車の運転は常に『事故を起こさないように』と気を張っている状態ではないでしょうか。
飲酒運転はもちろんしてはいけない行為のため、減ってはいるようです。
しかし、
- 深夜の運転
- 睡眠不足
があったりすると、集中力が途切れてしまい、事故につながってしまう場合もあります。
睡眠不足による事故は飲酒運転による事故と同じくらい危険なものなのです。
睡眠不足と車運転の事故について詳しくみていきましょう。
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魔の時間帯

深夜2時~4時が、交通関係従事者の間で『魔の時間帯』と呼ばれているのをご存じでしょうか?
交通事故や重大な事故が集中的に起きる時間帯ということでそう呼ばれています。
『確かにそうかもしれません。私の会社の場合、深夜2時が帰庫可能時間で、もう少しガンバっても4時までに戻らないといけないんですが、その帰路でぶつけて車体を傷つけてくる運転手が結構いますからね』
これは、タクシーで『魔の時間帯』の話題をふった際の、運転手の答えです。
職業柄、事故原因の多くが慢性的な睡眠不足にあるそうです。
ヒトの眠気には12時間周期と24時間周期のリズムが存在し、午後2時と午前2時前後は一様に眠気が高まる傾向があることが、睡眠研究の世界では知られています。
その話もふってみると、運転手は苦笑まじりで次のように答えました。
『昼の2時前後、言われてみれば確かに、その時間帯の交差点でオカマ掘られる例は多いかもしれません。夜中の2時頃も、タクシー同士の接触事故が多い……。眠気に襲われてうっかり、という例が少なくないでしょう』
睡眠時間が少ないほど事故リスクが高くなる~1・2時間減少で2倍!?~

ここまでの話題を裏付けるような米国発の知見を紹介しましょう。
『夜間の睡眠時間が1~2時間少ないだけでも、ドライバーが翌日、自動車事故に遭う確率が、ほぼ2倍になる』。
これは、全米自動車協会(AAA)交通安全財団のBrian Tefft氏らの詳細分析によって示唆されたものです。
自動車事故リスクの原因究明に際し、同氏らは、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の過去調査を再分析する方法を採用されました。
これは2005年7月~2007年12月の期間中、午前6時~深夜0時までの時間帯に発生した交通事故4571件に関して、関連ドライバー7234人を対象に実施された調査データです。
解析を担当したのは、特別な訓練を受けた専門調査員らで、
- 事故の寄与因子
- ドライバーの睡眠習慣
- 睡眠スケジュールの変化
- 事故前24時間の睡眠時間
などを現場の状況に鑑みて比較したものとなっています。
結果、一般に推奨される睡眠時間(7時間以上)を取っていたドライバーに対し、睡眠時間が少ない層ほど、事故リスクが高くなる傾向が判明しました。
具体的な内訳は、事故前の24時間内で
- 『4~5時間しか睡眠時間を取らない』場合のリスクが4.3倍
- 『同4時間未満』になると11.5倍
の数値が導かれました。
『この層の睡眠不足状態は、血中アルコール濃度0.12~0.15で運転することと同じである』と、Tefft氏らはレポート上で指摘しています。
大半の米国の州が、アルコール濃度0.08以上を『法的な飲酒状態』と見なしている事実を知れば、彼らの警告の深刻さが伝わるかと思います。
7時間以下睡眠の事故リスクがヤバい

事実、居眠り運転は『目隠し運転』よりも事故リスクが高いという専門筋の指摘さえあります。
前者の場合、運転がふらつき、走行車線の維持が難儀で、中央線越えや路外逸脱の可能性が高いものです。
また、居眠り運転の場合、速度操作もおぼつかなければ、万が一の際に反応時間やブレーキも遅れ、危険回避が行なえないのです。
ちなみに、推奨される睡眠7時間を下回った場合
- 5~6時間眠っていても事故リスクは1.9倍
- 6~7時間未満で1.3倍
に高まるというから、免許保持者であるならば憶えておきたい数値ですね。
日本の調査でも『ヒヤリ・ハット体験』が〇倍も

