花粉症になって、今までクシャミ・鼻水が止まらない・目が痒い・涙目になるなどと、一般化した症状で比較的軽視してきました。
しかし、最近花粉症から食物アレルギーが起こり重篤な状態になってしまう人も。
慢性的に花粉症の症状を訴えていた状況から、食物アレルギーまで引き起こしてしまうという事実を改めて確認してみたいと思います。
花粉症が国民病化している?

今や日本人の約3割が苦しむ国民病となってしまった花粉症ですが。
- 春先のスギやカバノキ
- 夏に多いイネ科
- 秋のブタクサ
など、そのアレルゲンは多岐にわたります。
【厚労省】平成22年度花粉症対策
そもそも花粉症は、どうして起きるのかなどという疑問対して厚生労働省は平成22年度花粉症対策としてQ&Aを出しています。(一部抜粋)
花粉症の正体って一体なんですか。
花粉症の正体は、花粉に対して人間の体が起こすアレルギー反応です。
体の免疫反応が、花粉に過剰に反応して花粉症の症状がでるのです。
花粉が鼻や目にはいると、どうして花粉症の症状がでるのですか。
体が花粉を外に出そうとするために、『くしゃみ』で吹き飛ばしたり、『鼻水』『涙』で花粉を洗い流そうとしているのです。
どんな花粉がいつ飛んでいるのですか。
関東地方では、
- 2月から4月はスギ花粉
- 4月から5月はヒノキ花粉
- 6月から8月はカモガヤ
などのイネ科花粉
- 8月から10月はブタクサやヨモギ
などの雑草類の花粉が主として飛散します。
また、北海道と本州の一部では4月から6月にかけて口腔アレルギー症候群と関連の深いシラカバが飛散します。
地域によって飛散する花粉や時期が異なりますのでガイドライン(PDF:7,563KB)などで花粉カレンダーを確認ください。
(参考:コメディカルが知っておきたい花粉症の正しい知識と治療・セルフケア)
スギ花粉症は日本にしかないのですか。
スギは日本特有の木です。
スギは中国の一部にもありますが、その数は日本と比べると少なく、スギ花粉症が問題となっているのは、ほとんど日本だけだと考えてよいでしょう。
花粉症対策とその取組み

花粉がたくさん飛ぶ季節になると、マスクや目薬を手放せなくなり、毎日を憂鬱に過ごしている人も多いでしょう。
もっとも辛いのが1年のうちの限られた季節であれば、その少し前から、あらかじめ薬を服用するなどの対策を取ることはできます。
あるいは、最近話題の乳酸菌による体質改善で、症状を和らげられるかもしれません。
しかし、これら季節限定の花粉症が引き金となり、季節を問わない食物アレルギーを引き起こす可能性があることはまだあまり知られていないようです。
ほとんどの場合は軽い症状ですむことが多いが、最近になって一部の食品で重症化するケースが報告され、専門医が注意を呼びかけているといいます。
【厚労省】平成22年度花粉症対策
さらに『花粉症の予防』に対するQ&Aを次のように出しています。
花粉症になりやすい人はいるのですか。
花粉症以外のアレルギー疾患をもっている方や、家族の方が何らかのアレルギー疾患を持っている人は、それのない人に比べて、花粉症になりやすいと考えられています。
今は花粉症ではないのですが、今後花粉症にならないためにはどうすればよいのですか。
大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。
スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症しやすくなります。
また、これまで軽症で花粉症であることに気がつかなかった方も、花粉を鼻からたくさん吸い込んだり、目に入ったりすると、花粉症の症状が強くなります。
花粉になるべく接しないことは重要なことです。
(1)マスクは効果がありますか。
マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果が期待されています。
また、花粉症でない方も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されていますが、風が強いと鼻の中に入る花粉はマスクをしていても増え、効果は減弱するといった報告もあります。
マスクをしていても完全防備にはならず、過大に信用は禁物です。
(2)うがいは効果がありますか。いつ行うのがいいですか。
鼻の粘膜には線毛があり、粘膜の上の異物を輸送します。
うがいは、のどに流れた花粉を除去するのに効果があります。
外出から帰ってきたら、かぜの予防にもなりますので、うがいをしましょう。
(3)洗顔は効果がありますか。いつ行うのがいいですか。
花粉が人間に付着しやすいのは表面に出ている頭と顔です。
外出から帰ってきたら洗顔して花粉を落とすと良いでしょう。
(4)洋服の服地はどのようなものがいいのですか。
洋服に花粉がついてしまうので、花粉飛散している時の外出時には毛織物による上着やコートは避けたほうが良いでしょう。
表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維のものには花粉が付着しにくく、付着した花粉を吸い込む量を減らすことが期待されます。
(5)めがねは効果がありますか。
メガネは花粉の飛散の多いときには、目に入る花粉を2分の1から3分の1まで減らすことができますが、眼の症状をどの程度弱くすることができるのかは明らかではありません。
(6)その他予防方法を教えてください。
花粉が人間に付着しやすいのは表面に出ている頭と顔です。
頭の花粉は、帽子などで避けることが可能です。
花粉症がもたらす影響

