SMAPのリーダー中居正広さんと俳優・今井雅之さんは1990年代からの仲であり、紆余曲折を経て親交が深まっていました。
そんな今井雅之さんは大腸がんで亡くなっており、仲の良かったSMAP中居正広さんへ『遺言』ともいえるメッセージを残しています。
がんで最期を迎えた今井雅之さんはいったい何を思っていたのでしょうか?
がんで最期を迎える過ごし方の一つに緩和ケアというものあるが、今井雅之さんの考え方との関係性はどんなものがあったのでしょうか。
今井雅之さんがSMAP中居正広さんへ残した遺言の内容と、最後の迎え方と緩和ケアの考え方についてお伝えしていきます。
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SMAP中居正広さんが語る今井雅之さんとの思い出と『がん』

出典:Naverまとめ
SMAPの中居正広さんがラジオ番組『中居正広のSome girl’SMAP」(ニッポン放送)で、大腸がんで亡くなった俳優・今井雅之さんとの思い出を語っていました。
二人は、1995年に放送されたドラマ『味いちもんめ』テレビ朝日系)で共演。
当初は確執していたほどの仲の悪さだったのですが、急速に親交がを深まり二人だけで呑みに行くほどの仲となっていました。
ラジオ番組中、中居さんは
会ったのは今年3月が最期。楽屋で1時間くらい話した。亡くなる2週間前も電話で話し、見舞いに行くことを約束していた。亡くなったことが、いまだに信じられない。本人も”納得していない”はず
と語り、今井さんから『食べられない、睡眠薬がないと眠られない』という闘病の苦しみを打ち明けられていたという。
中居さん自身は、のどの腫瘍の手術を行っていますね。
検査結果は『良性のポリープ』でしたが、医師からは『悪性なら喉頭がん』と言われ、最悪の場合、声帯をとることまで覚悟したという。
約1年半前からのどに違和感を覚えていた中居さんに対し、今井さんは『検査しろ』との遺言を残していたのです。
今井さんは、『大腸がん』のため東京都内の病院で急逝してしまいました。
享年54。
今井さんは、以前にも体調を崩し、医師から『余命3日』と宣告されていたくらいだったんです。
大腸がんの緊急手術を受けた後、抗がん剤治療を続けていました。
今井さんは東京都内で記者会見し、
主演の舞台を降板する。病状は末期がんのステージ4。抗がん剤治療を受けている。病には勝てなかった。2月の会見で腸閉塞とウソをついた。申し訳ない。あの時は絶対に舞台に立てると思っていた。役者が舞台を降りるのは本当に悔しい
と、いかにもか細い声で、痩せ細った頬に無念の涙を浮かべていたました。
大腸がんに罹る人と死ぬ人の割合がヤバい!恐るべきその数字とは?

国立がん研究センターは、2015年に国内で『がんと診断される人は98万2100人になる』という予想値を発表しました。
がん登録制度のスタートも追風となり、がんと診断される人は昨年より約10万人も増加しています。
部位別では
- 大腸がん13万5800人
- 肺がん13万3500人
- 胃がん13万3000人
- 前立腺がん9万8400人
- 乳がん8万9400人
となっています。
昨年の予測で3位だった大腸がんは、胃がんや肺がんを押さえて1位となりました。
また、昨年1位の胃がんが伸びなかったのは、衛生状態が改善され『ピロリ菌の感染率が下がった』という結果からであるとのことです。
さらに、がんによる死亡者数の予測は37万900人。
昨年の推計より約4000人の増加です。
部位別では、
- 肺がん7万7200人
- 大腸がん5万600人
- 胃がん4万9400人
- 膵臓がん3万2800人
- 肝臓がん2万8900人
となっている。
大腸がんに罹る人は13万5800人。
大腸がんで死ぬ人5万600人とは驚愕の事実ではないだろうか。
緩和ケアとはどんなもの?持っておくべき3つの考え方

緩和ケアというと、どのようなイメージを持つでしょうか。
あなたは
- もう治療手段がなくなった時に行うもの
- 死を迎えつつある患者に行うケア
と思われるのではないでしょうか?
こういった考え方は、実は世の中では非常に多いのが現状なのです。
しかし、これは大きな誤解なんです。
緩和ケアは、がんに伴う身心の苦痛・つらさに対する積極的な治療であり、『がんと診断されたら同時並行で始める』ことが必要な、発症早期からの治療なのです。
日本では2007年のがん対策基本法にうたわれた頃から、その取り組みが本格化したが、WHO(世界保健機関)はすでに2002年に『緩和ケアは疾患の発症早期から始まる』と定義していることからも説明ができます。
【延命効果】痛みを取り除く3つの段階と考え方

緩和ケアは単に苦痛を取り除くだけではない。
それどころか、患者を元気にし、延命をもたらす効果もあります。
痛みを我慢すると不眠や食欲不振に陥り、気持ちも沈んでしまいます。
するとなおさら痛みを強く感じ、手術、抗がん剤治療、放射線治療などができなくなったり、治療の効果が上がりにくくなったりするのが現状です。
逆に痛みを取れば体が楽になるだけでなく、治療の効果も上がるのです。
『病は気から』というのは実は本当なんですね。
日本人は痛みをぎりぎりまで我慢してしまう人が多いようだが、がん治療に関してはその習慣を捨て、小さな痛みも訴えて取り除いてもらい、楽に過ごすのが得策です。
痛みは積極的に取り除いた方が、メリットの方が多いんです。
痛みの取り方は、1980年代にWHOが定めた方法に基づいています。
痛みの程度に応じて鎮痛効果の弱い薬から強い薬へと、3段階で進めていく方法です。
- 1段階目は、市販薬にもあるアスピリン、アセトアミノフェンなどの非オピオイド鎮痛薬。
- 2段階目が、コデイン、トラマドールなどの弱オピオイド鎮痛薬。
- 3段階目が、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどの強オピオイド鎮痛薬
となっています。
モルヒネ中毒は起こらない