わが国の厚生労働省が2006年、トラックドライバー陣を対象に実施した『過労運転等による交通労働災害防止に係る調査研究』でも次のような結果が出ています。
睡眠時間が5時間未満の運転手は、5時間以上の同業者に比べて『ヒヤリ・ハット体験』が2.3倍も高く、睡眠不足による危険性が浮き彫りとなっているのです。
『職場の掲示板に『最近の事故例』が張り出されますが、意外と多いのが公休日明けの乗務員が出庫直後に起こす朝の事故。休日で遊びすぎたり飲みすぎたりして、ついつい寝る時間が遅くなったとかが原因の事故ですね』(前出・運転手)
今回の知見についてTefft氏は、『睡眠不足と自動車事故に巻き込まれるリスクとの関係を、実際に定量化した研究はこれが初めてだと自負している』と述べています。
同報告によれば、事故原因となった運転手側の場合、一様に事故前24時間の睡眠時間が通常よりも少なく、過去7日間で睡眠スケジュールを変えた可能性が高かったとのことです。
また、居眠り運転関連の事故で最も過失が大きかった層は若齢と高齢運転者であり、直接の事故原因ではない運転手側の大半が『中年』という傾向も読み取れました。
普段は人一倍健康に気を使い、睡眠時間も規則的に順守している運転者でも、久しぶりの行楽ドライブやキャンプ行きなどに際しては準備に追われたりして睡眠時間が削られたりするものです。
そんなイレギュラーな行動時こそ要注意なのです。
居眠り運転と前日の睡眠時間との関係

『急な仕事が舞い込んで残業することになった』『同僚たちと話がはずんで帰宅が遅くなってしまった』等、就寝時間が遅くなることは珍しくありませんよね。
その結果、翌日の運転では眠く感じることがあるでしょう。
では、前日の睡眠時間がどのくらいになると、居眠り運転による事故が起きやすくなってしまうのでしょう。
公益財団法人交通事故総合分析センターでは、1996年~2006年までの10年間に起きた約2,000件(前日の睡眠時間が12時間以下)の交通事故の中から、100件ほどの居眠り運転が原因のひとつになった事故を抽出し、居眠り運転事故の特徴の分析を行いました。
それによると、前日の睡眠時間が4時間以下になると、居眠り運転事故の発生率が急上昇することがわかるのです。
また、2006年に厚生労働省が行なったトラックドライバーを対象にした『過労運転等による交通労働災害防止に係る調査研究』によると、睡眠時間が5時間未満のトラックドライバーは、5時間以上のドライバーに比べてヒヤリ・ハット体験が2.3倍も多く、睡眠不足が事故を起こす可能性を高めていることがとてもわかります。
居眠り運転は飲酒運転とよく似ている

もし『目隠しをして車を運転してください』といわれても、とても怖くて運転できないですよね。
しかし、居眠り運転は、『怖い』『危ない』という意識がないために、目隠し運転より事故を起こす危険性が高くなると考えられるでしょう。
居眠り運転では
- 運転がふらつき
- 走行車線を維持することが難しく
- 中央線を越えたり
- 路外逸脱したりする
ことにより、被害が大きい事故につながりやすくなります。
また、
- 速度のコントロールも難しくなり
- 反応時間が遅れ
- ブレーキも遅れ
- 危険の回避行動がとれなくなってしまう
この運転状態は、飲酒運転とよく似た状態とも言えるでしょう。
お酒を飲んでの運転は、危険であり、事故が起きた場合は甚大な被害を及ぼしてしまいます。
また、ドライバーにお酒を提供した人まで罪に問われてしまいます(飲酒運転ほう助罪)。
居眠り運転は、この飲酒運転とよく似た状態であるため、同じくらい危険であることを覚えておく必要があるでしょう。
【対策】居眠り運転5つの予防方法

居眠り運転を防止するために、次のようなことに注意して運転するようにしましょう。
1.人の睡眠には12時間周期と24時間周期のリズムがあります。午後2時前後、深夜2時前後は、とくに眠気が生じる時間帯といわれています。
2.眠気を感じたら、休憩・仮眠をとりましょう。仮眠は15~30分以内を目安にしましょう。眠り過ぎは、起きた後かえって眠気がとれないこともあります。
3.仮眠明けは、必ず車外に出て、身体を動かし外の空気を吸いましょう。起きてすぐに運転することは、目が覚めていない状態で運転することになるので危険です。
4.カフェインを摂取できる場合は、眠くなりそうな段階でコーヒーや紅茶などを一杯程度摂取しましょう。カフェインの効果が現れるのは、摂取してから30分後くらいです。
5.ガム等を噛んだり、声を出したりしましょう。アゴの運動は、大脳全体の覚醒レベルをつかさどる『脳幹網様体』という部位に直接信号を送るため、脳の覚醒を促します。
まとめ

睡眠不足による運転が飲酒運転と同様の危険性があることがよくわかりましたね。
事故を起こさないようにするためにも睡眠は大切なことです。
睡眠不足やお酒を飲んだ時には運転をしないようにすることが一番でしょう。
睡眠時間が少ないと日中 頭が痛くてだるい感じがします。運転にも支障があるでしょね。早寝早起きができればとてもすっきりした人生が送れると思います。
物資を運ぶ大型トラックの長距離ドライバーたちは、睡眠時間が長くとれなくて大変だと聞きます。無事故・無違反で運転してもらいたいですね。