毎年少し寒くなってきたかなと思うと猛威を振るい始めるインフルエンザ。
40度近い高熱で苦しんだり、仕事や学校を休んだりするのはできる限り避けたいところですよね。
そんなときに重要なのが、インフルエンザワクチンの予防接種。
特に妊婦さんは、万が一インフルエンザにかかって重症化してしまった場合、赤ちゃんへの影響を心配されることでしょう。
一方で、インフルエンザの予防接種を受けるかどうかについても迷ってしまいますよね。
予防接種に伴う副作用や、赤ちゃんへの影響が気になるからです。
ここではインフルエンザの予防接種に関して、予防接種の効果や副作用、予防接種前後の注意点をご紹介します。
妊婦さんと乳幼児の場合はどうしたらよいのか詳しく見てきましょう!
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インフルエンザワクチンの効果・プロセス

インフルエンザにかかる場合は、大きく分けて感染と発症というプロセスがあります。
インフルエンザワクチンはこの感染を抑える働きはありません。
インフルエンザワクチンは発症を抑え、合併症や死亡などの重症化を防ぐという効果が認められています。
インフルエンザの感染と発症は以下のようなプロセスで起こります。
インフルエンザへの感染
- インフルエンザウイルスが口や鼻から体内に侵入する。
- 体に入ったウイルスが細胞に侵入し、増殖する。
インフルエンザの発症
ウイルスが増殖すると、数日の潜伏期間をへて、発熱やのどの痛みなどのインフルエンザの症状が起こる。
インフルエンザワクチンを接種してから効果があらわれるまでには、およそ2週間かかるといいます。
効果は5ヶ月ほど続きますので、流行期に入る前に、接種しておくことをおすすめします。
【確率】インフルエンザワクチンの副反応の可能性は?

ワクチンは免疫をつけるために接種するものですが、免疫がつく以外の反応(副反応・副作用)を起こすことがあります。
しかし、インフルエンザの副反応は一般的に軽微な症状です。
接種した場所に起こる副反応
接種を受けた人の10~20%の人は、注射をした箇所が赤くなる、腫れる、硬くなる、熱を持つ、痛くなることがあります。
これらの症状は通常2、3日で消失します。
全身の副反応
接種を受けた人の5~10%の人に
- 発熱
- 悪寒
- 頭痛
- 嘔吐
- 下痢
- 倦怠感
- 一過性の意識消失
- めまい
- リンパ節の腫れ
などの症状が起こることもあります。
これも通常は2、3日でなくなります。
【恐怖】重篤な副反応5つの症状

さらに、非常にまれな副反応として以下のような症状が起こることがあります。
アナフィラキシー症状
非常に強いアレルギー反応です。
アレルギーの原因となるアレルゲンに対して、強い反応が起こることで全身にアレルギー症状が現れます。
のどの腫れによって気道がつまることや、血圧が低下すること(アナフィラキシーショック)によって、短時間で命に関わる危険な状態になることもあります。
急性散在性脳脊髄炎
脊髄を中心とする中枢神経に炎症が起き、呼吸困難などの重体になることがあります。
ギランバレー症候群
自己免疫異常(アレルギー疾患)の一つで急性多発性神経炎ともいいます。
末梢神経が短時間で麻痺することで現れる症状ですが、本来は治りやすい病気です。
発病の前に、風邪の症状や下痢などの感染症にかかっていることが多いため、これらの抗体に関係していると考えられます。
足が重い、しびれるという初期症状が現れ、数日のうちに手足が動かなくなります。
重篤な場合は、呼吸筋の麻痺、脳神経の麻痺、顔面神経麻痺などの症状が現れることもあります。
肝機能障害、黄疸
肝機能障害は、肝臓が正常に機能しなくなる状態です。
肝機能障害を放置すると、肝炎や肝硬変、肝臓がんなどになる恐れがあります。
黄疸は主に肝機能障害によって起こります。
全身、特に皮膚や白目の部分などが黄色味を帯びてくる症状が現れます。
ぜんそく発作
ぜんそくになると息をするときにゼーゼーと音がしたり、咳や痰、呼吸困難の症状が現れたりします。
ぜんそく発作では、呼吸困難に陥り、話すことや歩くことが難しくなり、酸素の欠乏により唇や爪が青くなることもあります。
【注意】予防接種を受けることができない人4つのパターン

