毎年、寒くなると流行し始めるインフルエンザ。
日頃健康な若い人であっても、高熱や全身倦怠感などの症状はとても辛いものです。
体力の低下した高齢者がインフルエンザに感染すると、『症状が重篤なだけでなく、様々な合併症を起こすこと』もあります。
今回は、
- 高齢者がインフルエンザに感染すると、、
- インフルエンザに罹った時の高齢者のケア
- 高齢者インフルエンザ予防対策
の3点について紹介します。
お好きなところからどうぞ
高齢者のために知っておきたい『インフルエンザ』とは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる感染症です。
高熱や全身倦怠感、関節の痛み、咳や息苦しさなどの呼吸器症状が見られ、咳やくしゃみなどを介して人から人に感染していきます。
- うがいや手洗い、マスクの着用により感染のリスクを減らすこと
- 予防接種により発症のリスクと重症化を予防すること
が推奨されています。
高齢者は重症化しやすい

『インフルエンザに感染して重症化するのは高齢者や乳幼児、妊婦など』ですが、ほかに慢性的な呼吸器疾患や心疾患、糖尿病や慢性腎臓病を持つ人など、一般的に抵抗力が低下した人がかかりやすいとされています。
つまり、多くの要介護高齢者がこれに当たります。
なかにはインフルエンザの典型的な症状が出にくく、いつの間にか合併症を引き起こし、重症化する場合もあるため、『急激な体調変化を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。』
高齢者が気をつけたいインフルエンザの合併症には、肺炎・気管支炎など、主に気道の炎症によるものが挙げられます
肺炎は特に高齢者によく見られ、インフルエンザで弱った体に細菌などの病原によって肺炎を併発すると言われます。
高齢になればなるほど、肺炎で亡くなる確率が高くなります。
万一インフルエンザにかかってしまったら、こうした『合併症(二次感染)へ移行しないよう』注意が必要です。
高齢者が感染するとヤバい3つのこと

インフルエンザの発症とその症状には個人差があります。
体力や免疫力が低下している高齢者や糖尿病、心臓や呼吸器などに持病があると、症状が重篤化しやすく、様々な合併症を起こしやすくなります。
<肺炎(二次性細菌性肺炎)>
高齢者がインフルエンザに感染した際に、最も注意しなければならない合併症は『肺炎』です。
インフルエンザウイルス自体が肺炎を起こすことは稀ですが、インフルエンザに感染したことによって免疫力が低下し、ほかの細菌や常在菌による肺炎を起こしやすくなります。
<脱水>
高熱により体内の水分が失われると身体は『脱水状態』になります。
積極的に水分を摂ることが必要ですが、高齢者は脱水の症状を自覚にしくく、加えてトイレを気にして水分を控える傾向にあります。
また、高熱や倦怠感があると、スムーズに嚥下できず、水分でもむせてしまい誤嚥しやすくなります。
こうした誤嚥による肺炎のほか、尿量が減少することで、引きおこしやすくなる尿路感染症など、脱水はさまざまな合併症のリスクとなります。
<認知症状の悪化>
インフルエンザそのものが認知症を起こすことはありませんが、高熱や全身倦怠感などの症状は高齢者にとっては非常にストレスが大きく、理解力や判断力を混乱させることがあります。
多くは一時的な症状として回復しますが、徐々に進行していた認知症が入院治療をきっかけに急速に悪化することがあります。
うつさない・感染しない!高齢者インフルエンザ予防対策

