『食中毒って梅雨時じゃないの?』と思われているあなた。
特に夏場等をイメージされる方も少なくありませんよね。
高温多湿の日本の夏は、細菌が繁殖しやすく食品の腐敗は早いです。
買ってきたものを冷蔵庫に入れ忘れると、たいして時間が経っていなくても、変な匂いを発することがあります。
用心深くなる季節だといえるでしょう。
しかし、忘年会や新年会など宴会が多くなるこの季節に、ピークを迎える食中毒があることを忘れてはなりません。
それは『ノロウイルス』です。
今回は『ノロウイルスの症状・対処法・食品の加熱処理方法』について紹介します。
ノロウイルスを予防するには基本的な知識をもって対策を練る必要があるんです。
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胃腸風邪!?感染性胃腸炎とは?

ウイルスが原因でおこる感染性胃腸炎は、1年を通して発生しますが、特に冬に流行します。
原因となるウイルスには『ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス』などです。
一般的にはノロウイルスは冬季の前半にはノロウイルスによる胃腸炎が多く後半から春にかけてはロタウイルスによる胃腸炎が多くなります。
ロタウイルスやアデノウイルスは乳幼児に好発しますが、ノロウイルスは成人も含め全年齢にみられます。
特に『抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は重症化しやすい』ので注意が必要です。
ノロウイルスとは?

ノロウイルスとは『ヒトの小腸粘膜で増殖するウイルス』です。
従来は小型球形ウイルスと呼ばれていました。
主に『11月から3月にかけて』胃腸炎を起こします。
少量のウイルス(100個以下)でも発症し『感染力のとても強いウイルス』で保育園や高齢者施設など集団生活の場では、感染がひろがり集団発生を引き起こしやすいといえます。
ノロウイルスの潜伏期間と初期症状

潜伏期間とは、ウイルスが体内に入ってから、症状を発症するまでの期間の事をいいます。
ノロウイルスの場合、発症までの潜伏期間は『およそ1日から2日以内』だとされています。
その後、下痢や嘔吐等の症状が現れ、2日から3日程の発症期間を経て、回復期へと向かいます。
しかし回復期に入っても発症してから1週間程はウイルスが体内に残り、『二次感染のリスク』があります。
ノロウイルス以外の食中毒は、1件あたり平均患者数は13,5人。
一方、ノロウイルスによる食中毒の患者数は36,9人と約3倍にものぼります。
学校や高齢者施設、その他の公共の場所で感染が爆発的に広がります。
乳幼児や高齢者が感染すると重症化することも多く、自分の嘔吐物を吸い込んで肺炎を発症することもあります。
そのため、周りに感染者を増やさないためにも、人との接触は控えた方が望ましいでしょう。
ノロウイルスの初期症状は主に、
- 微熱
- 下痢
- 嘔吐
です。
また、予兆のない急な嘔吐や、チクチクと刺すような辛い腹痛の症状が出ることがあります。
この中で、最も早く出る症状として一般的なのが『微熱』です。
そのため、発症当初は風邪と混同してしまう人も少なくありません。
周囲でノロウイルスが流行し、微熱が続いた後に嘔吐や下痢症状が現れるようであれば、感染を疑いましょう。
もし怪しいなと思ったら、『人との接触を避け、安静を心がけること』が重要です。
発症時に気を付けるポイント

発症すると、『下痢と嘔吐』を繰り返します。
水分補給をしてもすぐに嘔吐してしまうくらい重症化する場合もあれば、軽い嘔吐の症状のみしか現れずにすむといったように比較的軽症で済む場合もあり、症状は人それぞれです。
現状、ノロウイルスに対する抗ウイルス剤や、即効性のある内服薬等はありません。
もしも発症した場合、ウイルスの特性上、体内から排出する事が大切ですので、下痢止めの内服薬の処方は控えたほうがいいでしょう。
まずは、『水分補給と栄養補給、そして安静』が最も重要になります。
水分補給もただの水ではなく、できれば電解質の入っているイオン水が望ましいでしょう。
また、重症の場合、いくら水分を摂っても次々に嘔吐してしまうため、脱水症状に陥る危険性があります。
その場合には、早急に病院に行き、医師から補液等の処置をしてもらうことをおすすめします。
回復した後も注意を怠ってはいけない!

