関節リウマチは早期発見することで、症状が抑えられる「寛解」という状態に持っていきやすいのですが、初期症状が風邪の症状と似ているため、放置していて『あれ、なんか調子おかしい・・・』『ちょっと違うぞ』ということになりがちです。
関節リュウマチの原因や症状を知って、早期に対応をしていってください。
ここでは、関節リウマチの原因をまとめ、こんな症状があったら注意したい点についてお伝えします。
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関節リウマチの割合は?患者数と年齢層から考えるリスク

関節リウマチは、神経痛と混同されてしまうことがよくあり、加齢による関節の痛みと思う方も多いようです。
しかし,関節リウマチを発症する年代は40代が最も多く、その次が50代、そして30代となっています。
早い方で、20代から発病することもあります。
また、関節リウマチの特徴は、比較的女性に多く、男女比は、1対4と、圧倒的に女性発症率が多いことを示しています。
最近の傾向として、高齢男性にも増加してきています。
理由は、いまだにはっきりとしていませんが、免疫や女性ホルモンが関係していると考えられています。
では、関節リウマチの気になる患者数は?
推定患者数は70万~100万人ともいわれ、高齢化に伴い増加の傾向にあるといわれています。
この病気は、育児や家事、仕事や介護などで忙しいライフステージを迎えた女性に多い為、病気の不安だけでなく、生活が不自由になるストレスや悩みなども抱えてしまいます。
命を落とす危険性はそれほどありませんが、人生が変わってしまうほどの深刻な病気なのです。
関節リウマチの症状3つのポイント

初期症状は風邪っぽい?
関節リウマチと医療機関で正しく診断されるには、本人がいち早く症状に気が付くことが必要です。
そこで、関節リウマチの初期症状について知っておきましょう。
初めは微熱が起こり、倦怠感が続く症状があります。
しかし、これだけで関節リウマチを疑う方は少ないですよね。
なんとなく体調が悪い症状は、風邪をひいたときにも似ている為、風邪薬を飲んで取り合えず対処してしまう方もいるようです。
関節リウマチは、全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れが伴う病気。
生活に支障がでるほど、症状がはっきりしてくるまで、放置してしまう方もいるようです。
関節リウマチを発症しやすい年代の女性は、忙しい生活の中ついつい体調管理も後回しになってしまいますよね。
風邪のような症状がいつまでも続くときは、必ず医療機関で診察を受けましょう。
典型的症状がコレ
関節リウマチの典型的な症状をご紹介しましょう。
はじめは、微熱や倦怠感などの症状ですが、そのうちに手首や手指に炎症が広がり、体の左右対称に関節症状が起こる傾向があります。
特徴的な症状として、
- 朝起きた時
指の関節がこわばる症状が1時間以上続くことがあります。
- 長時間関節を動かさない時
そのままこわばってしまい思うように体が動かせなくなることもあります。
- 関節の症状は天気に左右される
雨の日や気温が低いときに関節がこわばりやすくなる傾向があります。
関節リウマチが起こりやすいのは、手の関節で、第2、第3関節が特に多く、患者さんのほとんどが経験しています。
注意すべき症状
関節の痛みや腫れが主な症状ですが、それ以外にも注意したいことがあります。
関節リウマチは、
- 全身の結合組織や血管にも炎症が起こる為、関節以外では、臓器に症状がおこる場合もあります。
- リウマチ結節と呼ばれる症状は、骨が突出する部位にできやすく、一見こぶのように見えるもの。
- 感染しないかぎり痛みはありませんが、炎症が引くと同時に、こぶのサイズも小さくなっていきます。
また、間質性肺炎と呼ばれる症状は、肺の一部が線維化し呼吸困難になる症状です。
多くの患者さんが経験する症状の一つです。
また食欲不振も関節リウマチの特徴的な症状の一つ。
あらゆる体の異変が起こる為、気になる場合はすぐに病院で検査をしましょう。なかには重症化してしまう深刻な症状もあります。
関節リウマチってどんな病気