高齢者がインフルエンザに感染しない、そして周囲にうつさないための対策をご紹介します。
『うがい・手洗い習慣を徹底する!』
インフルエンザの主な感染経路は、患者の咳やくしゃみによる飛沫感染です。
インフルエンザウイルスを含んだ小粒子である飛沫は、階段の手すりやドアノブなど、さまざまな場所に付着しています。
ウイルスが付着したものを触った手で、口や鼻を触ってしまうとインフルエンザに感染することに・・。
そのため帰宅時や外出時では、こまめなうがい・手洗いを行いましょう。
特に手洗いは、個人で出来るインフルエンザ予防対策でも最も有効とされています。
手首や指と指の間など、見落としがちな箇所も重点的に洗ってください。
糖尿病など基礎疾患がある高齢者は流行前に医師に相談
糖尿病や腎臓病といった基礎疾患がある場合、『インフルエンザが重症化する可能性』があります。
インフルエンザが流行する前に治療を受け、体調を安定させてください。
不安な点は必ず医師に相談しましょう。
咳エチケットで感染を広げない
体調がすぐれない場合は、無理をして外出することは控えましょう。
その上で咳やくしゃみが頻繁に出る場合は、周囲へ感染を広げないための対策を行うことも大切です。
厚生労働省が推奨する咳エチケットを参考に、体調の回復を待ちましょう。
咳エチケット4つの鉄則
- 咳・くしゃみをするときは、ティッシュなどで鼻と口を覆いましょう。
- 咳・くしゃみをするとき、周囲に人がいる場合は顔をそむけましょう。
- 痰や鼻水を含んだティッシュは、蓋付きのゴミ箱へ捨てましょう。
- 積極的にマスクを着用し、飛沫の拡散を防ぎましょう。
高齢者のケア3つの重要な習慣

■食事や水分、服薬はトロミをつける
インフルエンザにより高熱や倦怠感があると食欲も低下し、水分摂取も苦痛になります。
いつもどおりに嚥下できないことも多く、食事や水分を与えるときには注意が必要です。
固いものやお餅などの飲み込みにくいものだけでなく、口の中でバラバラになるもの(芋、ゆで卵、細かく刻んだ野菜など)や、口の中に貼りつきやすいもの(レタスなどの葉物の生野菜、海苔など)、酢の物などののどを刺激するものも誤嚥の原因となります。
食事や水分にトロミをつける市販のトロミ剤や服薬ゼリーを使用し、『誤嚥を予防しながら食事や水分、服薬を行いましょう。』
■快適で安全な環境を整える
インフルエンザの諸症状により、いつもどおりに動作や歩行ができなくなるため、ベッドからの起き上がりやトイレへの歩行に介助が必要となることもあります。
一時的な認知症状の低下から、夜中に一人で動き出すこともあるため、室内の足元は整理し、薄明かりをつけておき、転倒を予防しましょう。
また、過度の保温は脱水の悪化となるため、『適切な室温と湿度』に調整しましょう。
■高齢者のストレスを理解する
症状が重篤になると入院を余儀なくされることがあります。
食事や水分が摂取できず点滴治療を必要としたり、呼吸状態が悪化した場合は酸素吸入を必要とすることがあります。
こうした治療処置は高齢者にとって非常にストレスとなります。
また自宅で療養する場合も、インフルエンザの症状やいつもどおりに行動できないことは強いストレスとなります。
家族が心配に思うあまり、過剰に世話をしたり安静を強いたりすることはさらに混乱を悪化させます。
病気の症状や治療に伴うストレスを家族や介護者が軽減することは容易なことではありません。
認識や判断が混乱していることを理解し、注意が及ばない部分をサポートしながら、いつもどおりに接することも必要でしょう。
まとめ

今回は高齢者のインフルエンザについて紹介しました。
高齢者は体力や免疫力が低下していることから、『インフルエンザに感染しやすく、症状も重篤化しやすくなっています。』
様々な合併症は治療を長引かせ、高齢者の生活に大きな影響を及ぼします。
インフルエンザは予防接種により発症と重篤化のリスクを軽減できます。
持病がある人は、流行シーズンには必ず主治医に相談し、予防と健康管理に注意しましょう。
高齢者は抵抗力が弱いのでインフルエンザなどにかからないように、普段から生活空間に工夫をして気を付けていかないといけませんね。特に老人施設など。