難病って、その字をみるだけでも何だか怖くなるほど不安になったりしますよね。
特に膠原病とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、膠原病かもしれないという疑いが出たときに、真っ先に気になるのは『治るの・・・?』ということではないでしょうか?
難病と言われる膠原病は、治らないと思われている方も多いかもしれません。
ここでは、膠原病の治療方法や、どれくらい費用がかかるのか、治療期間はどれくらい必要なのかについて調べたことをまとめています。
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膠原病は早期発見・早期治療が大切
難病の一つである膠原病はいくつかの疾患をまとめた呼び名で、判断が難しい病気の為、『早期発見』『早期治療』が大切なカギとなっています。
遺伝子研究が進み、一部の膠原病では『遺伝的な要因も考えられる。』ともいわれています。
膠原病の発病に重要な要因は『環境因子』。
いわゆる風邪などからくる感染症や紫外線の影響等からの発病が重要と考えられています。
原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が見られた場合は、内科や外科で診察を受けてみることです。
膠原病の受診を受けるのは特定機能病院(高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院)が良いとされています。
因みに特定機能病院は、平成28年9月1日現在で、84病院が承認されています。(出所:厚労省)
膠原病。その治療方法は?
膠原病の診断がされた場合は、膠原病の種類により治療法は異なりますが、副腎皮質ステロイドホルモンを使用することが多いようです。
『基本的には投薬により治療』が行われます。
主な当薬剤は
- ステロイド剤
- 免疫抑制剤
の2つです。
これらの薬は、大変強い副作用があり、しかも治療は長期にわたる場合もありますので、患者さんにとっては大変辛い治療になります。
早期発見することができれば、確実な治療ができるため、症状を抑えて体の臓器へのダメージを、最小限に食い止めることが可能です。
早期発見と副作用の抑制
膠原病は蓄積する特徴がありますので、各病状に応じた薬の使用量を決め、正しい治療を受けないと何度も繰り返してしまう恐れがある病気です。
症状が軽いときは使用する薬剤も少なくて済みますので、副作用を抑えて治療を続けるには『早期発見』が欠かせません。
しかし、長期間投薬をしても改善しない場合もありますので、そのときは『パルス療法』という治療によりエンドキサンと呼ばれる薬を大量に注射する方法などもあります。
パルス療法は、吐き気や発熱などの副作用も強い為、患者さんにとっては大変辛い治療方法です。
膠原病を完治させることはできる?治療に必要な期間は?
膠原病は自己免疫疾患の一つであり、全身に色々な障害が起こり、場合によっては『合併症』を引き起こすことのある危険な病気です。
膠原病は、
- リウマチ性疾患
- 結合組織疾患
- 自己免疫疾患
の3つがあり、これらが同時に重なり発症する病気です。
膠原病の治療の期間は、それぞれの症状によって異なります。
大切なのは『早期発見』して症状が軽いうちに治療を開始すること。
本人の努力次第では、完治する病気です。
慢性化・長期治療の必要性を考える

膠原病は、『慢性化』する特徴があり、治療は長期間継続され、一度の投薬で改善できるものではありません。
治療方法の一つで使われる抗リウマチ薬の場合ですが、2010年に15種類が承認されて現在治療で多く使われています。
この薬の場合は、服用をはじめてから効果が実感できるまでに最低でも3か月ほどかかるともいわれています。
膠原病の治療の期間は、このように薬の種類によっても異なりますが、それぞれの症状に合わせて投薬を行い、内服薬や点滴、注射など色々な方法もあります。
また、『血漿交換療法』と呼ばれる治療方法も最近注目されていますが、この治療は週に2回の通院などが必要になりますので、膠原病患者さんにとっては、血漿交換療法は、治療が生活の一部となるほど大切な意味を持ってくるのです。
長い期間の治療になります。
辛抱強く忍耐力を持って、長期継続治療に専念することが、膠原病と診断されたときからの治療姿勢になります。
早期発見、早期治療が、大切です。
そのためにも、日頃から体調管理に敏感になることで、免れることと思います。
Q.膠原病の治療には入院が必要?
