雨や気圧の変化によって腰痛や頭痛がひどくなる方は少なくありません。
頭痛は、憂鬱になることがあり、腰痛は運動機能に影響を与える事があり、一般的に雨や気圧の変化によることがひとつの要因ではないかと言われています。
本当にそうなのか、或いは慢性的なものなのか天候との関係を見ていきましょう!
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「気圧と頭痛」医学的な因果関係は?

気温、気圧、湿度といった天候の変化は体調にさまざまな影響を与えます。
医学的にはまだ不明な点も多いのですが、知っていると注意できるため有益な情報です。
一般の診療でよく耳にする話は、
- 雨が降ると腰が痛くなる
- 今日は寒いから関節が痛む
- 3月はいつも頭痛がひどい
など聞きます。
確かにそのような声を聞く時は、寒冷前線が通過することがあり、その通過とともに風向きが変わったり突風が吹いたり、気温や気圧が急激に変化しています。
多くの方が訴えるので、いろいろと調べてみると、それを裏付ける諸説がありました。
- 気温が下がると末梢の血管が収縮するので血流が悪くなる
- 血流が悪くなると筋肉痛がひどくなる
という説明ができます。
また、急な雨では気圧が下がりますが、『これが関節痛や頭痛の原因となる』という根拠もあります。
このように、
- 気温
- 気圧
- 湿度
といった天候の変化が体調にさまざまな影響を与えるのです。
痛みに最も影響するのは『気圧の低下』
ウェザーニューズという会社が、平成24(2012)年に実施した調査を紹介します。
通常、雨が降る前に気圧が下がります。
【2012年】ウエザーニュース調査

1時間に気圧が1ヘクトパスカル低下した時に、そこに住む人に体調の変化について
尋ねました。
この調査は、携帯電話を利用した調査で3,524人(男性47%・女性53%)の有効回答結果をまとめたものです。
体調に変化があった その症状は?
その結果、何らかの体調変化があったとの回答が64%あり、そのうち
- だるさを訴えていた人 42%
- 頭痛 24%
- 関節痛 13%
でした。
男性女性どちらが影響を受けやすい?
そして、男女別では、『特になし』との回答が
- 男性 49%
- 女性 25%
これを見る限りでは、男性よりも女性の方が、気圧の変化に影響を受けやすい傾向ににあることがわかります。
そして、女性の2人に1人が『だるさ』を感じ、3人に1人が『頭痛』を感じているようです。
特になしと回答した男性のうち60代男性が59%と高く、性別・年代別を問わず、気圧の変化に強いという傾向がありました。
40代の女性が気圧の変化が体調に影響を受けやすいという傾向がでています。
年代別に見た症状は?
- 頭痛 30代
- だるさは 20代
- 関節痛 60歳以上
の人に多い傾向がありました。
頭痛と答えた人で50代60代が10%以下に対して、10代から20代が20%という結果がありました。
だるいと答えた人で50代60代が30%前後に対して、10代20代が40%前後ということで、若年者層にだるさの傾向が強いことがわかりました。
そして、女性がだるさを感じる割合で、10代が44%と一番低く、その他の年代はそれ以上の回答になっていました。
関節痛に関しての女性の回答は、60代女性が22%と多い傾向にありました。
さらに性別を加味すると、
40代女性では77%で何らかの症状を訴えて、約半数の人がだるいと回答していました。
気圧低下による気分の変化
49%の人が「気分が普通ではない」と答え、そのほとんどは
- 気分が良くない
- あまり良くない
とのことでした。
男性女性で見てくると『普通以外』に答えた男性が42%、女性が55%となり、女性の方が気分が変わりやすいという結果が伺えました。
さらに年代別の傾向として、20代から60代の各世代で女性が高い傾向でしたが、10代では男性が42%・女性が36%とわずかいに男性が上回っていることがわかりました。
そして、40代の女性が『普通以外』と回答した割合が最も高く58%というものでした。
低気圧や雨になると『うつ状態になる』という話を聞くこともありますが、この調査結果も同様の傾向でした。
医療における調査でも、同様の傾向が報告されています。
動物実験では、気温や気圧が低下することで痛みに対して敏感になることが分かりました。
気圧低下エリア、2人に1人は雨を観測
雨と気圧と体調の関係について調べるため、気圧が1時間に1hPa低下した際、そのエリアの方に強力をお願いして、体調や気分の変化と過去1時間に天気がどのように変化したのかを報告してもらいました。
その結果、
- 雨が降り出した 50%
- 変わらない 38%
- 雲が増えた 6%
となり、気圧が下がったエリアでは、雨が降り出したところが多くなりました。
今回の発表は、以上のような天気の変化を前提としてまとめています。
リハビリ中の患者さんは?
また、リハビリテーションに通院する患者さんを対象にした調査では、
- 気圧
- 気圧の変化量
- 気温
- 気温の変化量
といった4つの因子のうち、痛みに最も大きな影響を与えているのが、気圧が低下することでした。
警察や医療関係者にはよく知られた話ですが、冬場は変死者が増えます。
そのため、冬場の宿直は『忙しい』『たいへん』などと言い伝えられているようです。
変死者が増える冬が怖すぎる

