膠原病と診断された人の一番の不安は『もう治らないの?』と、いうことではないでしょうか?
難病と言われ、原因不明と言われてきた膠原病ですが、今ではかなりのことがわかってきています。
なぜ膠原病になるのか?
ここでは、膠原病の特性、膠原病にかかる原因についてまとめ、本当に治らない病気なのか?
難病というハードルの高い響き、膠原病は治らないのではないかと不安にさせる名前です。
まずは特性や原因を知っていきましょう!
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そもそも膠原病ってどんなもの?

膠原病は、ひとつの病気ではなく、さまざまな病気を総称しています。
最も代表的なのが『関節リウマチ』でしょう。
その他には、多発性筋炎・全身硬化症・全身性エリテマトーデスなどがあります。
表面に表れる症状は違っていても、根底には共通する原因があります。
膠原病は、原因が不明の病気ということを言われますが、不明というよりは、いくつかの原因が重なって発病する病気です。
膠原病は、難病の一つで大変複雑な特徴がありますが、簡単に説明すると体内の血管と結合組織に炎症が起こる病気です。
体中どこでも起こる可能性があり、多臓器疾患を起こすことも特徴の一つです。
そもそも膠原病とは、アメリカの病理学者のクレンペラー氏が1942年に提唱した考え方です。
色々な臓器に病原が起こり、原因不明で亡くなる患者さんを観察した結果。
膠原繊維に、フィブリノイド変性と呼ばれる病変があることを発見しました。
これによる様々な病気をまとめて『膠原病』と名前が付けられています。
膠原病は、一つの病気を呼ぶものでなく総称であることを知っておくことが良いでしょう。
膠原病には、
- 全身性エリテマトーデス
- 関節リウマチ
- 全身性硬化症
- 多発性筋炎
などの病気がありますが、これらはすべて氷山の一角と考えられ、根本的な原因には、共通性があるという考え方もあるようです。
膠原繊維に、病変が起こる原因としては免疫異常も問題と考えられていますが、症状の表れ方はそれぞれの患者さんで、異なる点があるのも膠原病の特徴の一つです。
膠原病になると、炎症が長く続き、身体中で、その症状を起こすため、あらゆる角からの治療を行う必要があります。
『早期発見』することが、効率的な治療のメリットになります。
難病である膠原病は治らない病気なの?

膠原病に含まれている病気の多くは、『厚生労働省』が認める難病特定疾患として指定されています。
この手続は、国や地方自治体窓口で受けることができ、難病特定疾患として認定されると、指定した難病に限りですが、費用の一分負担免除が受けられます。
患者さんの、経済的負担が軽減される国の難病に対する支援制度があります。
膠原病は、全く原因不明の病で、すぐに命を落とす病気と誤解してはいけません。
最近、様々な研究が進められ、少しづつではありますが、その原因も解明されるようになっています。
難病といわれる理由は、一般の心臓病や腎臓病のように特定された臓器に起こる病気ではありません。
結合組織である血管や関節、皮膚などに炎症が起こる為、多臓器に障害ができる全身の病である事が、理由の一つです。
病気の症状は長く続き、一度安定したと思ったら再び症状が悪化するなど、良い時と悪い時を何度も繰り返す特徴もあります。
そして、膠原病が難病だといわれる理由には、特定できる原因がなく根本的な原因療法が、ないという点もあります。
発病するには様々な要因があり、膠原病と診断された方にとっては、精神的な不安も計り知れないものがありますよね。
しかし、近年では膠原病のそれぞれの病気に対しての治療方法も進んでいますので、難しい病気ではありますが、徐々に患者さんの負担も軽減される期待感があります。
膠原病に含まれる病気の特性

