インフルエンザのウイルスの感染前に予防目的で投与するのはワクチンですね。
一方、インフルエンザウイルス感染後に病院で処方されるのが、『タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬』です。
しかし、これらの薬剤はウイルスを消滅させるものではなく、『ウイルスの増殖を抑制すること』を目的としています。
そのため、症状が出たため、薬を処方してもらうためにすぐに病院に行き、余計に症状を悪化することにもなり兼ねません。
また、待合室などの共有の空間では他の患者さんへの感染のリスクも高まります。
海外ではインフルエンザは自然治癒するウイルス感染症であり、『安静にすることが何よりの治療』と考えられています。
タミフルやリレンザの抗インフルエンザ薬を服用すれば、当然、副作用も懸念されます。
今回は
- 5種類の抗インフルエンザ治療薬の効果や投与方法、副作用について
- 日本がタミフル大国になった理由
- インフルエンザに対する海外の考え方
の3点の項目に分けて紹介します。
お好きなところからどうぞ
【恐怖】あなたは知ってる?抗インフルエンザ薬で起こった副反応

インフルエンザのウイルスに感染前、予防目的で投与するのがワクチンなら、感染後に病院で処方されるのが、タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬です。
しかし、これらの薬剤は、決してウイルスを『消滅させる』ものではありません。
ウイルスの『増殖を抑制する』だけなんです。
それなのに症状が出ると大抵の人が、薬を処方してもらうために病院に行き、余計に症状を悪化させてしまいうのが現状です。
またそれによって、待合室などで他の病気の患者を感染させることにもなりかねません。
薬を服用すれば当然、副作用も懸念されますよね。
抗インフルエンザ薬のなかでもタミフルは、2001年の発売以来、特効薬として日本中で広く使用されてきました。
しかし、高い効果が得られるという評判の一方、『窓から飛び出す、飛び降りる』『部屋の中を駆け回る』 などの異常行動が報告されているんです。
2007年、男子中学生がタミフル服用後、マンションから飛び降りて亡くなるという痛ましい事故が起こったのをあなたはご存知でしょうか?
同剤が精神に作用を及ぼす可能性が指摘され、大きな話題となったので、覚えている人も多いでしょう。
タミフルと異常行動との因果関係は特定されていないものの、そのほかにも似たような症例が何例も報告されています。
また、異常行動や精神障害のほか、全身にしびれが起こり立てなくなってしまった女性が、タミフルに起因するギランバレー症候群と診断された例もある。
タミフルを飲んだからといって、全員に異常行動が見られたり、運動神経障害を起こしたりするわけではありませんが、『精神や運動神経の障害が発現した例もある』という情報を前もって知っていたら、安易に服用する人は少なくなっていたと考えられます。
なお、すでにタミフルには耐性ウイルスが発見されています。
まずは後述するような、そんな抗インフルエンザ治療薬について知っておいてください。
5種類の抗インフルエンザ治療薬について
オセルタミビルリン酸塩(タミフル)