次のような人はインフルエンザの予防接種を受けることができないので、予防接種を受ける前に該当しないか確認するようにしましょう。
- 明らかに発熱のある人(37.5℃を超える場合)
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人
- 過去に予防接種を受けてアナフィラキシーショックを起こしたことがある人。または、医薬品投与を受け、アナフィラキシーを引き起こしたことがある人
- その他、医師の診察で予防接種を受けることが不適当であると判断された人
予防接種の前に医師へ相談してください
また、以下に該当する人は予防接種を受ける前に医師に相談しましょう。
- 心臓病や腎臓病、肝臓病、血液などの病気がある人
- 発育が遅く、医師や保健師の指導を受けている人
- 風邪の引き始めの症状のある人
- 過去に予防接種後2日以内に、発熱や発しん、じんましんなどのアレルギー反応が出たことのある人。
- 薬の投与や鶏卵、鶏肉などの食事で、皮膚の発しんや体の異常を感じたことがある人
- いままでに痙攣を起こしたことがある人
- 過去に本人もしくは近親者で免疫状態の異常を指摘されたことがある人
- 妊婦、もしくは妊娠の可能性のある人
- 気管支ぜんそくのある人
今一度確認し、あなたやあなたの大切な人のために知っておいてくださいね。
【妊婦】知っておくべき有益性と危険性

妊婦さんはインフルエンザにかかった場合に重症化する危険が高いとされています。
そのため、WHO(世界保健機構)では、妊婦さんをワクチン接種の優先対象としています。
気になるのは副作用ですが、妊娠初期にインフルエンザワクチンを摂取したことで流産や先天異常の発生リスクを高めるという報告はないそうです。
また、インフルエンザワクチンを接種したからといって、母乳を通じて赤ちゃんに影響がでることもありません。
ただし、ワクチン接種にはいくつかの副反応が伴うことがあります。
発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、嘔吐等は代表的な副反応です。
また上記でもご紹介したように、
- アナフィラキシー様症状
- 急性散在性脳脊髄炎
- ギランバレー症候群
といった重大な副反応も報告されています。
妊娠中は、どんなに危険が小さいように見える場合でも、万が一に備えて慎重に行動することが大切です。
海外での報告では、妊婦さんはインフルエンザ にかかった場合に重症化しやすいとされています。
ただ、現在のところ日本ではそうした重症化の例は報告されていないといいます。
自分自身の基礎疾患を把握し、ワクチン接種による有益性と危険性のどちらが上回るのかを主治医とよく相談して決めることが大切です。
【インフルエンザ予防接種】乳幼児に対するワクチン

乳幼児に対するインフルエンザのワクチン接種は生後6か月目から可能です。
注意すべきは、その他の予防接種とどのように組み合わせるかという点です。
まず、インフルエンザのワクチン接種3つの特徴を把握しておきましょう。
- 乳幼児の場合(13歳未満)、2回の接種が必要
- 1回目の接種の後、2から4週間程度空けて2回目を接種すると効果が高い
- インフルエンザワクチンは、死んだ病原体を無毒化させた「不活化ワクチン」のため、1週間後から他のワクチンの接種が可能
なお、「生ワクチン」を用いるMRワクチン(麻疹(はしか)・風疹(ふうしん))、水痘の予防接種の場合、接種後4週間経たなければ他の予防接種を受けることはできません。
インフルエンザの流行が予想されるときは、先にインフルエンザのワクチン接種を2回済ませる、あるいは同時に他の予防接種を受けるとよいでしょう。
いずれにしても、どのタイミングでどの予防接種を行ったらよいかについて は、医師とよく相談して決めてください。
予防接種後4つの注意点

- 予防接種を受けた後の30分程度は、医師とすぐに連絡をとれるようにしておく必要があります。急な副反応が起こる危険性があるためです。
- 入浴は差し支えありません。ただし、注射した部位をこするのは控えましょう。
- 接種当日は接種部位を清潔に保ち、いつも通りの生活をしましょう。ただし、激しい運動や大量の飲酒は控えましょう。
- インフルエンザの副反応の多くは接種後24時間以内に現れます。万が一高熱や痙攣などの異常な症状が現れた場合は、速やかに医師の診断を受けてください。
まとめ

今回はインフルエンザの予防接種の効果や副作用、予防接種前後の注意点をご紹介しました。
重篤な副反応はごくまれにしか現れないため、過剰に心配する必要はありません。
万が一のために正しい知識を身に着け、迅速な行動ができるようにすることが重要です。
インフルエンザのワクチン接種については、基本的に妊婦さんの場合も乳幼児の場合も積極的に受けてかまいません。
ただし、妊婦さんの場合は万が一を想定し、予防を徹底することを条件にワクチン接種は控えるという選択肢もあります。
乳幼児に関しては、外出が増える1歳以降に、他の予防接種との組み合わせを考慮した上で接種するとよいでしょう。
万が一、インフルエンザに罹ってしまった場合は、当サイトの他の記事を参考に早急な対策をしてください。
インフルエンザ摂取で重篤な症状が防げるのなら、是非 打っておきたいですね。妊婦さんや赤ちゃんを優先する考えは、優しいことです。