自己免疫疾患とは?
人間の体には免疫機能と呼ばれる働きがあり、外部の刺激や異物から体を守る役割があります。
何かしらの原因により、免疫系に異常が起こると自分自信の細胞や組織を異物と判断し、過剰な反応を起こして攻撃をしてきます。
自己免疫疾患は、大きく分けると全身性自己免疫疾患と、一部の臓器だけが攻撃される長期特異的疾患があります。
関節リウマチは、全身性自己免疫性疾患の一つ。
ウイルスや細菌、がん細胞などの有害なものは、健康な場合は抗原を正しく区別するため体から排除されていきます。
アレルギー体質で例えると、花粉や特定の食べ物が抗原となり、体内に入ると蕁麻疹や鼻水、咳などとった症状が出るのです。
自己免疫疾患は、生活習慣やストレス改善など、あらゆる点に注意することが必要です。
自己免疫疾患は、男性より女性に多く見られ、その理由として女性ホルモンと妊娠・出産が関係していると言われています。
滑膜とは?
あまり聞きなれい言葉の滑膜(かつまく)。
これは、体の関節を包む働きを持つ膜の事。
滑膜は、関節液を分泌することで体の関節をスムーズに動かし、さらに関節軟骨に栄養を与える大切な働きがあります。
この栄養は滑膜が、血液から吸収したもので、関節液を通して関節軟骨へと送られていきます。
この滑膜に、異常が起きるのが関節リウマチです。
滑膜が炎症を起こし、増殖することで軟骨や骨の組織がダメージを受けてしまいます。
その結果、関節が変形し、体を動かすのが大変になってしまうのです。
滑膜の異常は、腫瘍性の変化による滑膜骨軟骨腫症や、滑膜の炎症により関節液が過剰に増加し、関節付近が袋のように膨らんでしまう滑膜嚢胞(かつまくのうほう)と呼ばれる疾患があります。
生活にも支障をきたすため、関節の異常は早く発見することが大切ですね。
関節リウマチの末路が恐い

関節リウマチは早めに治療を開始することが大切です。
関節痛と勘違いしたり、治療が遅れてしまうと症状が進行してしまい、関節が破壊され、筋が委縮して関節の機能を失ってしまう場合があります。
また、関節リウマチの主な症状とは違う血管炎などが原因となり、とても深刻な臓器障害を起こす場合もあります。
これを、悪性関節リウマチといい、『難病指定』されています。
悪性関節リウマチの症状は、関節痛以外に
- 38度以上の発熱
- 筋痛
- 筋力低下
- 胸膜炎
- 皮膚の潰瘍
- 壊死
- 紫斑
などがあり、さらに臓器障害では
- 肺繊維症
- 心筋炎
などの深刻な病気にも進む可能性があります。
悪性関節リウマチは、早期発見、早期治療をすると症状の進行をストップさせられるため、比較的良い状態を維持できます。
このように関節リウマチも症状によっては悪性のものがありますので早めの対処が必要ですね。
関節リウマチを引き起こすと考えられる6つの原因