ノロウイルスは人の腸内で増殖し、便に残ったものが下水を通じて河川・海に流れ、プランクトンなどと一緒に牡蠣やホタテ貝などの二枚貝に取り込まれて濃縮されます。
『汚染された貝を、生あるいは十分に加熱せずに食べると』ノロウイルスは腸内で急激に増殖し、さまざまな症状を引き起こします。
ほかにもウイルスのついた手指や食器などからの感染もあります。
12日前に汚染されたカーペットから感染した例もあるというから、このウイルスのしぶとさがうかがえます。
汚物の始末は、マスクに使い捨て手袋、エプロンを装着し、拭き取った後は塩素濃度約200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取り、水拭きします。
処理前に乾燥するとノロウイルスは空中に漂います。
空気感染も引き起こすため、速やかな処理が必要です。
元気に回復しても注意して行動しないと、うっかり自分が感染源になることがあります。
『症状が治まった後も1〜2週間は、便に排泄される』といわれているからです。
感染しても自覚症状のない人が一番やっかいです。
感染が疑われる場合や、症状がなくても同席した人が食中毒になった場合は、医療機関や最寄りの保健所に相談して指示を仰ぎましょう。
食べないことが最大の防御?
「君子危うきに近寄らず」、この時期は牡蠣やホタテを一切食べない、というのもひとつの予防です。
しかし、食べたら必ず食中毒になるわけではありません。
他人から感染する場合もあります。
格段においしくなるこの時期、好物な人が手を出さずにいられるでしょうか。
そこで、食べる派へのアドバイス。
- 加熱調理用と記載された商品は決して 『生』で食べないこと。
- 調理は『中心部分に85度以上、90秒間以上の加熱』をすること。
これでウイルスは失活します。
牡蠣鍋やアサリの酒蒸しなど、この加熱を目安にするといいでしょう。
使用した調理器具はすぐに洗い、85度以上の熱湯で1分以上消毒すると安心ですね。
食品の加熱処理3つのポイント

十分な加熱でノロウイルスを不活化
ノロウイルスによる食中毒を防ぐためには、食品取扱者や調理器具からの二次汚染を防ぐことに加え、食品を中心部までしっかり加熱することが大切です。
ノロウイルス食中毒の原因食品
二枚貝の中腸腺にノロウイルスを濃縮・蓄積食品から直接ノロウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約7割では原因食品が特定できていません。
感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因となっているケースが多いことが、原因商品を特定できない要因となっています。
そのほかの原因としては、ノロウイルスに汚染された二枚貝がありますが、生や加熱不足のものから食中毒が発生しており、十分に加熱すれば食べても問題ありません。
ノロウイルス食中毒を防ぐためには高温加熱
生食はできるだけ避け(二枚貝は特に)、中心部まで十分加熱処理したものを提供しましょう。
二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は、『食品の中心温度85~90℃で90秒間以上の加熱』が必要です。
まとめ

今回は『ノロウイルスの症状・対処法・食品の加熱処理方法』について紹介しました。
ノロウイルス汚染の恐れのある食品は食品の中心を『90℃前後90秒間以上の加熱』をしましょう。
また、帰宅後や食事前、トイレの後には石鹸を使って十分に手洗いしましょう。
水だけでは細菌やウイルスを取り除けません。
特に調理時は、石鹸をよく泡立て、指の付け根や爪の間、手首などもしっかり洗い、流水ですすぐを習慣にしましょう。
ノロウィルスでも食中毒でもニュースで聞くと、まだまだ危険な時代だと思います。食べ物は生ものなのでどうしてもよく加熱しないと安心できませんね。