毎年冬になると流行する病気・感染症といえばインフルエンザ。
発症すると40度前後の高熱がでる非常につらい病気です。
そんなインフルエンザの予防法として厚生労働省は流行前にインフルエンザの予防接種を受けることを推奨していますね。
でもインフルエンザの予防接種のい効果や痛み、副反応といわれるワクチンに対する副作用、打つべき時期や料金について不安や疑問を持つ方も少なくありません。
今回は、そんなインフルエンザの症状から予防接種の効果、打つべき時期や副反応・痛みはどうなの?という内容についてお届けしていきます。
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インフルエンザってどんなもの?5つの症状がつらい

インフルエンザは『インフルエンザウイルス』に感染することで発症する病気です。
インフルエンザは、通常の風邪と違い、38度以上の熱とともに、頭痛、関節痛、筋肉痛などの痛みが急激に発症します。
日本では、毎年約1,000万人が罹患し、約1万人が亡くなっていると推計されています。
普通の風邪と比べて、症状が重く、感染力が強いことが特徴です。
通常1~3日の潜伏期間後に、
- 急な高熱
- 悪寒
- のどの痛み
- 頭痛
- 関節痛
などの症状が現れます。嘔吐・下痢などの症状が現れる場合もあります。
40度前後の熱が2~4日続いた後、咳や鼻水のどの症状が出て、約1週間で回復します。
まれに、肺炎や脳症などの合併症にかかることで重症化する人もいます。
季節性のインフルエンザワクチンは、インフルエンザA/H1N1亜型(インフルエンザ(H1N1)2009)と同じ亜型)とA/H3N2亜型(A香港型)、B型では2タイプの4種類が含まれたワクチンとなります。
インフルエンザ予防接種の効果って本当にあるの?

インフルエンザはウイルスが口や鼻などから侵入し体内で増殖することで感染します。
ワクチンは感染することに関しては効果はありません。
感染後、数日潜伏したのち発熱やのどの痛みなどの症状が発症します。
インフルエンザワクチンの予防接種はこの発症を抑える効果が認められています。
また、一般に高齢者は重症化する可能性が高いと言われていますが、予防接種の最大の効果はこの重症化を予防するという効果なのです。
厚生労働省の報告によると、65歳以上の健常な高齢者の場合約45%の発症を抑え約80%の死亡を阻止する効果があったそうです。
全体としての予防接種の有効性は、60%程度といわれています。
ただし、ワクチン株と流行株が一致しなかったときの有効性はこれよりも低くなります。
この結果は健康な成人で調べられたもので、型別にみるとA型の有効性はおよそ80%、B型は一般的にA型より低くおよそ50%と報告されています。
一方で、子供の場合、A型では予防効果があるのは30~50%程度で、B型や1歳未満ではさらに効果が低くなります。
これらの数値を見ると、インフルエンザワクチンの効果はそれほど高くないと思われるかもしれません。
ただし、ワクチンの役割は発病を予防するだけではありません。
インフルエンザワクチンを接種しておくことで、感染・発症した場合にも『脳炎』や重症肺炎などの重症化を防ぐことが主な目的です。
また、妊娠中の母親が摂取すると、生まれた赤ちゃんにも予防効果があります。
しかし、そもそも『インフルエンザの予防接種はでワクチン株の予想が外れたら、効き目が出ないのでは?』と思われる方も少なくないのではないでしょうか?
インフルエンザワクチンの有効性については以前から問題となっています。
インフルエンザウイルスは、毎年のように変異しながら流行します。
このため、ワクチン株と流行株が一致したときの有効性は70~80%とされます。
これは健康な成人で調べられたものです。
型別では、A型の有効性は80%前後で、B型は一般的にA型より低く40~50%前後との報告があります。
インフルエンザワクチンの接種は、かかっても重症化(肺炎・脳炎・心筋炎など)を抑制する効果があります。
年齢別では、6歳未満の発病阻止効果は、20~30%前後と低い傾向があります。
ただ、インフルエンザワクチンは社会における流行阻止も含め、接種を受けた方とその家族など、身近なところでのメリットはあるかと考えられています。
ワクチンってそもそも何?