関節リウマチと女性ホルモンの関係
関節リウマチの患者は女性が多いことが特徴ですが、これは病気の原因となるのが女性ホルモンと関係している為といわれています。
女性の体は年齢とともにホルモンの分泌量が減少していきます。
女性ホルモンは自己抗体の働きや、免疫機能にとても関係している為、関節リウマチが男性よりも女性に多い原因と考えられています。
女性ホルモンのエストロゲンとプロラクチンには免疫反応を促す働きがあり、関節リウマチとの関連性があるとされています。
患者さんの年代では40代女性がとても多いのですが、月経がある年代でなかには産後に授乳をしていると症状が悪化する場合もあります。
女性には、乳腺刺激ホルモンや卵胞ホルモンなどは自己免疫反応を高める働きがあり、妊娠中は、副腎皮質ステロイドホルモンが増え、免疫の働きが抑制されます。
出産後には、抑制が解除され、その反動で一時的に免疫の働きが高まるため、自己免疫疾患が起こりやすくなることが知られています。
女性には、自己免疫の病気にかかる方多いのは、妊娠や出産により免疫機能と関係していることも理由の一つといわれています。
関節リウマチは遺伝する?
関節リウマチは免疫との関連性があり、はっきりとした原因はいまだにわかってしませんが、何かしらの障害により免疫の働きが乱れてしまうことが要因になっています。
関節リウマチが遺伝するのでは?と不安になる方も多いようですが、現在の段階でははっきりとした関連性はわかっていません。
それよりもその人の自己免疫疾患が問題となり関節リウマチになることが多いようです。
患者さんには異常なたんぱく質の遺伝子があることが多く、これが免疫システムを狂わす原因であると考えられますが決して遺伝病ではありません。
家系によってリウマチになる方が多い場合もありますが、親がリウマチだと子供が必ず発病するものではありません。
しかし、遺伝との因果関係は別にしても、15歳未満の子供がかかる『若年性関節リウマチ』も考慮しておくことも必要かと思います。
若年性関節リウマチ
15歳未満の子供に発症し、成長の妨げになるような事態を招く、とても怖い病気が、若年性関節リウマチです。
そのために、15歳未満の子供の成長への影響や学校生活なども、考えた治療が必要になります。
全身性(スチル病)
突発的な高熱、関節の痛みやこわばり、リウマチ疹とよばれる米粒大の紅斑などの症状があり、発症年齢のピークは1~3歳と9~12歳と、いわれています。
多関節発症型
大人の関節リウマチとほぼ同様の症状で、発病後6ケ月以内に5つ以上の関節に炎症を起こすものです。
10歳以上の女子に多い。
単関節発症型
一か所の大きな関節に炎症を起こすタイプ。
股関節、ヒザ関節などで『虹彩炎』という目の症状を併発し、緑内障から失明にいたる場合もある。
歯周病と関節リウマチの関係
関節リウマチとは、全く関連性がないように見える歯周病ですが、この二つには意外なつながりがあります。
歯周病は30代の約80%が、かかっているとも言われる慢性疾患の一つです。
口腔内の症状だけでなく、
- 虚血性心疾患
- 脳卒中
などの、全身の色々な疾患に影響を与えるといわれています。
最近特に注目されているのが、関節リウマチと歯周病との関連性です。
歯周病の治療を行うと、関節リウマチの腫れや痛みが軽減されるとことがはっきりとわかっています。
関節リウマチは、シトルリンというたんぱく質に反応することが分かり、そのたんぱく質が歯周ポケットから血液を通じ、関節滑液へ移動することが分かっています。
そのため二つは、全く関係がないようですが、歯周病を治療すると原因となる物質が減少する効果があるのです。
喫煙と関節リウマチの関係
喫煙は、皆さんご存じのように健康を害する原因と、いわれています。
関節リウマチの発病とも関連があり、患者さんが喫煙を続けてしまうと肺の合併症を引き起こす危険性があります。
タバコのニコチンは、血液の流れを悪くする働きがあり、関節痛などの症状を悪化させる原因です。
タバコには、ニコチン以外にもタールや一酸化炭素などの有害物質が含まれている為、喫煙習慣がある方は免疫機能に異常が出やすいとも言われています。
1日20本煙草を吸う人と、吸わない人を比較すると関節リウマチの発症は約2倍違うといわれています。
感染症で関節リウマチになる?
感染症になると、関節の奥に細菌が侵入し、関節リウマチの症状を引き起こしてしまいます。
深層部に入った細菌は、一般的な検査では見つかりにくい為、感染症を抑制することが根本的な関節リウマチの治療にもメリットになるといわれています。
また、関節リウマチの患者さんは治療の為に、抗リウマチ剤やステロイド、生物学的製剤を使用するため、免疫の働きが抑制され細菌やウイルスに対する抵抗力が減少してしまいます。
そのため感染症にもかかりやすく、さらに関節リウマチの症状が悪化する場合もあるのです。
関節リウマチが疑われる場合知っておくべき3つのこと