タミフルの効果
タミフルという商品名でお馴染みです。
抗インフルエンザ薬のなかでもタミフルは、2001年の発売以来、特効薬として日本中で広く使用されてきました。
『A型・B型両方のインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ』効果があります。
タミフルの投与経路
カプセル剤、小児では散剤による経口投与が一般的です。
症状が出始めたら『48時間以内に服用』するのが効果的です。
逆に言うと、症状が出てから48時間を超えた患者が服用しても効果がほとんどありません。
48時間を超えた患者に無駄な処方がされないよう注意が必要になります。
ザナミビル水和物(リレンザ)
リレンザの効果
こちらはリレンザという商品名でご存知の方が多いと思います。
『A型・B型インフルエンザ』に効果があります。
リレンザの投与方法
リレンザは吸入薬で、『専用の吸入器を使って1日2回・5日間にわたって吸入』します。
インフルエンザウイルスは呼吸とともに吸い込まれ、気道で増殖します。
そのため、粉薬を直接気道に届けることで即座にウイルスの増殖を抑えることができます。
症状を早く緩和するために、『最初の1回はできるだけ早く吸入』することが大切です。
病院や薬局でリレンザを受け取ったら、できればその場ではじめの1回分を吸入するのがよいでしょう。
リレンザの副作用について
- 下痢
- 発疹
- 吐き気
- 動悸など
の副作用が報告されています。
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル)
イナビルの効果
イナビルという商品名で処方されます。
『A型・B型インフルエンザ』の治療に効果があり、リレンザと同じ吸入薬です。
イナビルの投与経路
イナビルの最大の特徴は、『1回吸入するだけで治療を完結させる』点にあります。
10歳以上は2容器2つを、10歳未満は1容器を吸入するだけで、継続した治療は必要ありません。
ただし、1回の治療でしっかりと薬を吸入する必要があります。
そのため、病院で医師や看護師の指導を受けながら吸入するのが安心です。
特に小さなお子さんの場合、保護者の方も注意して見てあげてください。
イナビルの副作用について
- 下痢
- 悪心
- 胃腸炎
- 蕁麻疹など
の副作用が報告されています。
ペラミビル(ラピアクタ)
ラピアクタの効果
日本ではラピアクタという商品名です。
『点滴注射薬』のため、カプセルを飲んだり粉薬を吸入したりするのが困難な患者さんにも投与することができます。
ラピアクタの投与経路
300mgを15分以上かけて一度だけ点滴静注します(投与する量は、年齢や症状によって減量します)。
基本的には『一度の投与で治療を完結』させます。
症状が重い患者さんの場合は1日1回600mgを何日かに分けて投与することもあります。
タミフル同様、『発症から48時間以内に服用』した場合の有効性が確認されています。
ラピアクタの副作用について
- 下痢
- 白血球減少
- 嘔吐
- 蛋白尿など
の副作用が報告されています
アマンタジン塩酸塩(シンメトレル)
シンメトレルの効果
シンメトレルという商品名で販売されています。
インフルエンザウイルスが粒子を構成できなくする働きを持ち、『A型インフルエンザに対してのみ』効果があります。
またこの薬は、現在は主にパーキンソン病の治療薬として用いられています。
シンメトレルの投与経路
1日に400~1200mgを経口投与しますが、現在この薬はアメリカでは使用が禁止されています。
というのは、この薬に対して耐性を持つウイルスが発生し始めているからです。
シンメトレルを服用した際に解熱・症状緩和にかかる時間が徐々に延びているという報告があります。
そのため、日本では現在も使用されることはほとんどありません。
なぜ日本はタミフルの消費大国となったのか?

出典:http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-56-6f/keijiha123/folder/1766785/47/48708047/img_0
驚くことに、日本のタミフル消費量は『世界全体の75%』を占めます。
毎年、インフルエンザシーズンになると、『日本がタミフルを世界から買い集めている』と言われるほどです。
2009年の新型インフルエンザ流行時に、小児用タミフルが不足して混乱を招いたことが一因とされています。
このように日本政府はタミフルを大量備蓄し、病院では積極的に投与を行っています。
しかし、インフルエンザの流行は日本でだけ起こるわけではありません。
特効薬であるはずなのに、なぜ日本のシェアがこれほどまでに高いのでしょうか。
海外のインフルエンザに対する考え方について

日本以外の国では、『インフルエンザは自然治癒するウイルス感染症』と考えられています。
そのため、抗インフルエンザ薬は必要ないという意見が主流です。
2009年にインフルエンザが世界で大流行しました。
その際、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、健康な成人と子どもに抗インフルエンザ薬は不要という見解を出しました。
また実際に、抗インフルエンザ薬の添付文書にも、A型又はB型ウイルス感染患者全員に投与が必須なわけではなく、病状を十分観察して使用の必要性を慎重に検討するという旨が記載されています。
まとめ

タミフルをはじめとする抗インフルエンザ薬の服用は、インフルエンザワクチンと同様、最終的には自分の判断に任されます。
今回は抗インフルエンザ治療薬の効果や投与方法、副作用についても紹介しました。
『日本の常識が世界共通のものではないこと』を心に留め、その必要性とリスクをしっかりと認識することが大切ですね。
海外ではインフルエンザは自然治癒するウイルス感染症と考えられています。
インフルエンザの症状が出たら、無理して病院に行かずに、まずは家でゆっくり休むことをおすすめしたいです。
そうすれば免疫機能が働き始め、早い治癒が期待できることでしょう。
インフルエンザに効くのならどんな薬も発明して処方して欲しいですよね。苦しい思いはしたくありませんので、今の医療関係の方を信頼するしかありません。