膠原病の病気の特性は、絶対に治らない病気ということでなく、完治するのが、大変難しいという点があります。
慢性疾患の一つで、病状が落ち着く『寛解(かんかい)』と病状が再度始まる『再燃(さいねん)』を繰り返す特性があります。
病状が落ち着いている時が『よい状態』と判断されていますが、悪い状態と良い状態を長期間繰り返す為、患者さんにとっては心身の負担になりがち病気なのです。
普通、病気になると臓器が特定できるのですが、膠原病は体中に起こる為、早期発見するのが難しいとも言われています。
軽症の症状をずっと抱えて数年後に、膠原病と診断される方も決して少なくはありません。
医療界では多臓器疾患という発想は膠原病まではあり得なかった考え方のようでした。
患者さんのなかには、腎不全でなくなる方や肺炎で亡くなる方など、それぞれの原因が異なるのです。
しかし、このような独立した病気も、膠原病には共通する要素があります。
この病気は、膠原繊維が何らかの原因により変性して、機能障害が起こると考えられています。
膠原繊維は、結合組織内にある線維性たんぱく質で、細胞同士を結合させる働きを持っています。
この膠原繊維が、変性する点が病気の特性でもあります。
症状から見た特性~3つの疾患要素とは~
膠原病には、様々な病気がありますが、3つの疾患要素が共通している点が特徴です。
症状から見た特性としては、
『リウマチ性疾患』
リウマチは、骨、関節、じん帯などの運動器官に痛みやこわばりをもたらすもので、自己免疫疾患が影響して、関節の痛みや腫れの原因となっています。
しかし、加齢により起こる変形性関節症は膠原病には含くまれません。
疾患要素は結合組織疾患
結合組織に、炎症や変性が起こり発症するもので、膠原病では、全身に炎症が起こりますので、関節だけでなく筋肉、血管にも症状があります。
自己免疫疾患
免疫という言葉はよく聞かれますが、私達の体は外部の細菌や異物から体を守る働きがあります。
この生体防御システムの『免疫』と呼ばれる機能は、異常が起こると自己の成分と、外部からの異物に認識ができなくなり、自分に向かって攻撃を始めてしまいます。
この自己免疫は膠原病で全身性自己免疫疾患と呼ばれ、臓器障害の原因となっています。
症状としては倦怠感や疲労感など全身にあらわれることもあります。
膠原病には、この3つの共通性があることを理解しておくと良いでしょう。
臓器障害が心配?結合組織疾患とは?
結合組織という言葉なあまり馴染みがない方も多いと思いますが、結合組織は、細胞同士を結合させて栄養を送ったり、不要なものを排除する働きがあります。
細胞の新陳代謝を行い、古いものから新しいものへと変える、大切な役目を持っているのです。
結合組織には、血管や神経があり体中に存在しています。
しかし、細胞の間にある結合組織がなんらかの原因で炎症を起こしてしまうと、様々な臓器に障害が起きてしまいます。
これが、結合組織疾患といい、膠原病に共通する3大要素の一つです。
膠原病ではあらゆる症状が、皮膚や筋肉、血管など全身あちこちにでる特徴があります。
欧米では、膠原病の場合『多発性結合組織疾患』と呼んでいます。
膠原病は3つの疾患が複雑に重なり合って起こる病気で、このような複雑なものは、膠原病以外にはないとも言われています。
それぞれの疾患に対する治療が進む中、膠原病は早期発見することが治療への第一歩です。
まずは、病気に対する知識を豊富に知っておくことも重要です。
難病として扱いが困難な膠原病ですが、近年では症状を軽減する治療方法も進歩しています。
【膠原病の原因】自己免疫疾患ってどんなもの?
体には免疫機能がありますが、この働きは外部からの細菌や異物などから体を守る働きの事です。
疲労が溜まっている時は、風邪をひきやすくなりますよね。
これは、体の免疫力が弱くなっている為なのです。
この免疫機能は『健康』な場合には、病原体に対して異常と察知し、自己の成分により排除しようする働きがあります。
しかし、何かしらの原因により免疫機能に異常が起きてしまうと、異物に対してでなく、自己に対して攻撃を始めてしまいます。
これが膠原病の共通点の一つである『自己免疫疾患』です。
この疾患が起こると、臓器のあちこちで異常を招きます。
膠原病の場合は、自分の細胞や成分を抗原と勘違いしてしまい、攻撃するためのリンパ球や抗体がつくられてしまいます。
この原因は、いまだに詳しいことが分かっていませんが、自己免疫疾患とは、人の臓器を移植した時に拒絶藩反応を起こす事に似ているといわれています。
自己免疫疾患は、
『特定の臓器』が、影響を受けるもの。
膠原病のように
『全身性自己免疫疾患』の、2種類に分けることができます。
免疫機能は、健康をつかさどる為の大切な働きがあり、膠原病の治療でも大変注目されている点です。
女性罹患率が圧倒的に多いのはなぜ?

膠原病の患者さんは、女性が多いことをご存じですか?
関節リウマチに関しては、女性の患者さんが75%を占めるといわれています。
また、
・混合性結合組織病
女性患者が圧倒的に多く、比較的若年層が中心です。
・シェーグレン症候群
約90%が女性で、40歳代が発病のピークといわれています。
・全身性エリテマトーデス(SLE)
男女比1:9で、圧倒的に女性患者が多く、若年層(20~30歳代)に多くみられる。
なぜ、このように性別の偏りが出てしまうのか、はっきりとした原因はわかっていません。
しかし、現在の段階では女性ホルモンと自己免疫疾患が関係していると考えられています。
ここで注目したい点が、女性ホルモンの働きです。
女性ホルモンのエストロゲンは、自己抗体を作りやすい特徴があります。
妊娠や出産をする場合、女性の体では、感染防御のために男性よりも抗体を作りやすく、細胞性免疫が低下してしまうのです。
そのため、女性ホルモンの分泌は、膠原病にも何かしらの影響を与えると考られています。
実際には、出産をきっかけに膠原病を発病してしまう女性も少なくはありません。
女性ホルモンが、病気の原因になるのでなく、自己抗体を作りやすくしているという背景があります。
膠原病の真の原因は不明?