膠原病の治療に、必ず入院が必要になるとは限りません。
しかし、血液検査で異常がある場合や、急な高熱などの緊急性がある場合は入院が必要になります。
膠原病は、投薬治療を行うのが一般的ですが、通院だけで治療を続ける患者さんも大変多く、また医師の判断によっても入院の必要性が異なるようです。
膠原病の症状は発熱、関節痛など一見『風邪』の症状に似ている特徴があります。
そのため発見が遅れて病気が進行してしまう場合もあるのです。
全身性硬化症関節リウマチ
全身の関節、中でも手、膝などよく動かす関節の痛みや腫れが左右対称性に見られる病気。
シェーグレン症候群
唾液が出にくくて食べ物がのどを通りにくい、目が乾いて異物感がするなどのいわゆる乾燥症状が特徴の病気などがあります。
これらの症状がひどい場合には、検査に時間をかけるため、入院が必要になり、病気の判断が行われます。
治療で入院が必要になる場合は、
- 早い人で、1週間程度
- 病状が悪い時には、数か月以上も入院する人もいます。
判断がとても難しい病気で、さらに合併症などを起こす為、治療方法も、その人に一番合った方法が選ばれます。
また、膠原病肺の場合は、感染症、発熱、出血など全身にわたるトラブルが大変多い為、全身の管理として入院が必要になります。
外来だけで治療をするにはとにかく『早期発見』が必要ですね。
また日頃からの体調管理、異常なサインを見逃さないことが重要です。
膠原病になる前の予防法は?6つの対策が重要
では、予防するはどうしたら良いのか。膠原病になる要因が、風邪の症状から来る感染症や関節痛、紫外線を浴びることなど、日常的に身の回りにあるということでは、防ぎようもないのではないかと、不安はつのります。
予防策として、考えられることは以下の6つのポイントが挙げられます。
栄養バランスのとれた食事をする
体力をつけることで免疫力を高めることが効果的です。そして、肥満防止にもなります。
日光を避ける
特に、紫外線で皮膚の炎症が起きやすい方は要注意です。
風邪などの細菌による感染を防ぐ
健康体な人でさえ、体が細菌に侵されると免疫力がグッと低下します。
うがい・手洗い・マスク着用
日常から心がけるとこも良いことです。
ストレスを溜めないこと。
何らかの、気分転換方法を考え対処することが良いのではないでしょうか。
十分な睡眠をとる
このように、日常生活を通じて対処することが『最大の防御』になるのではないでしょうか。
膠原病治療に使う薬は?理解するべき副作用

膠原病の治療で使う薬のメインとなるものがステロイド剤
◎ステロイド剤は、
体内の副腎から分泌される物質を人工的に合成した薬で、炎症を抑え、血液の量を調整する作用などがあります。
◎免疫抑制剤は、
白血球やリンパ球が増えるのを抑制する働きがあります。
ステロイド剤の副作用が強い場合に、代わりとして使うなど補助的な治療に活躍している薬です。
膠原病の治療で、メインで使われるステロイド剤はとても高い効果を発揮しますが、その代わりに副作用がある点がデメリットになります。
長期間の治療の方には、身体への負担があります。
Q.膠原病の治療というとやはりステロイド剤を使うのでしょうか?
