1年8か月もの間、世間に一切漏れることなく闘病を続けてきた小林麻央さん。
そんな彼女を懸命に支えてきた、海老蔵さん。
そう、乳がんとの闘病だ。
小林麻央さんもかかった癌。
がんとはそもそもいったい何のか?
どんな病気でどんな症状がでるのか。
診断に用いる検査や治療法、癌にならないためにするべき予防法についてご紹介していきます。
乳がんについては、そのお薬や知っておくべき内容について詳しくお届けしていますので、こちらの記事もご覧ください。
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【乳がん】がんとはいったいどんな病気なのか

小林も産のように、乳房(乳腺)にできるがんを『乳がん』と言います。
現在、生涯に乳がんを罹患する日本人女性は8%、つまり12人に1人が罹患しています。
罹患率は年率約5%で上昇、過去30年で5倍に増加し、現在は年間7万人を超えていると思われます。
また、乳がんで亡くなる女性は、2013年に1万3000人を超え、1980年と比べて約3倍。
女性が罹患するがんの1位となっています。
ちなみに、死亡数では大腸がんが1位、乳がんは5位となっています。
極めて稀ですが、男性も乳がんに罹患することがあるんです。
日本人の乳がんは、世界的に見ると罹患率・死亡率ともに低いものの増加傾向にあり、罹患率・死亡率ともに減少傾向にある欧米諸国とは対照的です。
乳がん罹患率は30歳代から増加しはじめ、閉経後の40歳代後半から50歳代前半にピークをむかえ、その後は次第に減少します。
乳房は乳腺組織と脂肪組織からできていて、母乳(おっぱい)を作るところが乳腺です。
乳腺は15~25個の腺葉に分れ、各腺葉は多数の小葉に枝分かれしています。
ここで乳汁がつくられます。母乳は乳腺乳管を通り乳管洞に溜まり、乳頭から出ます。
乳がんの約90%は細い乳管上皮に発生し(腺管がん・乳管がん)、
- 浸潤がん
- 非浸潤がん
に分けられます。
浸潤がんとは、発生した組織層を越えて周囲の健康な組織内まで増殖するがんのことです。
浸潤がんはさらに、浸潤性乳管がんと特殊型に分けられ、2010年の統計では前者が全体の75.2%、後者が10.2%を占めます。
近年、非浸潤がんが増加しており、2010年の統計では乳がん全体の14.2%を占めます。
【乳がん】予想される10の原因

乳がんに離間する原因はいまだ明確には解明されていません。
しかし、いままで乳がんにかかった人の年齢や生活習慣などから、いくつかの傾向を指摘することができます。
- 妊娠・出産歴がない
- 初産年齢が高い
- 出産回数が少ない
- 授乳経験が少ない
- 初経年齢(月経が始まった年齢)が低い
- 閉経年齢が高い
- 飲酒
- 喫煙
- 閉経後の肥満(注:閉経前の乳がんは逆にリスクが低くなります)
- 血族(母親、姉妹)に乳がんになった人がいる
以上の項目が乳がんの危険因子をもっている人と言われていますが、このような背景をまったく認めない患者さんも多くいますので、危険因子を持っていない方も年1回の乳がん検診を受けることが、何よりのリスク回避です。
乳がんで起こる主な4つの症状

患者さんの訴えで多いものは
- しこり
- 痛み
- おっぱいがはる
- 乳首から分泌物が出る
といった4つの症状が多いのです。
ところで、乳房にできたしこりは、すべてがんなのでしょうか?
乳腺のしこりの約80%はがんではありません。
20〜30歳代の方に線維腺腫と呼ばれる良性のしこりを認めることがあります。
これは生理に伴って大きさが変化する場合が多く、しこりと生理の期間との関係に注意する必要があります。
言い換えると、月経に伴い周期性があるかどうかということです。
2cm以下だと自然に小さくなることがあります。
小さくなるのは主に閉経後となっています。
【勘違い!?】知っておくべき『乳腺症』とは
しこりには悪性のものと良性のものがありますが、『乳腺症』とよばれる変化も乳房を触るとしこりのように感じます。
乳房の線維化や小さな袋ができてきて、しこりとして触れたり、痛みがでることがあります。
乳房の線維化とは『硬くなる』ということであり、小さな袋というのは『嚢胞形成』などといったります。
大部分は乳腺の正常細胞が消えたり、増殖したり女性ホルモンのバランスが悪いことが関与しています。
正常細胞が消えたりすることを、退行と言ったりします。
この場合も乳がん検診を必ず!受けましょう。
乳腺症は病気と言うよりも正常状態から少し外れた良性の変化ですが、乳がんを合併している危険性はあります。
がんを疑われる場合は生検が必要であり、その変化を知るためには3ヶ月から半年ごとの検診をおすすめします。
いいですか?
必ず受けてくださいね。
【乳がん】主な10の診断・検査方法