難病といわれている膠原病の真の原因は何か?。
いまだに解明できない点も多く、非常に難しい病気です。
親から子供に遺伝する病気ではありませんが、まったく無関係というワケでもないようです。
膠原病になりやすい人には、共通する体質があり、環境因子やホルモンの働きなどが、複雑に関係した時に発病しやすいと考えられています。
通常の遺伝病の場合には、一つの遺伝子の欠損や異常が原因になるのに対して、膠原病の場合は、様々な病気になりやすい疾患感受性遺伝子と呼ばれる遺伝子を持っていることが特徴になっています。
しかし、膠原病にかかりやすい遺伝子を持っているからと言って、必ず発病するわけではありません。
発病する引き金となるのは環境因子も大きく影響しているといえますね。
膠原病の発病や悪化に関係する環境要因には、薬や食生活、ストレスを始め、感染症や外科手術を受けウイルス感染することが原因にもなっています。
また、妊娠、出産による女性ホルモンの変化、紫外線を浴びて活性酸素が大量に発生してしまうことも、環境因子として注意が必要になります。
【免疫システムの異常】自分が攻撃される?
体の働きを支える大切な免疫システム。
正常に働かない時には、様々な異常を体で感じます。
膠原病の自己免疫疾患のように、本来体を守るはずの免疫システムが異常を起こすと、自分自身を異物と誤解して攻撃をします。
膠原病を引きおこす原因としても、大変気になる点ですよね。
免疫システムの異常は、まず外部から異物が入ってきた時に、マクロファージがだされて自己抗体を作りだします。
また、白血球のTリンパ球は、最初に指令を受け、Bリンパ球と連絡をしあい、リンパ球を増やす働きを行います。
このBリンパ球は、外部の敵に対する抗体を作り、正常な場合は、外部の敵を攻撃をします。
しかし、膠原病の場合は、自己抗体が外来抗原となっているため、自分が攻撃の対象になってしまう、異常な反応が起こってしまうのです。
この為、臓器障害を起こし、体の中の成分や細胞に対しては、攻撃が続き、異常反応は止まることがありません。
本来は、生体防御機構としての働きがある免疫システムですが、異常を起こすと様々な症状がおこり、体にはあちこちで異常が起こってしまいます。
膠原病になる『環境要因』
膠原病の原因は大変複雑ですが、その一つに環境要因と呼ばれるものがあります。
これは簡単にいうと、外部から加わる刺激の事です。
膠原病になりやすい体質や要因を持っている人が、ある特定の環境因子に影響された場合に、体の細胞や成分が変化を起こし免疫反応に異常がでると考えられています。
膠原病の発病のきっかけになる環境要因の一つが感染症です。
ウイルス感染がきっかけで、自己抗体が活発になり発病する場合があります。
そして、薬の服用も同様に、刺激物として体が認識すると、自己免疫が発生する可能性もあります。
・抗けいれん薬
・抗不整脈薬
などが、引き金となる場合があるのです。
また、膠原病を発病するきっかけとなるのが、
・外科手術
・外傷
を、負った時があります。
体に傷がつくと、破壊された組織を異物と誤認して抗体を作ってしまう場合があります。
女性の患者さんが多い膠原病ですが、環境要因には美容整形もあります。
施術で使用するパラフィンやシリコンも、体には異物になり免疫反応が異常に高くなってしまいます。
さらに、
- 紫外線での皮膚へのダメージ
- 妊娠、出産
によるホルモンバランスの変化なども環境要因の一つです。
臓器に障害が起こる原因は?

膠原病の特徴の一つが臓器障害です。
様々な種類の病気がありますが、特に臓器障害は共通する点の一つでは、膠原病と臓器障害の関係について理解してみましょう。
膠原病は、
免疫異常が基盤になっているといわれています。
臓器障害は、
免疫異常により炎症が起こることで発症することがあります。
自分の体を攻撃する自己抗体が増えると、組織の障害が始まります。
さらに、自己抗体と自己抗原が結合すると、免疫複合体となり炎症を起こす場合もあります。
Tリンパ球が、自己免疫反応の際に直接的に細胞を障害するなど、色々な要因により、膠原病の臓器障害が起こってしまうのです。
・腎炎
・関節炎
・血管炎
・筋炎
・脳症状
などをはじめとする臓器障害は、さらに誘因となる環境因子によっても引き起こされています。
・ウイルス
・細菌
・紫外線
・化学物質
などは、膠原病の体質を持っている方や素因のある場合に影響を与えやすいといわれています。
また、臓器障害の原因になるものが
・ハウスダスト
・花粉
などの外来抗原です。
アレルギー反応を起こす物質が侵入すると、体が炎症を起こし臓器障害を引き起こす原因にもなります。
ま と め

膠原病は、自己免疫疾患が大きな原因になっている病気であり、『自分の体が、自分を攻撃』するという難解な病気です。
少し前までは、原因不明の難病と言われていましたが、現在では、メカニズムも少しずつ解明されています。
膠原病は、複合的に症状がかさなり『治癒困難な病気』であり、早期発見が最大の治療効果につながります。
体調に異変を感じたときは、検査をする習慣をつけておいたほうがよさそうです。
膠原病て怖い病気ですね。自分を攻撃してしまうんですね。私も免疫力が低下しているせいなのか、ひじやひざなどの関節が痛みます。