膠原病は、複数の症状からなる総称であり、風邪などの症状から発症するという、『難病』と言われています。
膠原病の症状・状態は千差万別であり、ここでは、ひとつひとつの病気の要素や原因と、その治療方法等についてまとめてみます。
膠原病の種類や症状を知って、より良い治療を受けるための情報としてください。
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【膠原病の種類と症状】知っておきたい基礎知識

膠原病は、女性に多く発症する病気で、いくつかの種類の異なる病気をまとめて膠原病と呼んでいます。
自己免疫疾患の一つで、考えられる原因は、
- 体質
- 遺伝
- 細菌感染
- 紫外線による、活性酸素
など、といわれています。
そこで、病気をさらに理解するためにも、まずは種類と症状を、紹介していきたいと思います。
膠原病のなかでも多い
- 慢性関節リウマチは、関節の痛みが主な症状です。
- シェーグレン症候群は、唾液の分泌や涙の分泌の機能が低下するもの。
- 全身性エリテマトーデスは、全身が攻撃され臓器内で血管炎を発症する病気です。
膠原病の種類はとても多く、それぞれ症状は異なりますが、初期症状に共通するのが、風邪のような発熱、関節痛、下痢、腹痛などの、症状があります。
膠原病として、自覚するのが難しい特徴があります。
体調不良の場合は、すぐに医療機関で診察を受けることが必要ですね。
膠原病になる原因・種類・症状

関節リウマチの症状
関節リウマチは、国内で100万人前後の患者さんがいるといわれています。
尚、患者数が多いいこともあり、難病指定を受けることができません。
男女比では、1:3-4で女性に多く、30代から50代の女性に、多く発症する病気です。
その症状は、全身の関節痛(左右対称)や発熱・倦怠感・微熱・ドライマウス・涙の分泌量が減少する症状が特徴的です。
関節リウマチの原因は、正確には判明されていませんが、免疫異常が大きな関係を握っていると考えられています。
症状の表れ方は、まず痛み、そして腫れ、朝起きた時の体のこわばり、が特徴となる症状の一つです。
『朝のこわばり』という症状があり、関節の痛みが、午前中から午後にかけて、徐々に痛みがなくなってくるというのが特徴です。
指がこわばって動かなくなり、温めると数時間でこわばりが消えることもあります。
初めは不快な程度の症状でも、徐々に進行すると『日常生活にも支障をきたし、運動の制限』をされる場合もあります。
治療には、ステロイド剤を、使用した方法が主流となっています。
全身性エリテマトーデスの症状
全身性エリテマトーデスは、国内で10万人前後の患者さんがいいるといわれています。
男女比は、1:9で、女性に圧倒的に多く、比較的若い女性(20~30歳代)の多く見らるようです。
また、直射日光の暴露など紫外線が発病の原因と言うように、その対策が重要視されています。
この病気の症状は、関節痛や腫れの症状をはじめとし、
- 発熱(37°~38℃程度)
- 食欲不振
- 全身倦怠感
など、があります。
関節の症状は、その日によって痛い場所が移動する『移動性関節炎』もあり、指の関節をはじめ、膝やひじなど全身に症状がみられます。
また、皮膚症状もこの病気の特徴の一つで、頬に赤い発疹ができ羽を広げた蝶のような形に広がることから、『バタフライフィッシュ』とも呼ばれることがあります。
触ると重なる発疹が、盛り上がったように感じるのが特徴の一つです。
また、紫外線に当たると、赤い発疹が皮膚に表れる
- 日光感敏症
- 脱毛
- 口内炎
- 臓器障害
なども、あります。
この病気の治療には、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤、ステロイドパスル療法などが、行われます。
全身性強皮症の症状とは?

