冬になると様々な感染症が流行りだし、とても心配ですよね。
ウイルスへの感染が原因で下痢などを引き起こす病気といえば、『ノロウイルス』が有名ですが、同様に注意しなければならないのが『ロタウイルス』です。
ロタとは、ラテン語で車輪を意味する言葉です。
ロタウイルスを電子顕微鏡で見ると車輪のような形をしているので、このように名付けられました。
流行のタイミングはノロウイルスよりもやや遅く、早ければ1月頃から始まって3~5月にピークを迎えます。
冬に流行りやすいロタウイルスの症状とはいったいどんなものがあるのでしょうか?
ぜひとも予防・対策・治療方法は知っておくべきですよね。
『ロタウイルスは乳幼児を中心に流行するという特徴』があるので、小さなお子さんをお持ちの方は特に気をつけてください。
今回は『ロタウイルス感染症の症状・予防・対策・治療方法』について詳しく紹介します。
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100万倍以上!?便に含まれる量がハンパない…

ロタウイルスとノロウイルスを比較してみましょう。
まず、ウイルスの大きさですが、ロタウイルスは直径約100ナノメートルなので、ノロウイルスの約倍の大きさといえます。
問題はその量です。
感染者の下痢便1グラムには1000億から1兆個のロタウイルスが含まれています。
この量は、『ノロウイルスのなんと100万倍! 』
子どもがロタウイルスに感染しやすいのも頷けますよね。
5歳までにほぼすべての子どもが感染

『ロタウイルス感染症』は子どもに頻繁に見られる胃腸炎です。
就学前の子どもの約半数がロタウイルス感染症によって小児科外来を受診するといわれています。
厚生労働省によれば患者数は年間約80万人、そのうち15~43人に1人が入院しているそうです。
5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40~50%はロタウイルスが原因といわれています(厚生労働省)。
【恐怖】ロタウイルスの主な症状

大人の場合はすでに何度もロタウイルスに感染しているため、ほとんどの場合症状は出ません。
感染経験の少ない子どもには次のような症状が出ます。
- 白い便が出る
- 水のような下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 腹痛
まず、ロタウイルスに感染すると2~4日の潜伏期間を経て(2日以内のことが多いです)
- 水のような下痢
- 嘔吐
といった症状が繰り返し起こります。
また、『白い便が出ることがロタウイルス感染の最大の特徴』です。
お子さんの便の色が薄くなるようなことがあれば、感染を疑いましょう。
下痢の程度はウイルス性の胃腸炎の中では一番重く、重症化すると脱水症状が数日間続き、発熱や腹痛を伴うこともあります。
冬場に子どもにこのような症状が出たらロタウイルス感染症を疑う必要があります。
特に、初めてロタウイルスに感染した場合に症状が重くなる傾向があるので注意しましょう。
重症化すれば死に至ることも

ロタウイルス感染症は非常に頻繁に見られる身近な病気といえますが、決して侮ることはできません。
重症になると、
- けいれん
- 肝機能異常
- 急性腎不全
- 脳症
- 心筋炎
などが起き、死に至るケースもあります。
日本におけるロタウイルス感染症による死亡例は毎年2~18名にのぼると報告されています(平成12年~24年厚生労働省人口動態統計)。
意識の低下やけいれんといった症状が現れているようなら非常な危険な状態と考えられます。
ロタウイルス感染症の予防法

ロタウイルス感染者の下痢便1グラムには1000億から1兆個のロタウイルスが含まれています。
その内、わずか10~100個くらいのロタウイルスが口から入っただけで感染が起きます。
そのため、ロタウイルス感染症で最も重要なのは、便が衣類や食器、手などを介して口の中に入ってしまわないようにすることです。
すべてのロタウイルスを除去することは困難ですが、『手洗いが予防の基本』となります。
また、感染を広げてしまわないために『オムツの処理』も重要です。
オムツを交換するときは、できるだけ使い捨てのゴム手袋を使い、使い終わったらポリ袋などに入れて処分します。
ウイルスが付着していると思われる衣類を洗濯するときは家庭用塩素系漂白剤でつけおき消毒した後、他の衣類と分けて洗濯するようにします。
手洗いの際は指輪や時計をはずし、30秒以上もみ洗いするようにします。
ロタウイルスのワクチン

ロタウイルスのワクチンに関して、日本では
- 単価ロタウイルスワクチン
- 5価ロタウイルスワクチン
の2種類のワクチンの接種が認められています。
ロタウイルス感染症の原因になるウイルスには5つの血清型がありますが、単価ロタウイルスワクチンはロタウイルスの中で最も一般的な血清型をもとに作られています。
一方、5価ロタウイルスワクチンは5つの血清型すべてに対応したもので、後から承認されました。
それぞれ接種回数と接種期間が異なるので注意しましょう。
単価ロタウイルスワクチン
- 任意接種
- 2回接種
- 接種期間:生後6~24週の間
- ヒト由来の株を使用
5価ロタウイルスワクチン
- 任意接種
- 3回接種
- 接種期間:生後6~32週の間
- ウシ由来の株を使用
ロタウイルスワクチン接種は『乳幼児のみ』が対象となります。
また、いずれのワクチンの場合も1回目の接種は、副反応と考えられている腸重積のリスク予防目的で14週6日までが推奨されています。
ワクチンを接種できる機会は限られているので、希望する場合は出産直後から計画を立てておくとよいでしょう。
基本的に下痢止め薬は使わない

ロタウイルス感染症に対する抗ウイルス剤等はありません。
治療は、
- 栄養素を補うこと
- 脱水症状を防ぐこと
が中心となります。
自然治癒力に期待して回復するのを待つことになります。
下痢にはウイルスを体の外に排出するという働きがあるため、下痢止め薬によって早期に止めてしまうと、かえって回復を遅らせることもあるので注意してください。
【対策】家での対処の仕方は?

子供がロタウイルスにかかり、保育園はおやすみ。
家での対処についても触れておきましょう。
ロタウイルスで一番注意が必要なのは、
- 二次感染の防止
- 子供の脱水
です。
ロタウイルスの感染ルートは、患者の便が人の手に触れ、洗い落としきれずに口を経路として次の人へ感染するというものです。
オムツをしている子供の場合、使い捨ての手袋などを使用し、オムツはポリ袋などに入れて口を縛り処分をします。
指輪などは外して処理をしましょう。
万が一手に触れた場合には石鹸で30秒以上のモミ洗いを行います。
衣類に付いた場合はノロウイルスの消毒と同じように対処を行います。
二次感染の予防と並行して気を付けたいのは『子供の脱水症状』
おしっこをちゃんとしているか、唇が乾燥していないかをよくチェックします。
脱水症状が少しでも見られたようでしたら病院へ行きましょう。
子供が胃腸炎系の病気になって怖いのは、
- 脱水症状
- 体重の低減
です。
命に関わることなので早めに受診してください。
まとめ

ロタウイルス感染症は、ほとんど『子どもの間にしか見られない病気』です。
感染を経験することで次第に症状は出なくなりますが、初めて感染する子どもに関しては要注意といえます。
ロタウイルス感染症が流行する冬場に強い下痢の症状や脱水症状が現れたらロタウイルス感染症の可能性があります。
症状が悪化する前に適切に医療機関を受診することが大切です。
良く似た名前でも症状が違うのでしょうね。ノロウィルスはニュースで放送されるので良く耳にします。ノロとロタどちらも2文字で覚えやすいです。