早期治療がポイント
関節リウマチは、関節の痛みだけが症状ではありません。
我慢できる程度の症状を長期間にわたり放置してしまうと、痛みの症状が悪化し、さらに関節の破壊が進んでしまいます。
関節リウマチを、早期発見して治療をする必要性があるのは、痛みの軽減だけでなくそのほかの合併症を予防する目的もあります。
今現在では、関節リウマチを完治させる確実な治療方法はありませんが、免疫異常を改善する薬なども使われ、適切な治療方法が行われています。
関節リウマチは、命にかかわる病気ではありませんが、放置してしまうと日常生活にも支障をきたしてしまいます。
関節の痛みや腫れが2週間以上続く場合はすぐに医療機関で診察を受けましょう。
風邪や疲労と誤解されやすいのですが、健康状態を把握するためにはまず医師と相談することが大切です。
関節リウマチは治る病気なの?
関節リウマチを完全に治す治療方法はありません。
治療の基本になるのが症状の進行を予防し、病気を悪化させないこと。
関節リウマチ治療方法は様々ですが、患者さんに適した薬を使う薬物療法をはじめ、関節に負担がかからないよう意識する生活指導、また関節を動かすリハビリなどが治療方法として行われています。
完治しないからといって治療を受けないと、さらに症状が悪化し合併症の危険性もさらに高くなります。
関節の機能が失われてしまった場合や薬の効果がない場合は、人工関節置換術などの手術を行う場合もありますが、早めの治療を受ければ体に負担が少なく効率的にできるのです。
関節リウマチは病院での治療と同時に自分でも日常生活の中で色々と改善の為に意識することが大切ですね。
リウマチの診断技術や治療
リウマチの治療方法は日々進歩しています。
- 基礎療法
- 法薬物療
- 手術療法
- 運動理学療法
の、4つの治療方法を組みあわせ、関節の痛みなどの辛い症状を軽減し、細胞の破壊をストップさせることができます。
最先端の治療方法として注目されているのが、以下のものです。
抗サイトカイン療法
これは、病態の中心になる抗体を結合たんぱく質でブロックする方法で、薬の投薬1週間~2週間で症状が劇的に改善することが分かっています。
関節リウマチは、初期段階で自覚するのが難しいのですが、現代では2010年に、新しく改定された分類基準により、早期診断しやすく改善されています。
- クラスⅠ 多少痛みはあるが日常生活は不自由なくできる
- クラスⅡ いくつかの関節は痛み動作は制限されるが自立で日常生活ができる
- クラスⅢ 仕事や日常生活がかなり困難になり、自分では限られたことしかできない
- クラスⅣ 自力で身の回りのことができなくなり、寝たきり、あるいは車イスに頼る
4つのクラスに分類され、このクラスを進行させないことが、治療の目標になるように、設定されているそうです。
治療薬も進歩していますので、とにかく早期発見することが必要です。
初期症状は、風邪のような微熱や倦怠感がありますので、体調不良が2週間以上続く場合は関節の痛みがなくてもまずは医療機関で診察を受けましょう。
ま と め

関節リウマチは、比較的高年齢者によくある病気と、思われていましたが、若年者にもその症状があるということは、すべての人に、発症の危険性があり、警報が出始めているということでしょう。
予防には、日常生活における生活環境の改善など、自分で行なうことができることがたくさんあります。
マスク、手洗い、うがいなど、普段からの『風邪予防』が、大切のようです。
関節リウマチに、かからないように予防対策をしっかりとすることが、健康管理となり、関節リウマチの予防にもなることと思います。
関節リウマチの女性と一緒に過ごしたことがあります。手の指や足の指の関節が曲がってしまって痛々そうでした。関節が痛むと不便そうですね。