全身性強皮症は、手の指先から、皮膚が硬くなってくる病気を言います。
- 免疫異常
- 線維芽細胞の活性化
- 血管障害
が、原因となり全国では2万人以上の患者さんが確認されています。
症状には、レイノー症状と呼ばれる、手指が冷たいものを触ると紫色に変色する症状があります。
これは初期段階で、約8割の方に起こるとても多い症状のひとつです。
また、皮膚硬化と呼ばれる症状は、体の中心部をはじめ前腕、上腕、など手指の腫れぼったい感じが特徴で、手足先などに循環障害が、原因と考えられています。
そのほかにも、色素異常の皮膚症状をはじめ
- 不整脈
- 筋炎
- 肺高血圧症
- 便秘
- 下痢
なども、症状としてあります。
患者さんは『女性』に多く、男性の約12倍ほどの患者数があるといわれています。
発症する年齢は、30代から50代の女性に多い病気です。
難病特定指定の認定があり、治療費は一部公費負担されます。
治療には、ステロイド剤を少量使用して、皮膚硬化の症状を軽減する方法などがありますが、それぞれの重度により適切な治療が行われます。
多発性筋炎・皮膚筋炎の症状
多発性筋炎・皮膚筋炎は、筋肉に力が入らず疲労する病気です。
関節リウマチに続いて、患者数が多い膠原病の一つです。
女性に多く発症し、早い場合は15歳前後の子供にも、おこる病気です。
主に、中高年齢層に多い病気です。
原因は、自己免疫の異常で、その症状には、
・疲労感
・倦怠感
・食欲不振
・発熱
が、あります。
筋肉に現れる症状は、ほとんどの患者さんに共通し、ほかの症状は、一人ひとり異なるようです。
筋症状は、ある日突然起こるものでなく、徐々に積み重なっていく為、自覚するのが遅れてしまう特徴もあります。
階段を上るのが苦痛に感じたり、洗濯物を干す時に腕を伸ばすのがつらいなど、生活の中でも色々な支障をきたしてしまいます。
さらには、喉の筋力低下により、食べ物が飲みこめない場合や話にくくなるなど。
稀に、不整脈や心不全を起こす場合もあります。
シェーグレン症候群の症状
シェーグレン症候群は、中年女性に多い病気で、
- 唾液腺
- 涙腺
の機能が、低下する特異的自己免疫疾患です。
また、全身の臓器にも障害がでる全身性の自己免疫疾患でもあります。
発症のピークは、50代ともいわれていますが、国内には2万人ほどの患者さんがいるともいわれています。
シェーグレン症候群の症状には、まずドライアイがあります。
- 涙がでない
- 目のかゆみ
- 痛み
- 疲れ
- まぶしい
- 目やに
などが、症状としてあります。
また、ドライマウスも特徴的な症状で、唾液不足や口が乾くなどの症状があります。
他にも、鼻腔の乾燥があり、鼻血を出しやすくなるなど。
全身症状には、
- 疲労感
- めまい
- うつ
- 集中力の低下
なども、あげられます。
他の膠原病との合併が多く、特に関節リウマチとは、40%~50%くらいの確率で、合併するといわれています。
尚、平成27年から難病特定疾患の認定が受けられるようになりました。
現在の段階では、シェーグレン症候群を完治させることができませんが、治療では、乾燥症状を軽減するなどの方法が行われています。
混合性結合組織病の症状

混合性結合組織病は、発症する年齢層は幅広いのですが、特に30代から40代の女性の患者さんが多いことが特徴です。
自己免疫疾患の一つで、いまだに解明できない要因も色々あります。
遺伝的なことも、発症に関与すると考えられていますが、正確なことはいまだに解明されていません。
混合性結合組織病の症状は、冷たいものを触ると手指が、蒼白するレイノー症状や・手指が腫れてしまう症状があります。
その他にも、肺高血圧症・無菌性髄膜炎などがあります。
ほかにも、強皮症に似た症状やSLEに似た多発関節炎など、全身症状も、よくみられ腸内の異常により便秘や下痢といった症状も起こる場合があります。
SLE同様に、圧倒的に女性に多く、比較的若年層が中心です。
この病気は、原因が不明なため、的確な治療ができないので症状を軽減する対処をとることが一般的です。
レイノー症状のような抹消循環障害には、体を温めるなどの改善策も行われています。
抗リン脂質抗体症候群の症状とは?
