冬になると師走の忙しさに急かされるように、風邪もインフルエンザも猛威を振るっていますね。
症状が軽いなら水分と栄養に気をつけ、温かくして安静にするのが一番です。
辛いなら薬を飲むか、受診することですね。
昔から愛飲されている葛根湯(かっこんとう)は
- 寒気
- 発熱
- 頭痛
があり、汗が出ない風邪やインフルエンザの初期に効果があります。
しかし、風邪の引き始めに葛根湯は、本当に効果があるのでしょうか?
全く効果が得られずに嘘ではないかという話も聞きます。
葛根湯の効能と有用性を改めてチェックしてみましょう。
葛根湯の効果は嘘なのか、それともしっかりと効果を発揮してくれるのかご紹介していきます。
お好きなところからどうぞ
葛根湯の薬理効果を発揮させる生薬7つの種類

中国医学にルーツを発する漢方薬は、自然の草や木から採取した生薬を組み合わせた薬です。
なんと紀元前3世紀に興きた漢の古典書『傷寒論』に処方の記録があるほどです。
葛根湯は日本薬局方に収録され、日本人が最も親しんでいる漢方薬の定番ですね。
- 葛根
- 麻黄(マオウ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 甘草(カンゾウ)
- 大棗(タイソウ)
- 生姜(ショウキョウ)
の7種類の生薬を配合しています。
マメ科クズ属の多年草根を乾燥させた葛根は、発汗・鎮痛作用があるため、古来より風邪や下痢の民間治療薬に珍重されてきました。
心臓や血管に負担をかける交感神経刺激薬のエフェドリンが含まれる麻黄は、西洋医学の気管支拡張薬と同じ作用があるので、咳やゼイゼイする喘鳴を抑えます。
桂皮は穏やかな発汗・発散を促し、芍薬は痛みを和らげ、甘草は炎症やアレルギー症状を弱めます。
大棗と生姜は体を温め、緊張を和らげる働きがあるのです。
この7つの生薬の絶妙の相互作用が葛根湯の薬理作用を生んでいます。
そのため、方剤構成としては麻黄剤、薬理的には体を温め病気を発散して治す辛温発表剤に分類されます。
病院で処方される葛根湯は、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いています。
効能を示す葛根湯の適応証(体質)は、表証(急性期)、実~中間証(中程度以上の体力がある)、寒証(悪寒)とされているのです。
葛根湯効果は嘘?!ほんとに効くのか

さて、このような高い薬理効果を秘めた葛根湯だが、風邪の引き始めに効く明確な根拠はあるのでしょうか?
風邪の引き始めの人を対象にした対照比較試験(2014年)があります。
この試験は、48時間以内に風邪の症状がある18〜65歳の患者を対象に、葛根湯を飲む群と総合感冒薬を飲む群に分け、服用後4日後に風邪が悪化した人数を比較し、引き始めの風邪に対する葛根湯の効能を検証しました。
その結果、葛根湯群では168名中38名(22.6%)、総合感冒薬群では172名中43名(25.0%)の風邪が悪化したといいます。
したがって、葛根湯は初期の段階で処方した場合でも、総合感冒薬と比較して風邪の症状の悪化を防止する効能に大きな有意差が見られなかったことになります。
ただ、『証(体質)』に合っていない患者が含まれていたので、有意差が小さかったとも考えられます。
つまり、葛根湯に合った証の患者を選べば、有意差が出た可能性はあるのです。
いずれにしても、葛根湯が風邪の引き始めに効く根拠は明確ではありません。
葛根湯とアセトアミノフェンをミックスした総合感冒薬は効くのか?

葛根湯は風邪の引き始めに効くかどうかは分かりません。
では、総合感冒薬のコフト顆粒(日本臓器製薬)はどうなのでしょう?
コフト顆粒は、解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンと葛根湯をミックスしているので、アセトアミノフェンが頭痛・鼻水・鼻づまり・くしゃみ・関節の痛みを和らげ、葛根湯が体の免疫力を高めます。
葛根湯と総合感冒薬の相互作用が強まるため
- 熱
- 喉の痛み
- 咳
- 頭痛
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- 関節痛
などの風邪の諸症状に効能を示します。
コフト顆粒の著しい特徴は、アセトアミノフェンと葛根湯の量にあります。
一般的な風邪薬に含まれるアセトアミノフェンは900mgだが、コフト顆粒は半分の450mg。また、コフト顆粒に含まれる葛根湯は2200mgだが、クラシエなどが発売している葛根湯の約半分の量にすぎません。
だが、咳や鼻に効く成分量は一般的な風邪薬と変わらないのです。
つまり、コフト顆粒は、葛根湯と一般的な風邪薬の成分量を減らしてミックスした風邪薬です。
言い換えれば、コフト顆粒には、鼻水や咳を止める効果がない解熱鎮痛薬の葛根湯の欠点を補うために、一般的な風邪薬で使われている鼻水・咳止めの成分を含んでいることになるでしょう。
そのような観点から見れば、コフト顆粒は風邪に効く成分をトータルに含んだ風邪薬かもしれません。
葛根湯とアセトアミノフェンの併用と血中濃度