気温が低いと血圧が上昇し、血管が収縮します。
ですから、心筋梗塞などの虚血性心疾患による死亡は、冬に多いのです。
脳出血の発症にも血圧の上昇が大きく関与しており、気温が低い冬に多いといわれています。
しかし、近年は暖房器具の普及でその傾向は顕著ではなくなりました。
もう少し身近な例として風邪があります。
冬に流行するインフルエンザは、原因となるウイルスが寒くて乾燥している(低温低湿度)環境を好むので罹患者が増加するのです。
【木の芽時】春の気分変化?

また、春頃には
- 気分が落ち込む
- うつ状態になる
人が多いです。
確かに、3月から5月に自殺者が多いという特徴とも一致します。
このように、多くの病気で、その発生状況や経過が気候に関係しているのです。
天候と健康に関する医学的な根拠は?

気温や気圧の変化について医学的に分かっていることがいくつかあります。
人間の体内では、外部の環境が変わっても、体調を一定に保とうとする働き『ホメオスタシス』があります。
- 気温
- 気圧
- 湿度
が少々変化しても、体の内部に影響が生じないように調節されているのです。
ところが、その変化があまりに大きかったり、あるいは加齢によって調節機能が低下するとバランスが崩れます。
自律神経の異常
- 気温や気圧の急激な変化が起こると、交感神経や副交感神経のバランスが崩れ、その結果、痛みなどが悪化します。
- 気圧が低下すると副交感神経の緊張が亢進して、いわゆる元気がない状態になるという説もあります。
気圧の低下による体液のバランス障害
気圧が低下すると、体がむくむと考えられていますが、これは体内の水分の移動が円滑に行われていないことを示します。
炎症反応の悪化
気圧が低下することで組織内の炎症反応が強くなると考えられ、リウマチなどの痛みが悪化するとも考えられています。
このように、気象と体調についての研究が進められていますが、未知のことが多いのが現状です。
天気予報は事故・健康の予防に

先日、テレビを観ていると、天気図とともに天気予報が伝えられ、その後、『足腰の痛みがある人は気を付けて』というコメントがありました。
このように、天気予報を利用して体調の変化について注意を促しているのです。
もちろん万人に該当するわけではありませんから、『参考にしてください』ということでしょう。
ですが、これはとても役立つ情報です。
- 低気圧によって多くの人が体調を崩せば、外出を控える人が増えるかもしれません。
- 体調が悪くなると集中力が低下するので、事故が起きやすい環境になるかもしれません。
- 季節によっては、自殺しようとする人が増えることが予想されます。
これらの情報から、事故や自殺などの予防に向けた体制を整えることは、社会安全の観点から重要なことです。
あなたは毎日天気予報を見て、次の日の業務状況を予想してみてはいかがですか。
ま と め

人間は、季節の変わり目や気候の変化に過敏のようです。
確かに頭痛や腰痛は、梅雨時の風物詩のごとく雨や気圧の変化に敏感に反応しているようです。
雨の日に腰を揉み腰痛を和らげ、気圧の変化にこめかみを押さえて頭痛を和らげている姿を目にします。
ジメジメして身体に錆がたまっているようだ、早く晴れてくれないかななどとも聞きます。
人間の身体は見た目以上に精密にできているようです。
頭痛・腰痛の症状に気圧の変化から来る雨は大敵のようです。
健康には、十分に留意しましよう。
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