抗リン脂質抗体症候群は、はっきりとした原因が不明ですが、遺伝的なことや環境的要因が発症するリスクを上げると考えられています。
この病気の症状は、
- 動脈血栓症
- 習慣流産
- 静脈血栓症
動脈血栓症では、
- 脳梗塞
- 一過性脳溢血発作
が、起こる場合があります。
命を落とすケースもある為、合併症は特に注意が必要になります。
治療は、血栓症治療、抗凝固療法などが行われていますが、血栓の再発が多い為、予防に力を入れた治療が特徴になっています。
抗リン脂質抗体症候群は、半数以上が全身性エリテマトーデスなどの膠原病の合併症となり、基礎疾患を持たない場合には、原発性抗リン脂質抗体症候群と呼ばれています。
女性が発症しやすく、妊娠合併症になる場合もあり、
- 胎児の発育遅延
- 妊娠高血圧症候群
なども、起こすケースありますので、妊婦さんは特に注意が必要ですね。
血管炎症候群の症状とは?
血管炎症候群とは、血管炎が原因の臨床症状をまとめた呼び名です。
膠原病の合併症としても知られています。
特徴となる症状の一つが
- 発熱
- 関節痛
- 筋肉痛
- 体重の減少
- 倦怠感
- 高血圧
などの全身症状があります。
色々な症状が起こる為、感染症なのか、悪性リンパ腫なのか、或いは、ほかの病気との、区別が難しいともいわれています。
原因は、
- 女性ホルモンの分泌異常
- ウイルス感染
- 遺伝
などが、考えられています。
気になる症状には、発熱、めまい以外にも間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる、片足を引きずるような症状も特徴になっています。
病気の検査は、血液検査により診断されます。
治療は、ステロイド剤を使用するのが一般的です。
生活の中では、血圧を安定させ食生活での減塩を意識することが重要になります。
ベーチェット病の症状とは?
ベーチェット病という名前にはあまり馴染みのない方も多いと思いますが、この病気は、
- 口腔粘膜の潰瘍
- 皮膚症状
- 眼症状
- 外陰部潰瘍
の、4つの症状がある全身性炎症性疾患です。
日本では、東北地方に患者さんが多く、2万人近くの方が、特定疾患の認定をされています。
中国、韓国、日本、中近東などの国に多くみられる為、『シルクロード病』と呼ばれることもあります。
具体的な症状は、
- 唇や舌などに潰瘍ができる。
- 下腿や前腕の皮疹ができる。
顔や胸にも広がり、痛みを伴うことも特徴になっています。
外陰部潰瘍は、
- 男性の場合は、陰茎や亀頭、
- 女性の場合は、膣粘膜、大小陰唇の潰瘍、
また、
- 眼痛
- 視力低下
- 腹痛
- 下痢
- 下血
などの症状がおこる場合もあります。
病状は、このように全身にわたり大変多く、それぞれの症状を軽減する治療などがメインとなっています。
この病気も難病特定疾患に属しています。
硬直性脊椎炎の症状とは?
硬直性脊椎炎は、
- 背骨
- 股関節
- 肩の関節
などに、痛みやはれが起こる病気です。
症状が進行すると、脊椎の間が硬直することからこの名前がついています。
原因はいまだ判明していませんが、特定の遺伝子型を持つ共通点がある為、なんらかの遺伝子異常とも考えられています。
腰痛などの痛みにより発症する場合もあり、症状として、4肢の関節の痛みが特徴です。
はじめのうちは、ただの腰痛や坐骨神経痛だと勘違いする場合も多い為、発見が遅れしまうこともあります。
痛みの特徴としては、体を動かすと楽になる点です。
じっとしていると痛みが悪化し、特に夜や朝に強い痛みが起こることが特徴になっています。
さらに、肩関節や股関節には関節炎が起こる場合もあり、悪化すると骨の破壊など大変深刻な状態にもなる病気です。
この病気の治療は、主に薬物治療、運動や理学療法を使った方法が中心となっています。
リウマチ性多発筋痛症の症状とは?

