冬になると猛威を振るうインフルエンザ。
ここ数年来、ウイルス型の流行予測が的中しているために、『ワクチンの予防効果の精度は高まっている』と言われています。
インフルエンザウイルスは『抗原連続変異』という恐ろしい特徴を持っています。
しかし、抗原連続変異の割合が小さくなると、生体の免疫機構は働きやすくなり、ワクチンの予防効果は高まります。
今回は
- インフルエンザワクチンの予防効果の精度について
- インフルエンザの抗原連続変異とはなにか。
- ワクチンの製造の流れ
- 予防接種のベストなタイミングについて
を紹介します。
これを読めばインフルエンザワクチンについての知識が豊富になること間違いなしです。
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インフルエンザワクチンの予防効果の精度は高まっている!?

ここ数年来、ウイルス型の流行予測が的中しているために、予防効果の精度は高まっています。
ただし、2012〜2013シーズンのインフルエンザ流行期に、全国の高齢者施設でワクチンを接種した高齢者が相次いで集団感染し、死亡者も出ました。
いくら予防効果の精度は高まっているとはいえ、侮ってはいけません。
厚生労働省によれば、インフルエンザワクチンは、『2015・2016年シーズンからA型2種・B型2種の計4種類』を含んだものが導入されています。
A型2種は2009年以降の流行株「A/H1N1亜型」と、いわゆるA香港型「A/H3N2亜型」です。
B型は山形系統、ビクトリア系統です。
インフルエンザの持つ抗原連続変異とは?

人間の生体はウイルスの抗原を見分け、抗原にあった抗体をつくり、感染を防ぎ、疾患の回復を早める免疫機構があります。
この機構を活用したのが『ワクチンの予防接種』です。
しかし、ウイルスの抗原が変異すると抗体は働かなくなり、変異した抗原に対抗できる抗体ができるまで感染は続きます。
抗原連続変異とは、人間の免疫機構からの攻撃を回避するため『ウイルスが突然変異を起こして抗原性を変化』させること。
抗原連続変異の結果、特定のウイルスに対抗する『ワクチンの予防効果が低下』します。
そのため、抗原連続変異の割合が小さくなると、生体の免疫機構は働きやすくなり、ワクチンの予防効果は高まります。
インフルエンザワクチンの製造の流れについて

わが国におけるインフルエンザワクチン製造株の決定過程は、
- 厚生労働省健康局の依頼に応じて国立感染症研究所(感染研)が検討します。
- これに基づいて厚生労働省が決定・通達します。
- 感染研では、流行状況、ウイルスについての抗原性、住民の抗体保有状況調査の成績を調査する。
- その結果の基づき、前年度の11~12月に次年度シーズンの予備的流行予測を行います。
- これに対するいくつかのワクチン候補株を選択、適格性を検討します。
- 年が明けた1月下旬から数回にわたり所内外のインフルエンザ専門家を中心とする検討委員会が開催されます。
- 検討委員会で次シーズンの流行予測を行います。
- その他の外国における諸情報を総合的に検討して、2~3月までに次シーズンのワクチン株を選定します。
- 感染研はこれを厚生労働省健康局長に報告し、厚生労働省医薬食品局長が決定して5~6月に公布します。
となります。
ワクチンを製造するまでにこんな長い道のりを経て製造していたんですね。
【今シーズン】ワクチン予測は的中するか?

ワクチンの予防効果を知るための指標は3つあります。
- ワクチン株として選んだウイルス株と、その原株を大量生産したウイルス株との抗原性の一致率。
- ワクチン製造株と、実際に流行したウイルス株(流行株)との抗原性の一致率。
- ワクチン接種後に得られる赤血球凝集抑制(HI)法による抗体価。
ウイルスは赤血球を凝集させる性質があります。
しかし、血液中に抗体が存在すると抗原抗体反応が起きて赤血球凝集能が抑制されます。
この性質を利用して血液中の抗ウイルスの抗体価を測定するのが、『赤血球凝集抑制(HI)法』です。
HI法によって得られた抗体価は、インフルエンザの既往歴の有無やワクチンの予防効果の確定的な指標になります。
つまり、ワクチンとウイルスの抗原性がどれだけ一致しているかによって、ワクチンの予防効果が決まります。
予防接種のベストなタイミングはいつ?

感染してしまうと数日間辛い思いをしなければならないので、予防接種をしてなるべく感染を防ぎたいと考えると思います。
なのでその予防接種の一番良いタイミングをご紹介していきます。
理想は11月の下旬に予防接種を受けること
予防接種を受けることで体に抗体を作ることができます。
この抗体があることでインフルエンザウイルスを体内に入れたとしても戦うことができます。
予防接種を受けてから抗体ができるまでの期間として『2~4週間くらいかかる』とされています。
インフルエンザのピークである1月~2月までに抗体を作っておきたいので『11月下旬が理想』と言えるでしょう。
抗体の効果の持続期間は3~4ヶ月
あまりにも早く予防接種を受けたとしても、抗体の効果が切れてしまいます。
予防接種を受けるタイミングというのは非常に重要です。
10月に受けた場合は2月の時点で抗体の効果が薄れてきてしまいますので早すぎるのも注意が必要です。
できれば2回予防接種を受けておく
冬は受験シーズンにもなりますので、今年の受験で人生が決まる方もいると思います。
なので絶対にインフルエンザに感染したくない場合は『予防接種を2回受ける』ことをおすすめします。
なぜ2回受けるのが良いのか?
予防接種を1回受けると約64%の確率でインフルエンザの感染を防げると言われています。
ですが2回受けることによって94%の確率で防ぐことができますので、確実性を求めるならば2回受けるのが良いでしょう。
2回目のタイミングはいつがいい?
11月の下旬に1回目の予防接種を受けたとしましょう。
その場合2回目のオススメのタイミングは『1回目を受けた日から2~4週間後』が良いとされています。
ブースト効果によって効果が跳ね上がる
1回目の予防接種から1ヶ月経つと、免疫量が日に日に落ちていきます。
減ってきたその時期にもう1回予防接種を受けることで、1回目と比べて数倍の免疫力がつくとされています。
これを『ブースト効果』と呼びます。
2回受けたから効果が2倍になるわけではなく、2回目をタイミング良く受けるだけで効果が3倍にも4倍にも上がるのです。
なので余裕のある方は2回の予防接種を受けることをおすすめします。
まとめ

インフルエンザ インフルエンザワクチン
今回はインフルエンザワクチンの予防効果の精度、製造の流れ、予防接種のベストなタイミングについて詳しく紹介しました。
ワクチンを製造するのにあんなに長い行程があるなんて驚きですね。
ウイルス型の流行予測の的中により、予防効果の精度は高まっており医療技術の進歩が感じられますね。
予防接種は『ベストなタイミング』で1度と言わず、『2回受けること』をおすすめします。
ワクチンを打つ方はその効果を信じて打ってもらうので、確実に効果を出すために 2回接種したほうが良いですね。これで冬を安全に暮らせそうです。
インフルエンザワクチンを2回接種するとブースト効果が現れるのですね。子宮頸がんワクチンも6カ月内に合計3回接種して効能があるそうです。