イビキをほうっておくと重大な病気になる可能性があります。
本人は鼻が悪いんだとか疲れているんだなどと言って、まわりもそうなんだと、変な納得をしてしまい、意外と軽視しているようです。
ところがイビキには、大きな落とし穴があるんです。
イビキから発症する病気の怖さを改めて考えてみたいと思います。
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いびきで心臓発作が〇〇倍!?

50代女性Hさん:『寝室を別にしていたら…』
『夫のイビキがあまりにひどいので、寝室を別にしていたんです。
ある夜、お酒を飲んで帰宅した夫は、そのまま自分の寝室でガーガーとイビキをかいて寝てしまいました。
朝になっても起きてこないので部屋に様子を見に行きました。
返事がないので、おかしいなと思って部屋をのぞくと、意識を失っていたのです。
慌てて救急車を呼んで病院で処置をしてもらったところ、脳卒中を起こす一歩手前でした。
確かに夫は睡眠時無呼吸症候群の気はありました。
でも所詮はイビキだからと簡単に考えてしまっていた。こんな重大な病気につながっていたとは思ってもいませんでした』(50代女性)
イビキと睡眠時無呼吸症候群
ひどいイビキを伴う『睡眠時無呼吸症候群』(SAS)は、単なる騒音ではなく重病を伝えるサイン、いわば身体の赤信号でもあるのです。
SASにより呼吸が止まれば、脳や身体は酸欠状態に陥り、全身に十分な酸素が送られません。
そのため睡眠の質が悪化し、昼間に強烈な眠気が起こります。
放置しておくと突然死や循環器系の疾患など、命に関わる病気をもたらすのです。
突然死の恐怖?
現在日本のイビキ人口は2000万人もいるとされ、その内200万人がSASと推計されていますが、予備軍まで合わせると数はもっと増えてきます。
もし、こんな症状があったらSASの可能性があるので、要注意です。
専門家は、寝ている間や朝起きた時や起きている時のSAS自己診断材料として次のような項目チェックを進めています。
寝ている間
- いびきをかく
- いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
- 呼吸が止まる
- 呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
- むせる
- 何度も目が覚める(お手洗いに起きる)
- 寝汗をかく
朝起きたとき
- 朝起きたとき頭が痛い。
- よく眠れた感じがせず、眠りが浅い。
- 喉が痛く、口の渇きがひどい。
- 寝ている途中で目が覚めることが多い。
- 夜中にトイレによく行く。
起きているとき
- 強い眠気がある
- だるさ、倦怠感がある
- 集中力が続かない
- いつも疲労感がある
自覚症状の感じ方や程度には個人差がありますから、可能であれば寝ている間のことについてぜひご家族やパートナーにきいてみると良いでしょう。
- ちょっと疲れているだけ
- いつものこと
で終わらせず、日常生活を振り返ってみることが大切なのです。
SASで一番恐ろしいのは『突然死』。
SASの場合、そうでない人と比べて、夜間の心臓発作のリスクが2・6倍にまで跳ね上がるという報告もあります。
『私たちが正常な呼吸をしているとき、血中酸素濃度は96%〜100%に保たれています。
しかし、睡眠時に頻繁に無呼吸を起こすSASの場合、血中酸素濃度はなんと60%にまで落ち込みます。
これはいきなり8000mのエベレスト山頂に登ったようなものです。
SASの人は、それくらいの低酸素状態が一晩に何十回も起こっているわけですから、当然、突然死の危険性も高まります』
と専門家も語っているように、睡眠時の無呼吸でそのまま死に至ることはなくとも、SASが引き金となり深刻な病気を誘発する可能性があります。
動脈硬化性疾患の発症を促進

新橋スリープ・メンタルクリニック院長の佐藤幹氏が語る。
『SASにより低酸素状態が慢性的に夜中続くことで、
- 心筋梗塞
- 脳血管疾患
といった動脈硬化性疾患の発症を促進させます。
また動脈硬化が基盤にある場合には、呼吸再開時に心臓が頻回に動き、それに伴って不整脈を来すと、急性の心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります』
【SAS】50歳以上では男女比は変わらない
SASは肥満の人に限ったことではないのです。
痩せ形の人でもSASになることがあります。
骨格的に顎が小さい人は、もともと喉が狭いためイビキをかきやすいのです。
また70代以上の高齢者の場合は、加齢に伴い脳から呼吸をしなさいという命令が上手くいかず、痩せているにもかかわらず、無呼吸を誘発してしまうケースがあります。
男性に多いと思われがちなSASですが、実は女性も少なくありません。
日本人男性の9%、女性の3%がSASと推定されていますが、50歳以上では男女比がほぼ同じになります。
理由は閉経による女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンには、呼吸中枢を刺激する作用がありますが、更年期世代はそれが減少するので、イビキをかきやすくなるのです。
SASと生活習慣病の関係性

さらに近年、SASは高血圧などの生活習慣病とも深い関係があることが明らかになってきました。
SASになると、呼吸が止まったり再開したりを繰り返す無呼吸状態が起こり、血液中の酸素濃度が下がります。
また、交感神経が刺激されることによって、本来下がるはずの血圧も同時に上昇します。
この状態が続くと動脈硬化が進行し、
- 心筋梗塞
- 脳卒中
の危険性が増すと言われています。
SASの場合、脳卒中のリスクがなんと普通の人の4倍にもなるというのです。
さらにヤバいことにも

糖尿病へのリスクの高まり
無呼吸による睡眠不足が原因で、インスリンの働きが低下するという研究結果が続々と報告されています。
糖尿病患者のうち実に72%にSASが見つかったというデータもあります。
糖尿病の薬を飲んでいるのによくならない人がいますが、睡眠時の無呼吸が関係しているかもしれません
生活習慣病症状の悪化
糖尿病、高血圧、高脂血症の生活習慣病にSASが加わることで、さらに症状が悪化する可能性があります。
よく血管年齢を若く保ちましょうといった言葉を耳にしますが、SASは血管が老化する原因となります。
無呼吸になると身体の酸素濃度が一時的に下がりますが、それを元に戻そうと急激に酸素を取り込むことで酸化ストレス(生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れること)が発生し、動脈硬化が進むのです
長いスパンでの身体的悪影響
しかも恐ろしいのはそれが10年〜20年という長いスパンで身体を蝕んでいくことです。
病気になった後で『あの時イビキ治療をしておけばよかった』と思っても、もう遅いです。
イビキを伴う無呼吸は、重大な病気の危険性をはらんでいます。
だからこそイビキを治療することで、健康寿命を延ばすことができるのです。



ま と め

イビキって本当に怖いんですね。
長く放置すると徐々に蝕まれて、しまいには病気になり取り返しのつかない状態になってしまうようです。
年齢を重ね生活習慣病に脅かされ、イビキによって状況が悪化すると言うことのようです。
重大な病気になる前に、イビキの治療をすることで健康寿命をのばすことができるのです。
イビキなどと軽視しないで、専門医に相談するなど早めの治療をおすすめします。



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