リウマチ性多発筋痛症は、原因不明の腰や肩付近の筋肉痛の病気です。
膠原病の感染症との関連性を考慮しながら治療が行われています。
この病気を発症するのは、50代以上の女性に多く、男性は女性の半分程度です。
発症する平均年齢は『65歳前後』です。
症状を大きく分けると、全身・筋肉・関節の3つです。
全身症状は、
- 発熱
- 体重減少
- 倦怠感
- 筋肉
関節の症状は、
- 肩
- 首
- 腰
の痛みや、こわばりなどがあります。
半数以上の方に共通するのが、肩周辺の症状です。
初期の段階で、最も多い『睡眠中に痛みで目が覚めてしまう』ような症状もあります。
関節リウマチのように、腫れてしまうことが少ないのですが、発症する年齢が中高年が多い為、五十肩と間違って判断される場合もあります。
治療の主流となるのが、ステロイド剤です。
薬をやめると、再び症状が始まる場合もありす。
アミロイドーシスの症状
アミロイドーシスは、たんぱく質がアミロイド繊維となり全身の組織に沈着する疾患です。
原因不明の原発性アミロイドーシスや結核やがんに進行するものなどがある難病の一つ。
症状は、黄色や乳白色の蝋様(ろうよう)の丘疹(きゅうしん)が、
- 首
- 眼瞼
- 外陰部
に表れ、強皮症様硬化や色素沈着、脱毛など、全身に色々な症状となって表れます。
主な皮膚症状以外では、倦怠感や爪の変形、巨舌、肝肥大、浮腫などがあります。
原発性のアミロイドーシスは、平均余命が一年ほど、ともいわれて、死に至るほどの深刻な病気。
腎臓や心臓にアミロイド沈着が起きた場合治療も不可能になってしまいます。
治療は、重篤な症状を中心に行い、特に心臓や腎不全に対する対処療法も行われ、初期の段階で治療をすることが効果的であるといわれています。
サルコイドーシスの症状
サルコイドーシスという病気の名前を聞いたことがない方は多いと思いますが、この病気はイギリスで100年前以上に皮膚病として発見された病気です。
リンパ球や類上皮細胞などが集まってできた肉芽腫が
- リンパ節
- 肺
- 目
- 全身の臓器
に、できる難病です。
世界中に患者さんがいる病気ですが、人種や地域により発生率も異なります。
アメリカでは、白人よりも黒人のほうがかかりやすく、重篤になりやすいとの報告もされています。
日本では、女性に多く発症し、地域別にみると北海道に患者さんが多い特徴があります。
症状は、日本人の場合は、自覚症状が少なく健康診断で発見される場合もよくあり、肺繊維症や視覚障害などが多く発見されています。
また、関節の痛みや発熱、息切れなどの見過ごしやすい症状もありますので、発見が遅れるため注意が必要です。
ウェーバー・クリスチャン病の症状
ウェーバー・クリスチャン病は、原因不明の病気で発熱とともに再発を繰り返す特徴があります。
脂肪組織に、炎症や白血球の浸潤で破壊されたしこりが、皮下にできる病気です。
- お腹
- 腕
- 足
- 背中
など、また内臓脂肪に炎症がおこる場合もあり、このような時は『内臓障害を引き起こし、致命的』になってします。
炎症を起こすのは、細菌によるものでなく原因は不明です。
遺伝や食生活との関係があるともいわれ、患者さんの約70%が女性である点も特徴になっています。
症状の表れたかたは、急な発熱と皮下結節が同時に起こる場合や、皮下結節だけの症状で自覚せずに数年過ごしてしまう場合もあるようです。
しかし、大変稀な病気で、アメリカでは13年間の間に患者さんが発見されたのは13人という報告もされています。
日本でこの病気の対処をするには、膠原病科のある医療機関がおすすめです。
ま と め

たくさんの病気から複合的に発症する膠原病には、難病というように治りにくい、とても厄介な病気です。
忍耐と継続した治療が大切のようですが、一部の病気に国の支援があり、その他の病気にも対策が講じられているようです。
多くの病気を膠原病のまとめとして紹介ていますが、説明不足のところもあるかと思います。
ひとつの『膠原病ガイドライン』には、なるかと思います。
膠原病になった奥さんに会ったことがあります。普通の方と変わらずマッサージの短時間のお仕事をしていました。症状が軽い方なのでしょうね。