アメリカでこのような研究結果があります。
抗がん剤が効かなくなり、痛みを取るためにモルヒネを服用している再発・転移がんの患者を、モルヒネの使用量の差で4つのグループに分けて生存期間を調べました。
結果は、最もモルヒネを多く使用したグループがいちばん長生きしたのです。
副作用は4グループ間で差がなかった。
(出典:Bercovitch M, et al, Cancer 101, 1473-1477, 2004。)
モルヒネは『中毒になる』『廃人になる』などと考える人がいますが、実はこれは大きな誤解だったんです。
痛みのない人が使うと薬物依存になりやすいのは事実です。
しかし、痛みのある人が使っても決して薬物依存は起こらないのです。
また、
- モルヒネが次第に効かなくなって量が増える
- 大量に使うようになったら死期が近い
という誤解もしてはいないだろうか。
こうした誤解から服用量を抑えると、痛みを十分に取り除けません。
モルヒネが効かないと訴える人の中には、服用量が不足している場合があるのです。
十分に痛みがとれる量のモルヒネを使うことが延命効果をもたらすのは、先ほどの研究結果で明らかですよね。
【QOL】生活の質にも効果が

さらに、アメリカでトップレベルの病院である、マサチューセッツ総合病院で行われた臨床研究があります。
進行性非小細胞肺がんの患者を、抗がん剤治療だけを行うグループと、抗がん剤治療と並行して緩和ケアを行うグループに無作為に分けて治療した研究です。
すると、早期から緩和ケアを行ったグループでは抑うつや不安などが少なく、QOLが優れていました。
そればかりか、生存期間は前者が8.9か月、後者が11.6か月で、緩和ケアを併用したほうが延命効果があったのです。
この研究結果も、緩和ケアの有用性、優位性を物語るものといえます。
(出典:The New England Journal of Medicine 2010;363:733-742)
しかし、これだけの研究結果が示されても、モルヒネへの恐怖心や拒絶感は根深く、他の患者と比較して『モルヒネの量が増えたから死が近い』と思う人も中にはいます。
モルヒネの量は体重などに応じて決まるものではなく、個々の患者によって濃度や流用といった必要量が異なります。
いわば100%オーダーメイドの治療なのです。
過去の知識に惑わされず、早くから十分な量を使って痛みを抑え、QOLを高めて長生きしたいものですよね。
なぜ今井さんは緩和ケアを受けられなかったのか?

出典:トレンド最新ニュース【happy-life】 – So-net
緩和ケアやがん治療に関わる医師の中には、末期の大腸がんだった今井さんの急死に、違和感や疑問を抱く者が少なくありません。
違和感があるのは『進行がんの苦痛』について。
今井さんは記者会見で『夜中にこんな痛みと闘うのはつらい、モルヒネで殺してくれ』と発言していました。
痩せ細り、衰弱する悪液質の状態であることが一目瞭然。
かなり進行して、苦痛が強かったことが想像できました。
これをみて『適切な緩和ケアを受けているのか?』と感じる医師が多いのです。
夜中に眠れないくらいの痛みが生じる状態は切な緩和ケアを受けていないことをにおわせます。
がんの痛みで眠れないのは、必要な鎮痛薬が使われず、疼痛を緩和していないからではなかったか。
適切な鎮痛薬を用いれば、がんの痛みは確実に緩和されます。
緩和ケアは、がん治療中でも必要不可欠です。
少なくとも夜に眠れないくらいの痛みを、医師らが容認していたとすれば大問題ではないでしょうか。
モルヒネは命を縮める薬ではなく、苦痛を和らげる薬。
適切に使用すれば、確実に苦痛を和らげ、QOL(生活の質)を高めます。
メディアは、今井さんの発言は誤解であること、モルヒネは苦痛を和らげる効果があることを、明確に説明するべきだったのではないでしょうか。
『がんに名医はいない』と寄せている医師もいる。
医師の中には、
緩和ケアとは『がんであることを忘れられる時間をつくること。
緩和ケアは、痛みを取り除いたり、和らげたりすることだけではない。
体調が上向きになれば、 食欲が出て、活力を取り戻し、治療効果も上がる
このように緩和ケアの重要性を語っている人もいます。
がんと闘う人の心身の辛さは深刻なものがあります。
他人には推し量ることはできないものです。
盟友・中居さんに『検査しろ』とアドバイスした今井さん。
今井さんの死を通して学べることの一つは、『緩和ケアを受ける権利』なのかもしれませんね。
まとめ

あなたやあなたの大切な人は現在、健康でしょうか?
生活習慣の中にがんの原因となるものはないでしょうか?
がんにかかってしまったら、すぐに考えるのは『今後の自分』。
あなたやあなたの大切な人は自分の将来を一瞬で悟ることにもなるかもしれません。
もし、がんになってしまった時には、そっとその手助けをする、もしくはしてもらえる方法を必ず探してください。
今回のメディアの報道の影響で、『がんの痛みが緩和されないのは当然』という認識が世間に広まらないかどうかは少し心配になりますが、この記事を読んだあなたから周囲の人へ正しい知識を共有してあげてください。
それが『QOL』という生活の質を上げることにつながります。
大腸がんに掛かって亡くなる方は多いのですね。私もこの先 市の検診で大腸がん検診を子まめに受けておきたいと思います。
「味いちもんめ」というテレビで共演したのですか、大腸がんでお友達を亡くして 中居さんも寂しいでしょうね。早期発見してなんとか助かる道があれば良かったのですが…