毎年冬になるとインフルエンザの流行が心配されます。
最近はA型インフルエンザ、新型インフルエンザなどという言葉も耳にするようになりました。
2013年に中国で発生した、鳥インフルエンザの流行も記憶に新しいでしょう。
これらインフルエンザの種類は何によって分けられ、どんな違いがあるのでしょうか。
今回は『インフルエンザの種類・種類別の症状』についてご紹介します。
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インフルエンザの種類は?3つの『型』が超重要

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因となって発症します。
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分けられます。
A型インフルエンザは以下のように4つの種類に分けられています。
インフルエンザA型4つの種類
- スペインかぜ(H1N1)
- アジアかぜ(H2N2)
- 香港かぜ(H3N2)
- ソ連型(H1N1)など
あとは
- インフルエンザB型
- インフルエンザC型
とあり、計3つの型があります。
特にインフルエンザA型は、ウイルスの変異するスピードが速く、大流行を繰り返しています。
その歴史をさかのぼると、1918年のスペイン風邪や1957年のアジア風邪といった世界的規模で大流行し、人々の命を脅かしてきた経緯もあります。
一番記憶に新しいのは、2009年春の新型インフルエンザ。
新型インフルエンザは、新たなウイルスが流行する可能性もあり、油断できません。
また、インフルエンザA型の中には、鳥インフルエンザも含まれます。
鳥インフルエンザは人には感染しないと言われていますが、稀に感染するケースがあります。
いずれも鶏肉を食べることからの感染ではなく、野鳥などとの濃厚な接触による感染と言われています。
鳥インフルエンザと新型インフルエンザが混同されがちですが、両者は別物です。
これらの中で、大きな流行の原因となるのは、『A型とB型』です。
A型ウイルスは、さらに亜型と呼ばれる型に分類され、数年から数十年ごとに突然別のウイルスが現れて従来のウイルスにとって代わり、大流行が起こります。
A型ウイルスの亜型ってなんのこと?

ウイルスの表面には『赤血球凝集素(ヘマグルチニン(HA)』『ノイラミニダーゼ(NA)』と呼ばれる突起があります。
赤血球凝集素(ヘマグルチニン(HA)
呼吸と一緒にインフルエンザウイルスが人の喉に入り、HAが喉の細胞の表面につきます。
その後にウイルスが細胞の中に侵入します。現在のところ、18種類確認されていて、1~18までの数字がついています。
ノイラミニダーゼ(NA)
喉から入ったインフルエンザウイルスは、細胞の中で増えます。
増えたウイルスが細胞の外に飛び出すときに、NAがウイルスのHAと細胞がくっついている部分を切り離して、細胞の外へウイルスが放出されます。
いまのところ、10種類分かっていて、1~10までの数字がついています。
このヘマグルチニンとノイラミニダーゼの番号の組み合わせが、インフルエンザウイルスの名前です。
例えば、ヘマグルチニン(HA)の1とノイラミニダーゼ(NA)1の組み合わせのウイルスは、『H1N1型のインフルエンザウイルス』と呼んでいます。
最近では、『H1N1型』『H3N2型』のインフルエンザが多く流行しています。
B型ウイルスは、HAもNAも『1種類』しかありません。
C型ウイルスは、軽いかぜのような症状が現れるだけです。
改めてそれぞれの型について詳しく見ていきましょう!
インフルエンザA型

インフルエンザA型は、主に11月から4月上旬まで流行します。
インフルエンザはA型、B型、C型の3種類がありますが、中でも『A型が一番ウイルスの変異が早く、一番大流行をする型はA型』と言われています。
A型ウイルスはさらに『亜型』と呼ばれるいくつかの種類に分類され、ウイルス粒子の表面にある突起の組み合わせの違いによって分けられています。
例えば、A/H2N2(Aアジア型)、A/H3N2(A香港型)といったようなHとNの番号を使ってあらわされています。
日本国内では、2009年に新型インフルエンザの世界的大流行があって以来、新型インフルエンザのA/H1N12009とA/H3N2(A香港型)、B型のそれぞれの流行が確認されています。
インフルエンザB型

インフルエンザB型は、『インフルエンザa型に比べてウイルスが変異しにくい』ことが特徴です。
数年おきに定期的に流行すると言われており、広い範囲というよりは狭い範囲での感染が多いようです。
そのため、A型に比べると流行の規模はやや小さめと言えるでしょう。
また、B型のインフルエンザウイルスに一度感染すれば免疫ができるため、二度目は感染しにくくなるものの、定期的なウイルスの変異により、数年後には再び感染する可能性もあります。
人の世界で多くの感染が見られる、インフルエンザA型(A/H1N1、A/H3N2(A香港型))と、インフルエンザB型は、感染から発症までの諸症状等に大きな違いはないと言われています。
インフルエンザC型

インフルエンザC型は、インフルエンザA型、B型と比較すると、感染する年齢に偏りがあるようです。
主に6歳以下の子どもに感染しているケースが多く、インフルエンザA型、B型と比較すると症状はやや軽いと言われています。
感染する季節がインフルエンザA型、インフルエンザB型と少々異なり、1月から6月が流行しやすい季節となっています。
通常インフルエンザA型とB型は11月から4月上旬まで流行しやすいため、C型に関しては4月以降も注意が必要と言えます。
また、インフルエンザA型、B型のような有効なワクチンは今のところなく、インフルエンザA型と比較するとウイルスの変異もほとんど見られないため、一度感染すると二度目以降の感染に対し、抗体ができているため症状が軽くなる傾向にあります。
インフルエンザの種類別の症状とは?