人間の体は、一度ウイルスに感染するとそのウイルスを排除する働きを持つ抗体を作ります。
この抗体のおかげで、次に同じウイルスがはいってきても感染症になりにくい免疫という機能が働くのです。
ワクチンはこの働きを利用して人工的に抗体を作り、免疫機能を獲得させてくれます。
インフルエンザのワクチンは『不活化ワクチン』というタイプです。
不活化ワクチンはウイルスに化学処理をすることで感染性をなくしたもので、安全性の高いワクチンです。
インフルエンザワクチンの改良はされているのか
インフルエンザワクチンは現在、『不活化』のHAというウイルスの抗原を用いたワクチンを使用しています。
不活化とは、ウイルスを殺して毒性をなくし、免疫をつけるために必要な成分だけを抽出したもののことです。
その投与方法は皮下接種です。
皮下組織にワクチンを注入する、いわゆる『皮下注射』のことです。
インフルエンザ感染発症の予防には、気道から直接分泌されるIgA抗体と下気道(気管支・肺)からのIgG抗体が重要であります。
全身のウイルス感染の抑制には、血中のIgG抗体が重要な役割を果たします。
現在の皮下接種ワクチンは、血中のIgG抗体を作ることで、重症化防止には効果がみられます。
その一方で、感染そのものの抑制には改良の余地があります。
この問題を改善するために、不活化ワクチンの鼻腔内接種が検討されています。
経鼻接種型不活化ワクチン、あるいは、身体の免疫機能を活性化させる免疫賦活剤(アジュバント)を添加した経鼻接種型ワクチンの実用化が期待されております。
一方、同じく鼻から投与される経鼻弱毒生インフルエンザワクチン『フルミスト』は、いくつかの医療機関で行われております。
米国疾病対策センター(CDC)の解析によると2歳から18歳未満ではその効果は2014年からではわずか3%と低値であり、推奨しない方針となりました。
現在では、2015~2016年皮下ワクチンの効果は63%と報告がありました。
【インフルエンザ予防接種の時期】いつ受けたらいいの?

季節性のインフルエンザワクチンの予防効果は摂取した2週間後から5か月程度であると考えられています。
日本では例年12月~3月頃にインフルエンザが流行するので、11月~12月中旬までに予防接種を受けるようにしましょう。
また、生後6か月以上13歳未満の子どもは2回の摂取が必要です。
1回目の摂取から2回目の摂取までの間隔は2~4週間が良いとされています。
仕事への影響を防ぐためにも、お子さんの受験シーズンに備えるためにも、予防接種(ワクチン)は有効です。
効果的な摂取時期としては、12月までには終わるように計画を立てることをおすすめします。
特に13歳未満の子供は2回の接種が推奨されているので、1回目は10月~11月上旬、2回目は11月中に受けるスケジュールが理想です。
なぜ子供は2回の予防接種が必要なの?
ブースター効果(追加免疫効果)を得るためです。
体内で一度作られた免疫機能がもう一度抗原に接触することで、免疫機能が高まることがわかっています。
【必須】インフルエンザの予防接種を必ず受けるべき人
平成13年の予防接種法改正で、65歳以上の高齢者及び60歳以上~65歳未満で特定の疾患にかかっている方に予防接種法二類疾病として接種が勧められています。
接種すべき方は、基礎疾患を有する方です。
- 慢性閉塞性呼吸器疾患
- 気管支喘息等の呼吸器疾患
- 心不全や先天性心疾患等の循環器疾患
- 糖尿病
- 透析を要する腎疾患
- 免疫不全症
の方などは重症化のおそれが高いのでワクチンによる予防が望ましいと考えられます。
また、このような人々にインフルエンザを感染させないようにするため、同居する方にも推奨されます。
特に、A型の新型のウイルスでは学童期の喘息を患っている人が重症肺炎となる傾向があります。
まとめると、
<大人>
13歳以上は通常1回接種ですが、2回接種することもできる。
接種間隔はおよそ1~4週間。
<子供>
生後6か月以上で12歳まで(13歳未満)では2回ずつ接種。
10月ごろに1回目を接種し、およそ2~4週間。
できれば4週間)の間隔をあけて、2回目を接種。
といったようになりますので、きちんと把握しておきましょう。
インフルエンザ予防接種は痛い・怖い?副反応は大丈夫?

巷ではよく『インフルエンザの予防接種は他の注射よりも痛い』という話を耳にすることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
インフルエンザの予防接種は、他のワクチンと成分は変わりないので、痛みは変わらないと思われます。
むしろ肺炎球菌ワクチン(プレベナー13、ニューモバックス)の方が局所の疼痛を訴える割合は高い傾向にあります。
予防接種の副反応や危険性、予防接種後に注意すべき点については、他ワクチンと同様に、接種30分以内の呼吸困難や明らかなじんましんなどのアナフィラキシー症状が注意するべき事項ですが、その発症はほとんどありません。
1-2日後に局所の発赤・硬結などは1%程度でみられますが、1週間ほどで自然軽快します。
【子供のインフルエンザワクチン接種】知っておいてほしい3つのこと