膠原病の治療の主流となる『ステロイド剤』。しかし副作用を心配する声もありますよね。
ステロイドは、副腎皮質ステロイドホルモンと呼ばれ、膠原病の治療の中心的な存在です。
副腎皮質では、約50種類のステロイドホルモンが作られ、3つの種類に分けることができます。
それぞれのステロイドには、異なる作用があります。
膠原病の治療には、とても効き目があり、炎症を抑える働きなどが病気治療に大変効果的といわれています。
心配になる。副作用
そのため膠原病の治療で、ステロイドを使用するのに抵抗を感じる方も少なくはありません。
しかし、ステロイド剤は、膠原病の治療に一番効果がある薬剤です。
内服したり、パルス療法に使用することが一般的ですが、服用量を調節して、副作用を抑えるなどの工夫がされています。
大量投与した場合には、糖尿病や胃潰瘍などの副作用が起こる場合があります。
長期治療で投与した際には、副腎機能の低下や高脂血症など副作用のリスクが高くなる場合があります。
ステロイドは、膠原病の治療で必ず使用しないといけない薬ではありませんが、早く効果を出すためにも上手に使用することが大切になります。
どうしても副作用が強い場合には、免疫抑制剤を代わりに使って治療をすることも可能です。
膠原病の治療に使う薬の副作用が不安
膠原病の治療では副作用の心配をされる方が多いですよね。
膠原病は、いくつかの病気が同時に重なる特徴がある為、治療方法もそれぞれに合わせて行う必要があります。
膠原病は、薬を使用して炎症を抑制し、免疫反応を正常化させることが治療の目的になります。
そこで、しっかり病気を改善していくためには、使用する薬の『副作用』を理解しておくことが大切です。
主流となる治療薬のステロイド剤には、『感染症の副作用』があります。
ステロイド剤は、白血球の機能が低下するため、細菌やウイルスに弱くなってしまいます。
そのためインフルエンザや結核、肺炎のリスクが高くなってしまいます。
副作用の初期症状では、咳、発熱、息切れなどがありますので、気になる症状がある場合は、すぐに医師と相談することです。
また、薬の大量投与や長期間の投与により、
- 糖尿病
- 副腎機能低下
- 高血圧
- 筋力低下
- 精神不安
などの副作用を引き起こす場合もあります。
しかし、このような副作用は、全ての人におこるものではありません。
膠原病の治療を受けるには、まずこのような副作用がある可能性を理解し、日頃の生活の中でも体調管理を続けることが必要なのです。
副作用を軽減するための『生活習慣の改善』なども、予防策として行うと安心ですね。
Q.副作用の少ない漢方薬を膠原病の治療で使うことはありますか?
漢方薬は、自然成分を使った薬のため、体に負担が少ない点がメリットになっています。
あらゆる病気の治療で使われていますが、難病といわれる膠原病の治療では漢方を使うことがあるのでしょうか。
ステロイド剤が、治療薬の主流となっていますが、副作用が強い為患者さんの体には負担になる場合があります。
漢方には、免疫機能を正常にする効果があり、膠原病を根本から改善する働きがあります。
症状を軽減するだけでなく、体質改善をして病気の治療ができる為、漢方は膠原病に有効といえるのではないでしょうか。
しかし、病院で処方される抗炎症剤のような強い効果が期待できないため、漢方は長期的に使用することが必要になります。
ステロイド剤の副作用が強い方には、薬の量を減らして漢方で補助的な治療を行う場合もあり、それぞれの体質や症状に合わせて膠原病治療に漢方が使われています。
漢方だけでは、完全な治療対策はできませんが、現代医学の治療とともに併用することが一番効果的な方法ではないでしょうか。
一人ひとりに合った薬を選べる漢方薬は、今後の膠原病治療にも活躍することでしょう。
ステロイド剤や漢方薬などの投薬治療の他にも、膠原病の予防・症状を軽減するには、活性酸素の原因となる紫外線を浴びないことや、質のよい睡眠をとるなど、生活改善の努力も大変効果的です。
膠原病になると治療費は年間でどれくらいかかるの?

