでは効果が期待できません。
しかし、この薬は、ウイルスの増殖を直接抑制するため、重症であったり、感染から時間がたっても効果があるといいます。
対策その3:非医薬的対策(社会的対策)
個人レベルの対策
『うがい、手洗い、マスクをすること』が大切です。
もし感染したら、人に移さないようにマスクをしましょう。
また、加湿器を用いて『室内の湿度を50~60%くらいに維持』しましょう
乾燥した室内ではウイルスが飛びやすく感染が広がります。
職場や家庭においても接触機会を減らすことは重要なことであり、パンデミックになった際に可能な限り感染している(かもしれない)人との接触を減らすために、どのような生活パターンをとればよいか考えておく必要があります。
また、外出機会を減らすために食料などの生活必需品を備蓄しておくことが勧められてます。
備蓄と言っても週単位ではなく、月単位で考えた方がよいでしょう。
もし、急に発熱して、とても具合が悪くて「もしかして新型インフルエンザ?」と思ったら、すぐ医療機関(いつもいってる診療所や病院)に行ってはいけません。
本当に新型だったら、そこに行くことによって多くの人たちに移しまくることになります。
まず、【しかるべき施設】へ、「新型が心配です。どうすればいいでしょうか。」と連絡し、どこへ行けばよいか指示を仰いで下さい。
日本経済新聞社によりますと、新型インフルエンザが発生し、できるだけ外出を控えるよう国が勧告を出しても、調査した人の半数以上が外出すると考えているということでした。
また食糧の備蓄も6割強がしていないと回答しています。
国民全体の新型インフルエンザに対する危機意識の希薄さと、国の対策の遅れが浮き彫りになったと言えます。
もし、多くの社会的機能維持者(消防、警察、自衛隊、電気、ガス、水道、食料供給、通信、交通など)や医療従事者が感染してしまえば、もはや誰にも助けを求めることができません。
『自分の身は自分で守るくらいの覚悟』が必要です。
行政レベルの対策
1人発生したからといって、すぐ、パンデミックになるというわけではありませんが、交通機関の発達した現在では、アッという間に流行するかもしれず、発熱のある人は公共の乗り物には乗らないようにしなければなりません。
『初期の段階で封じ込める』がとても大事です。
本人・家族の学校・職場では、どのように対応するか。
家族はいつまで自宅待機するのか。などなど、社会全体で決まりを作らなければなりません。
また、学校・職場の閉鎖は効果があるといっても、流行が始まり、~%罹ったから休校・休職では効果がないです。
かなり早期の段階で実施しなければなりません。
学校閉鎖については今のところ何ら基準はなく、幼稚園、保育園なども含めますと、大変な混乱が予測されます。
オーストラリアによるモデルでは、児童の2%の感染率で閉鎖しなければ効果は薄いとされています。
理想的には都道府県や市町村のレベルで、新型の患者が一人見つかった段階で学校閉鎖するのが最も有効と考えられています。
国境封鎖(初期の段階で封じ込める)
平成19年春、麻疹が日本国内で青年層を中心に流行しました。
この頃、修学旅行でカナダを訪れていた東京都の私立女子高校の生徒が現地で麻疹を発症しました。
この時、この生徒だけでなく、他の生徒も帰りの飛行機への搭乗を断られました。
この様に海外では、感染症に対しては、『初期の段階で封じ込める』ことを原則としています。
新型インフルエンザが発生した場合、海外からの入国を禁じる方針を検討している国もあります。
現在のところ、欧米は国境封鎖はしないようです。
オーストラリア、ニュージーランドは国境封鎖をするとしています。
日本が厳重な国境封鎖をするとは思えませんが、いかに厳重にしても侵入まで2~3週間くらい時間が稼げるくらいといわれており、結局はインフルエンザウイルスが侵入することにはかわりありません。
ただ、この2~3週間の間にいろいろ対策を講じることができますので、国境閉鎖は無駄ではないと思います。
もし、今、新型インフルエンザが出現したら?

平成21年、私達は、新型インフルエンザ『豚インフルエンザ(H1N1)』を経験しました。
新型が発生してもすぐ診断できません。
「エッ、キットがあるでしょ?」と思われるでしょうが、現在の検査キットは、A型か、B型かの区別がついても、新型か、毎年流行しているH3N2、H1N1かの区別はつかないのです。(H1N1は区別できます。)
大体、新型と毎年流行しているインフルエンザとを何を持って区別するか、特別な根拠はありませんので、新型を疑う時は、あまりにも重症なインフルエンザの患者さんが急に増えてきた時でしょう。
新型に罹った人が、新型とは知らずに普通に行動すれば、アッという間に拡がります。
新幹線に乗ったら同乗者が感染し全国に広げることになります。
新型の確定診断には『2~3週間』かかります。
その間、新型を疑われた患者さんは指定病院へ入院を勧められることになっていますが、強制ではないため、自宅待機でもよいことになっています。
これではまず感染の拡大を防ぐのは無理でしょう。
でも強制入院では人権問題が関わってきます。というわけで初期での封じ込めはかなり難しいです。
新型が発生したら、地域ごとに発熱者(新型インフルエンザによる発熱患者)を診る施設を作ると言うことですが、新たに診療所を設けるには届け出が必要で、法的規制のため、すぐにはできないようです。
となると一般診療所に患者さんは受診しますが、やはり重症ですので、指定病院へ紹介されます。
おそらく、ベッドは瞬く間に満床になってしまうでしょう。
そこで、体育館のような公共の施設を新型インフルエンザ専用病棟にする案も提唱されていますが、具体的な施設はまだ決まっていません。とう言うわけで、入院できない人がたくさん出てきます。
そのうち、社会的機能維持者(消防、警察、自衛隊、電気、ガス、水道、食料供給、通信、交通など)や医療従事者などが新型に罹ってしまえば、もう大変です。
- 電気がつかない
- 水がでない
- ガスも使えない
- スーパーに行っても物資が入ってこない
- 救急車も出動できない
- おまわりさんがいないから治安が悪くなる
- 医者も倒れて具合が悪くても行くところがない
というふうになってしまいます。
というわけで、新型インフルエンザのパンデミックが起きると
- 世界中の20~30%の人が感染するだろう。
- 世界中で莫大な数の人が死亡するだろう。
- 社会機能がマヒするだろう。
- 経済的損失は2兆ドル(米:世界銀行の試算)
といわれています。
まとめ

今回は『新型ウイルスの怖さ・出現方法・対策方法』についてまとめました。
インフルエンザをはじめ、感染症に対しては、『初期の段階で封じ込める』ことが原則であることがよく分かりましたね。
心インフルエンザが多くの医療従事者に感染してしまえば、もはや誰にも助けを求めることができません。
『自分の身は自分で守るくらいの覚悟』が必要です。
新型インフルエンザは生まれたのか?なぜパンデミックを引き起こしたのか?新型インフルエンザにどう対抗するのか?
について分かりやすくまとめたので是非参考にしてみて下さいね。
パンデミックという言葉はラジオで聞いたことがあります。大流行するという意味なのですね。知識が増えました。