人の身体の中に病原体が入ることによって起こる病気を感染症と呼んでいます。
インフルエンザウィルスもこの病原体の一つで、学校など人がたくさん集まる場所での感染を予防するために、
- 鳥インフルエンザ(H5N1)は治るまで学校に行ってはいけない感染症
- インフルエンザは病気によって学校にいけない日数が決まっている感染症
に指定されています。
学校、会社、施設などで、『インフルエンザの集団感染を防ぐ』にはどうすればよいのでしょうか?
今回は集団感染を防ぐためにインフルエンザの感染と予防方法について紹介します。
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インフルエンザ3つの感染経路

インフルエンザの感染の多くは、『飛沫感染』によると考えられています。
また、接触感染や空気感染による感染も成立すると考えられています。
飛沫感染
『感染者のくしゃみや咳』によって、インフルエンザウイルスを含んだ気道分泌物の小粒子が周囲に飛び散ります。
この小粒子を飛沫といい、その数は、1回のくしゃみで約200万個、咳で約10万個といわれます。
粒子は比較的大きいのですが、感染者からおよそ1~1.5メートルの距離であれば、直接に周囲の人の『呼吸器に侵入して』ウイルスの感染が起こります。
また、目などの『粘膜から直接侵入』することもあるようです。
接触感染
飛沫に汚染された環境表面やモノなどに触れることによって『ウイルスが付着した手を介する感染』です。
手についたウイルスを目や鼻、口などに無意識にもっていくことにより、粘膜からウイルスが侵入します。
ウイルスは乾燥した環境中では長時間生きつづけることができるので、感染者が使用した電話やドアノブ、食器、交通機関のつり革などにウイルスが付着して、後からそれを触ったヒトに感染が起こり、広がることがあり得ます。
空気感染
飛沫から水分の飛んだ、ごく細かい粒子(飛沫核)が長い間空中に浮遊するために、感染者と同じ空間にいる人がウイルスを吸入することによって起こる感染です。『飛沫核感染』とも言われます。
狭い気密な部屋などでは粒子が比較的長く浮遊することがあり、空気が低温で乾燥していると、ウイルスはより長く感染性をもち続けています。
このような条件がそろうと空気感染が起こることがあると思われます。
空気感染を防ぐ上では、『空調や換気、温湿度の管理』などが重要です。
家庭内での感染

家族の誰かによってインフルエンザウィルスが外から家庭に持ち込まれると、その人からウィルスがなくなるまで家族の人がインフルエンザに感染する可能性があります。
家族内感染で特に多いのが、『乳幼児からの感染』です。
乳幼児同士が最も多く、次に乳幼児から母親への感染が続きます。
母親は乳幼児だけでなく、すべての家族から感染を受ける立場にいます。
家族内で接触があれば免疫があってもインフルエンザは感染する可能性が高いからです。
予防方法
- 乳幼児は免疫力が低いので『ワクチン』を接種する。
- 流行期は外出を控える。
- インフルエンザにかかったら家庭内でも接触を避ける。
学校での感染

小学校などのクラスでインフルエンザにかかった児童が一人いると、あっという間にクラスの中に広がって欠席者が数人でます。
初めに発症した人と接触して感染し、広がっていくからです。
同時に発症することもあれば、潜伏期間を経て発症することもあります。
出席停止期間を終えてから登校した児童から感染が広がる可能性は低いことが分かってきました。
予防するには?
- インフルエンザにかかったと思ったら『早めに医療機関を受診』する。
- もしインフルエンザにかかったときは、出席停止期間を守る。
- 学校保健安全法施行規則に定められている出席停止期間は、『発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで』です。
病院や施設での感染

病院の入院患者や高齢者施設の入居者などは、インフルエンザにかかると重症化する恐れがあります。
飛沫感染
インフルエンザウィルスは、発症者の咳やくしゃみなどによって周りに飛散します。
大きい粒子の場合は、1~1.5メートルの距離は飛び、周りの人の呼吸器に侵入してウィルスの感染が起こります。
接触感染
インフルエンザにかかっている人が、ウィルスが付いた手でドアノブやスイッチなどに触れます。
そのあとに別の人が触り、その手で自分の目、鼻や口に触れると、ウィルスが感染します。
飛沫核感染
インフルエンザにかかっている人から細かいウィルスの粒子が排出されて空気中に浮遊します。
同じ空間にいる人がウィルスを吸入することによって、インフルエンザに感染することもあります。
予防方法
インフルエンザウィルスは、感染力がとても強いので施設内にウィルスを持ち込まないようにします。
- 手を洗う。
- マスクをする。
- 咳エチケットを徹底させる。
- インフルエンザの流行期には、不要不急な面会や外出を制限する。
- 職員へワクチンを接種する。
集団感染を予防するには

早期治療が大切です。
治療の遅れが感染率に影響するので、インフルエンザの治療は、『発症してから48時間以内に行う』ように推奨されています。
治療が遅れると、症状が長引いたり家族内感染の確率も高まるからです。
日常生活4つの注意事項

①外出時にはマスクを着用し、できるかぎり人混みを避ける
マスクは飛沫の拡散を抑えるのに効果があるため、外に病原体が出にくくなりますが、外からのウイルスの侵入を完全に防ぐ効果は期待できないといわれています。
しかし、ウイルスが付着した手などで口の周りを触る機会を減らしたり、喉の湿度を保ち気道の粘膜を保護する効果があるため、マスクの着用は必要です。
最近市販されている家庭用マスクのほとんどは、不織布製マスクというものです。
このマスクを着用する時は、鼻から顎までしっかりと覆うようにし、隙間ができないようにすることが大切です。
また、人が集まっているところは、それだけウイルスが蔓延している可能性があります。
可能ならば、人混みは避けると良いでしょう。
②睡眠をしっかり摂り、栄養のあるものを食べる。
免疫力が低下すると、インフルエンザに感染しやすくなります。
免疫の働きをよくするには、『十分な睡眠とバランスのよい食事』が大切です。
免疫力を高める食材として、にんにく、バナナ、かぼちゃ、ヨーグルトなどがあるため、これらを普段の食事で摂るように心がけましょう。
③室内は加湿する
乾燥すると喉や鼻の粘膜の防御機能が低下するため、『50~60%の湿度を保つ』と良いです。
室内は加湿器を使ったり、水分を含ませたタオルをハンガーでかけておくと良いでしょう。
また、予防法の一つ目にも書いたように、マスクの着用も効果があります。手をあらいましょう
④外から帰った後の手洗い
生活の中で私たちは様々なものに触れ、ウイルスが手などに付着する可能性があります。
外出先から帰った後には手洗いをしてウイルスを洗い流しましょう。
ウイルスは石鹸に弱く、『15秒以上の手洗いで効果がある』といわれています。
石鹸を使い、指先から手首まで時間をかけて洗うようにし、洗った後はしっかりと水気を拭き取りましょう。
まとめ

インフルエンザウィルスは、感染力が強いので流行期は乳幼児やお年寄りの集団感染が心配ですね。
今回は集団感染を防ぐために『インフルエンザの感染と予防について』紹介しました。
インフルエンザの発症者が出ると、周囲の人に移る恐れがあるので、接触を避けるようにしましょう。
マスク、咳エチケットなど普段から習慣をつけておくことが大切です。
また、インフルエンザを発症してしまったら『早めに医療機関』を受診しましょう。
これから始まるインフルエンザ流行期。
私たち一人一人が対策を考えて予防し、集団感染を防ぐようにしましょう。
特に冬はインフルエンザがはやるので気を付けないといけませんね。集団生活をしている施設や学校などは感染しやすいので、注意します。