【膠原病の治療】長期間にわたる治療費
膠原病といっても病気の種類は様々ですが、多くは厚生労働省の特定疾患治療研究事業の対象となっている為、健康保険の自己負担額全部、もしくは一部が公費で負担されています。
公費負担(難病指定疾患)になる膠原病には、
- 強皮症
- ベーチェット病
- 全身性エリテマトーデス
- 悪性関節リウマチ
などが対象となっています。
公費負担をしてもらうには認定が必要になる為、自分で申請をしないといけません。
詳しいことは、保健所やお住まいの自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
東京都の場合を見ますと難病医療費助成制度に認定された場合、
- 入院費用の月額限度額は一か月 14,000円
- 外来は月額の限度額が 2,000円
となっています。
この認定の申請をしないと医療費は何百万円にも上る場合もあり、通院でも月に数万円もかかってしまうことがあります。
各病院には、ソーシャルワーカーさんが常勤されていますので、医療費については相談してみると良いでしょう。
膠原病の治療は時間がかかり、患者さんの体の負担だけでなく金銭的なストレスも増えてしまいます。
治療に集中できるように、まずは『公費』でどれぐらいの補助がでるのか調べてみことも必要でしょう。
膠原病の治療に効果的な食事は?

膠原病は自己免疫疾患のため、日頃の食生活は栄養バランスを整えながら免疫力を向上させる栄養素が必要です。
体の抵抗力を高める為に欠かせないのがビタミン類です。
膠原病の治療では服用している薬によっても食事制限がされる場合もありますので、まずは医師の指示に従うことが大切なことです。
基本的に膠原病の方は、摂取カロリーに注意することが必要です。
脂質や糖質を控えて不足しがちな野菜類をメインにした食生活が病気治療のサポートになります。
肥満予防。そして補助食品の利用
膠原病は、肥満になると関節や骨に体重の負担がかかる為、さらなる障害に進んでしまう可能性がありますので、暴飲暴食は避けましょう。
また、体の炎症を抑える為には質のよい『たんぱく質』が必要になりますので、豆類や脂肪の少ない肉などもおすすめです。
そして、牛乳やヨーグルトに多く含まれている『カルシウム』も骨を作る為に、欠かせない栄養素になります。
治療で使用するステロイド剤は、骨を作る働きを低下させるため、食事からしっかり『カルシウム補給』が必要ですね。
カルシウムは、ビタミンDと一緒に摂取するとさらに吸収量も多くなりますので、レバー、卵黄、きのこ類を一緒に食べると良いでしょう。
また、膠原病の原因となる活性酸素を抑制する『抗酸化物質』ビタミンEが多く含まれたナッツ類やオリーブオイルも大変効果的です。
海外では膠原病の治療は?

膠原病は、日本国内だけでなく、海外にも患者さんの数は大変多いですよね。
では、海外ではどのような治療を行っているのでしょうか。
アメリカの治療方法の主流となるのは、日本と同様にステロイド剤です。
しかし、日本との違いは膠原病を『アレルギー』として認識し治療を行う点です。
そこで、投薬だけでなく体質改善にも大変力入れているという特徴があります。
【海外の治療法】根本的体質改善
膠原病は、男性よりも女性に多く発症する病気ですが、関節痛や発熱、毛細血管の炎症などの症状があります。
これらの辛い症状は、医薬品で抑制しながら、『根本的な体質改善』を行うことが膠原病の海外での治療方法のようです。
免疫異常は、腸内環境を整える食生活や、抵抗力を高める生活習慣などが大変病気治療に効果があると考えられています。
サプリ大国のアメリカでは、膠原病の治療としてサプリメントを積極的に取り入れている医療機関もありますし、患者さんも日頃の生活改善などを心がけて行っています。
膠原病は、海外ではそれぞれの国の医療により治療方法は異なりますが、薬剤だけに頼らず、患者さんの体質改善を重視した治療を行っています。
ま と め

膠原病。いわゆる、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称ということです。
日常生活の中にも、それらしい症状があるということですね。
自己管理、生活改善の工夫等に努めること。
これが、全ての予防になるということのようです。
聞くほどに、見るほどに、怖い病気です。
健康管理に十分に留意して、毎日の生活を過ごすこと。
これが一番のようですね。
膠原病の認定を受ければ治療費や入院費用がやすくなるのなら、その手続きをしなければいけませんね。経済的にも参っていられませんね。