しかし、薬理的な矛盾やリスクはないのでしょうか?
アセトアミノフェンは熱を下げるが、葛根湯は体温を上げて発汗させて熱を下げたり、体温を上げて免疫力を高めます。
つまり、葛根湯の体温上昇の作用をアセトアミノフェンの解熱作用が打ち消します。
葛根湯とアセトアミノフェンを併用する薬理的なリスクはないのでしょうか?
科学論文検索サイト『Cinii』の『アセトアミノフェンと葛根湯の相互作用について』によると、併用するとアセトアミノフェンの血中濃度が高まるかもしれないとしています(動物実験)。
また、人を対象にした別の試験では、葛根湯とアセトアミノフェンを併用しても安全性の問題は発生しないとしています。
葛根湯で熱を下げたいが、鼻水や咳も和らげたい

このような実証試験は少ないので、葛根湯とアセトアミノフェンの併用リスクは判然としません。
コフト顆粒は、葛根湯+風邪薬成分のハイブリッドです。
葛根湯で熱を下げたいが、鼻水や咳も和らげたい、そんな人には適するかもしれませんね。
葛根湯+風邪薬成分のハイブリッドは、コフト顆粒の他に、救心製薬の『救心のかぜ薬赤箱』、第一三共ヘルスケアの『プレコールエース顆粒』などがあります。
これらの総合感冒薬を服用する場合は、用法・用量を厳守しなければならないのは言うまでもありません。
小児なら保護者の指導監督の元で服用させ、2歳未満の乳幼児なら医師の診療を受けなけばならないでしょう。
特に葛根湯は、体力の充実している『実証』向けの方剤なので、体の虚弱な虚証・裏証(虚弱、病中・病後の衰弱期)の人や発汗の多い人には適さないのです。
また、
- 胃の不快感
- 食欲不振
- 吐き気
- 動悸
- 不眠
- 発汗過多
などの副作用を伴う場合も少なくはありません。
したがって
- 胃腸病
- 高血圧
- 心臓病
- 脳卒中
- 腎臓病
- 排尿障害
- 甲状腺機能亢進症
などの既往症のある人、服用中の薬がある人、妊娠中の人などは、医師に伝えたうえで、適切な診断と処方を受けてほしいですね。
葛根湯が効かない2つの理由と正しい飲み方

『風邪に葛根湯が効かない』理由は大きく分けて2つあるという説もあります。
とってもポピュラーな薬だけに、気になることですよね。
葛根湯の効果的な飲み方について、ポイントを押さえてみました。
『風邪の初期症状』のタイミングで飲む
葛根湯エキス顆粒クラシエ 漢方での風邪の治療法といえば、邪気(ここでは風邪ウイルス)はまずカラダの表面に留まるとされるので、この段階で汗をかかせ、内部へ侵入する前に体表から邪気を取り払おうと考えるのです。
しかしこのポイントで対処しないと、次の段階である発熱へと変わります。
これらは一般的にいえば、ウイルスの力を弱まらせるための、自然なカラダのしくみなのですが、その時々の症状にあわせる漢方では、対処するお薬も変わってきます。
具体的にいうと、ゾクゾクっと寒気がする、首筋や背中がこる、頭痛や筋肉の痛みがある、このような風邪の初期症状の段階で威力を発揮するのが、葛根湯です。
このタイミングでお湯に溶いて飲み、消化の良いお粥などを食べ、早く寝れば、じわっと汗をかき、翌日には身体もすっきりとし、『葛根湯』の効果を実感できるはずです。
これは『葛根湯』の発熱を助けるという働きと、ウイルスが弱ったことを察知すると、発汗作用によって熱を下げる、という二つの働きからくるもので、言い換えるとすでに汗をかいていたり、熱が上がってきてから飲んでも、正しい効果は出ないということに繋がってしまいます。
寒さからくるタイプの風邪に使用する
銀翹散エキス顆粒Aクラシエ 風邪は、大きく分けて二つのタイプがあるのです。
『葛根湯』のように、寒さからくるタイプの風邪(風寒邪=ふうかんじゃ)と、熱感が強いタイプの風邪(風熱邪=ふうねつじゃ)があります。
悪寒より発熱がひどい、のどが痛い、口が渇き、冷たいものを飲みたがる、このような症状の風邪タイプには、『葛根湯』は効果が表れません。
そもそも風邪のタイプが違うので、残念ですが治るはずがないものなのです。
ちなみに、こういった熱タイプの風邪の代表的な漢方薬に『銀翹散』(ぎんぎょうさん)がありますが、漢方薬局や一般の薬局では取り扱っているものの、この漢方は保険適用外なので、病院などでは処方できないのが現状となっています。
まとめ

葛根湯の効果は風邪の症状によって違ってくるようですね。
嘘というわけでもありませんが、その時の症状によっては葛根湯ではなく他の薬のほうが効果があるかもしれません。
わからないときにはとにかく病院へ行くというほうが安心かもしれませんね。
葛根湯ですか、名前は聞いたことがありますが 飲んだ事はありません。にがいのかな?名前を見ても体に効きそうな名前ですね。利用したいです。
葛根湯は漢方薬の一種なんでしょうか?テレビCMで耳にします。風邪の初期症状に効くのですね。ドラッグストアで購入できるのかな!?
お湯に溶かして飲むものが体を温めるので良いのでしょうね。お湯を飲むのは体に良さそう。今の寒い時期に冷たい食べ物や飲み物を続けたら、腸に良くないでしょね。
色んな成分が入っているのですね、葛根湯は耳にしただけで 味を知りません。熱が高くなったら、病院の処方してくれるお薬も必要なのですね。