花粉症の女児が豆乳を飲んで呼吸困難
これは、花粉と食物が交差反応してアレルギー症状が出る花粉・食物アレルギー症候群(PFS)と呼ばれるものです。
交差反応とは、特定の野菜や果物のタンパク質の構造が花粉のタンパク質とよく似ていることから、体に入ってきたときに花粉と認識して免疫反応が起きてしまうことです。
よくあるのは、花粉症の人が特定の野菜や果物を食べると口の中がピリピリとしびれるケースです。
それだけで済めば軽いが、最近は
- 喉の奥が腫れたり
- 吐き気
- 腹部の不快感
などの症状がひどくなったりして、受診する患者が増えているといいます。
怖いのは、本人が花粉症と食物アレルギーを別のものと考え、リスクを意識しないうちに突然重い症状が表れるケースなのです。
花粉症と食物の組み合わせによっては、呼吸困難などの重篤なアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
たとえば、もともと
- リンゴ
- モモ
- イチゴ
- ニンジン
などを食べると口の中に違和感を訴えていた12歳の花粉症の女児が、豆乳を飲んだ直後に呼吸困難を起こした例があります。
検査の結果、ハンノキやシラカンバの花粉、豆乳などにアレルギー反応が出たといわれています。
豆モヤシで顔が腫れ上がった人
また、同じくハンノキの花粉症があり、それまでも
- びわ
- リンゴ
などの果物に反応していた60代の女性が、中華料理店で焼きそばを食べたときに顔が腫れ上がってしまいました。
こちらは、大豆を発芽させた豆モヤシがアレルゲンと判明しました。
大豆には、ハンノキ花粉のアレルゲンと似た『グリエム4』と呼ばれるタンパク質が含まれています。
果物などのアレルゲンは熱や消化で分解しやすく、生で食べても口の中の違和感で治まることが多いです。
それに対してグリエム4は熱や加工に比較的強く、納豆やみそなどの発酵食品ではほぼ問題ないが、豆乳や軽く炒めただけのモヤシなどで症状を起こすことがあります。
特に
- ハンノキ
- シラカンバ
といった「カバノキ科」の花粉と豆乳の組み合わせは症状が重くなりやすいです。
このことは一部の専門家以外には知られていなかったが、事例報告が多くなった平成25年に国民生活センターが注意喚起してから、注目されるようになったといいます。
花粉と食品の組み合わせで注意が必要なもの

ちなみに、花粉・食物アレルギー症候群を発症しやすい花粉と食品の主な組み合わせ例としては次のようなものがあります。
- シラカンバ、ハンノキ:リンゴ、サクランボ、モモ、アーモンド、セロリ、ニンジン、ジャガイモ、大豆
- スギ:トマト
- イネ科:メロン、スイカ、トマト、ジャガイモ
- ブタクサ:メロン、スイカ、バナナ
- ヨモギ:セロリ、ニンジン、マンゴー
(各花粉症の人が必ず食物アレルギーというわけではないので注意)
花粉・食物アレルギー症候群の患者は、国内の花粉症患者約4000万人のうち1〜2割とみられます。
症状が軽い人や、アレルゲンとなる野菜や果物が限られている人は、食べないようにすることで自衛も可能です。
しかし、数が多い場合は重症化する前にアレルゲンとなっている花粉や食べ物を特定することが大切です。
何らかの花粉症を持っている人で、野菜や果物を食べたり、豆乳を飲んだりした時に口に違和感があるなど気になる症状があるなら、一度アレルギー専門医の診察を受けることをお薦めしたいです。
ま と め

花粉症と食物アレルギーの関係に重大な危機が潜んでいる?。
日常の食生活に花粉症と食物アレルギーとなる組み合わせがあるということです。
普段から果物などを食べて口に違和感があるなどという人は、花粉症だからなどと簡単に考えないで、食物アレルギーの疑いを早期に察知して医師の診断を受けることをおすすめしたいです。
恐るべし『花粉症』ですね。
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