前述したように、子供の場合2回のワクチン接種が必要であるとお伝えしましたが、なぜ1回ではいけないのでしょうか?
13歳未満の子供は2回の接種が推奨されますが、1回の接種では充分な免疫が得られないからです。
その理由としては、小児では免疫の基礎となるリンパ球の機能が成人と比較して低い傾向にあるからです。
1回の接種では、1~2か月で免疫が低下します。
このため、2回目の接種により免疫が増幅する『ブースター効果(追加の免疫効果)』を利用します。
他のワクチン、例えばヒブ・肺炎球菌・日本脳炎でも、このブースター効果を期待して現在の接種計画が実行されております。
もちろん、13歳以上の子供も成人も、2回接種した方が効果は高まるようです。
受験など、冬のシーズンに体調管理が必要な方は2回受けることをおすすめします。
卵アレルギーがある子供のインフルエンザワクチン接種は?
ワクチンは、発育鶏卵の尿膜腔で増殖したインフルエンザウイルスを原材料として製造しています。
日本で製造されているインフルエンザワクチンの卵白の含有量は0.01g程度であり、たまごボーロが1個食べられれば比較的安全に接種することが可能です。
ただ、担当医師と相談のうえ、皮内反応(プリックテスト)などを行いながら、慎重に接種してください。
【川崎病】インフルエンザにかかった時、アスピリンの内服はどうする?
インフルエンザにかかっていたときにアスピリンを内服継続すると、中枢神経症状を主とする『ライ症候群』の発症のおそれがあります。
担当医師と相談のうえ、他薬剤の内服を推奨します。
怖がらずに受けさせるための方法
特にお子様の場合、病院やクリニックに行くこと自体や、ましてや注射をするなどといったことで恐怖におびえ、トラウマとなってしまいそうなくらい嫌がるなんてこともありますよね。
そういった場合には
- ワクチン接種をしたら風邪にかからない
- 遊びに行けると教えてあげる
- ほめてあげる
などといった心理的なモチベーションを高めることで、予防接種におけるワクチンを打つことの必要性についてきちんと理解させてあげることが重要です。
インフルエンザ予防接種の副反応

季節性インフルエンザで比較的多くみられる副反応(副作用)は、局所的な反応と全身の反応に大別されます。
局所的な反応は、接種を受けた人の10~20%に起こりますが、通常2~3日でおさまります。
- 赤み(発赤)
- はれ(腫脹)
- 痛み(疼痛)
などとなっております。
また、全身の反応は接種を受けた人の5~10%に起こり、通常は2~3日でなくなります。
- 発熱
- 頭痛
- 寒気(悪寒)
- だるさ(倦怠感)
等です。
その他、ごくまれに以下のような重い副作用の報告があります。
- アナフィラキシーショック(呼吸困難、紅潮、蕁麻疹などのアレルギー症状)
- ギラン・バレー症候群
- 急性脳症
- 急性散在性脳脊髄炎
- けいれん
- 肝機能障害
- 喘息発作
- 血小板減少性紫斑病
異常があった場合は速やかに摂取した医療機関に連絡することをおすすめします。
インフルエンザ予防接種の料金

民間企業の調査結果によると1回あたりの摂取料金が、1,000円~6,500円と価格差は大きいです。
平均的には
- 大人が3,500円前後
- 子供が3,000円前後
が多いようです。企業が加入している健保組合によっても、補助の金額が違う場合があるので、摂取する際には、一度加入している健保組合に確認するとよいでしょう。
まとめ

国内外を問わずエボラ出血熱やジカ熱、デング熱といった感染症が話題になることが増えています。
毎年のように流行するインフルエンザは、日本人にとって最も身近な感染症と言っても過言ではないでしょう。
インフルエンザはかかると非常につらい病気であると同時に重症化が怖い病気でもあります。
また、症状が重いためインフルエンザにかかると大事な用事が台無し、なんてことにもなりかねません。
一人ひとりが早期に予防することで、感染拡大を防いでいきインフルエンザに備えましょう。
あなたの疑問や不安は解消されたでしょうか?
現在のインフルエンザワクチンは、感染そのものを防ぐというよりは感染した場合の重症化を防ぐという点で効果を発揮するものです。
10月下旬から11月下旬ごろの、流行が全国的に本格化する前の期間に、計画的に接種を受けておくことをおすすめします。
毎年インフルエンザは話題ですね。かからないよう、症状が軽くなるように予防は大切ですね。
コメントありがとうございます1
インフルエンザのような感染症は、私たちの生活や日常と切り離せないものです。
人込みを避け、手洗いうがいの徹底は必須ですよね!
インフルエンザワクチンは効果が立証されているのですね。打った事ありませんが、大丈夫です。
予防接種を受けて今年の冬もインフルエンザにかからないで健康に過ごしましょう!インフルエンザになってからでは遅いです、普段の生活も心掛けたいですね。