インフルエンザA型の症状
インフルエンザの主な症状は、『38℃以上の急な発熱、頭痛、関節痛や筋肉痛、倦怠感などの全身症状』が強くあらわれます
あわせて鼻水、咳、のどの痛みなどの症状もみられます。
熱は急にでることが多く、初期症状が出てから1日目から3日目に38~39℃あるいはそれ以上になったあと、鼻水や咳、くしゃみなどの諸症状があらわれ1週間程度で快方へ向かいます。
インフルエンザA型は、インフルエンザB型、C型と比べやや症状が強く、『高熱にさらされる期間も長め』です。
重篤化しやすいため注意が必要です。
インフルエンザB型の症状
インフルエンザA型と大きな違いはありません。
インフルエンザB型の主な症状は、A型と同様に
- 急な38度以上の発熱
- 頭痛
- 鼻水
- のどの痛み
- 咳
- 関節痛
- 筋肉痛
- 全身の倦怠感
などがあります。
A型と少々異なる点は、高熱の後に中耳炎や肺炎などの『呼吸器系に強い症状』がみられることが多く、腹痛や嘔吐など消化器系にも症状が起こりやすいようです。
感染はインフルエンザA型と異なり、動物を介することはなく、『人から人への感染』となります。
インフルエンザC型の症状
インフルエンザC型も基本的な諸症状は、インフルエンザA型、インフルエンザB型と変わりません。
急な38度以上の発熱、頭痛、鼻水、のどの痛み、咳、関節痛や筋肉痛などの全身の倦怠感などがあります。
しかし、熱が出る日数が約2日と、インフルエンザA型と比べるとやや軽い傾向にあります。
インフルエンザc型の感染者のうち6割が、高熱・咳・鼻水の症状があらわれており、幼児は気管支炎や肺炎になるケースが多いようです。
重篤化することは少ないようですが、油断はできないため、やはり注意が必要です。
新型インフルエンザってなんのこと?

インフルエンザは、数十年おきに今までのインフルエンザウイルスとは全く違う『新型インフルエンザ』に変異したウイルスが発生します。
これまでにであったことのない新しいウイルスのため、誰も免疫を持っておらず、新型インフルエンザが発生すると短い間に広がり、大流行になる可能性があります。
20世紀には、1918年にスペインかぜ、1957年にアジアかぜ、1968年に香港かぜと3回の新型インフルエンザが発生しました。
【驚愕】鳥インフルエンザが恐い

なぜ人間に感染するの?
たいていのウイルスは、感染する動物は決まっていますが、インフルエンザウイルスはヒト、イヌ、ネコ、ニワトリ、ブタなど様々な動物に感染することができます。
どんな動物にでも感染できますが、すべてが同じかたちのウイルスではなく、人に感染するウイルスは人に合ったかたちをしており、鳥に感染するウイルスは、鳥に合ったかたちをしています。
よって、鳥の中で流行するインフルエンザウイルスは、本来人には感染しにくいはずですが、大量のウイルスを吸い込むことによって鳥インフルエンザウイルスが人に感染して病気を起こすことがあるのです。
鳥インフルエンザは人から人にうつるの?
鳥インフルエンザに感染しても、『患者からほかの人にうつることはほとんどありません。』
しかし人への感染が繰り返されるうちに、鳥インフルエンザウイルスが人の身体に合うように変異することがあります。
人の体内で増えやすいウイルスが作られるようになり、他の人へ移っていく力をウイルスが持つようになるのです。
こうして人から人へと感染するまでに変異したウイルスは、鳥インフルエンザウイルスではなく人インフルエンザウイルスに変異したことになります。
もともとが鳥のウイルスのため、ほとんどの人が感染した経験を持たず、大流行を起こす恐れがあります。
新型インフルエンザの流行は予測できるのか?
2014年の冬に、鳥インフルエンザウイルスから新型インフルエンザに変異する可能性が心配されていたのが、『H7N9型鳥インフルエンザウイルス・H5N1型鳥インフルエンザウイルス』です。
H7N9型は、中国での感染が報告されており、人の体内でも増えるまでに変異することが分かりました。
H5N1型は、香港で発生し、東南アジア、ヨーロッパ、アフリカなど広い地域で鳥の間で広がり、人への感染も報告されています。
日本の養鶏場にもウイルスが侵入したので、ニワトリの処分や周囲の消毒が行われました。
残念ながら、最新の研究をもってしても、どんなウイルスがいつ、どの程度発生するかを正確に予測することはできません。
そのため2015年より、従来の3価ワクチンではなく4価ワクチンを使うようになりました。
3価ワクチンには3種類(A型2種類・B型1種類)の3種のワクチン株しか含まれていませんでしたが、4価ワクチンには4種類(A型2種類・B型2種類)のワクチン株が含まれています。
より多くのタイプのウイルスに備えよう、というわけです。
まとめ

インフルエンザウイルスはその種類として、A型、B型、C型に分けられることが分かりました。
インフルエンザは、変異のスピードが速いA型や変異が少ないB型やC型がありましたね。
また、A型はヘマグルチニンとノイラミニダーゼの組み合わせで出来ており、『突然変異』の可能性もあります。
ウイルスは人だけでなく様々な動物に感染するので、鳥インフルエンザウイルスが人インフルエンザウイルスに変異して、新型インフルエンザとなる可能性もあります。
感染しないためにも、感染させないためにも、インフルエンザについて知識を深め、対策することが大切ではないでしょうか。
インフルエンザウイルスに負けない、楽しい冬を過ごすために、個々でできる対策は万全に行いたいものですよね。
鳥インフルエンザにかかった養鶏場の鶏が大量に処分されるニュースが出回ることがありますが、人間に感染したら大変なのでよろしくお願いしたいですね。