1.現病歴の聴取
まずは既往歴や現在の病歴を聞きます。
- 昔どのような病気をしたか
- 家族にどのような病気の人がいるか
- 生理の状態は
- 妊娠・出産の状況は
- ホルモン剤の投与を受けたことがあるか
こんな内容について事細かに聴取していきます。
細かいかもしれませんが、これが意外と重要で、万が一治療しなけれエバならない状況といなった場合に、治療方針をも左右する内容だったりします。
2.診察
両側の乳房を診察し、脇の下、首の回りを触診、視診します。
3.乳房超音波検査(エコー検査)
乳房、脇の下、首の回りの皮膚の下にしこりや腫れたリンパ節がないかを調べます。
これは超音波を乳腺などの組織にあてて、その信号を画像としてモニターに映し出すものです。
4.マンモグラフィー(乳房専用撮影装置)
乳房のためのレントゲン検査で、両側の乳房の上から見た写真(頭尾方向)と横から見た写真(内外斜位方向)を、乳房を挟んで撮ります。
しこりや、小さな白い粒(微細石灰化)がないかを見ます。
この検査は、触ってもわからない小さな腫瘤や、しこりを作らない病変を映し出すのに有効です。
5.針生検
細い注射用の針を用いて行う場合と太い針を用いて行う場合があります。
これは乳房のしこりに針を刺して組織を取り顕微鏡で見る病理検査です。
6.CT検査・MRI検査
病変の広がりや転移の有無を調べます。
7.骨シンチ検査
骨転移の有無を調べます。
8.胸部レントゲン写真
肺転移の有無を調べます。
9.腹部超音波検査
肝転移の有無を調べます。
10.腫瘍マーカーの血中濃度測定
再発や転移の状況を見る指標となります。
乳がん主な6つの基準と4つの治療法

乳がんにもいろいろな状況があり、さまざまな治療法が選択されます。
充分な治療法の説明を聞いて選択する必要があります。
その際に考慮されるものは、
- 腫瘍の大きさ
- リンパ節転移の有無
- リンパ節転移の数
- 閉経前か閉経後か
- 腫瘍のホルモンリセプターの有無
- 病理学的な悪性度
となっており、主にこれらを基準として治療方針を決定していくのです。
手術療法
手術は、いわゆる『局所療法』です。
胸筋温存乳房切除術
大胸筋、小胸筋を温存して、乳腺のすべてを切除し、リンパ節を切除します。
乳房温存手術
現在はしこりの大きさが3cm以下のものを適応とするようになってきています。
乳腺の一部(1/4から1/3)を切除します。
ただし、部分切除であるためがんの遺残がある可能性があり術後に残存乳房に放射線治療を併用して乳房切除と同様の効果をあげま。
よほど進行すると胸筋合併乳房切除術を行う場合もあります。
いずれの手術もリンパ節の切除を施行し、リンパ節転移の有無を顕微鏡で見る病理検査を行います。
また、しこりに女性ホルモンの受容体が存在するかを検討します。
ここで言う受容体とは、『リセプター』といってホルモンを作用させるための受け皿のようなもののことです。
これらの有無により病気の進行を判定し、術後の治療方針を決定します。
現在、リンパ節の切除に関してはいろいろと検討されており、一番最初にがんが転移するリンパ節(センチネルリンパ節:見張りリンパ節)を見つけて、これを切除し、このリンパ節に転移がない場合は、リンパ節の切除を省略する方法が行われるようになってきています。
ホルモン療法
がん細胞に偽物のホルモン剤を結合させて、本物の女性ホルモンが作用しないようにしてがん細胞が増殖しないようにします。
女性ホルモン、黄体ホルモンと呼ばれるものが、思春期に乳管や腺房細胞を発達させて乳房を大きくします。
これは細胞を増殖させる作用があり、生理前に乳房が張って痛むのもこの作用によるものです。
このような増殖作用が、がん細胞の増殖に影響を与えます。
この作用を抑制するのがホルモン療法です。
女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を受け取ってホルモンを作用させるものを『リセプター』と言います。
乳がんの70〜80%がこのリセプターを持っており、女性ホルモンの作用を受けてがん細胞が増殖します。
この作用をおさえるのがホルモン療法です。閉経前か閉経後かで、ホルモン療法が異なります。
いずれの場合でも、ホルモンリセプターを持った乳がんの場合に最も使用されている薬はタモキシフェンです。
この薬を内服すると、いわゆる更年期障害の症状がでることがあります。
顔のほてり、おりものの変化、生理がある場合は生理不順などが見られます。
非情に珍しい副作用として、子宮体がんを来すことがあり、年1度以上の婦人科検診が必要です。
また、ときに血栓症をきたす命に直結してしまうような合併症を引き起こす場合があります。
化学療法:抗がん剤投与
術前に施行する場合と術後に施行する場合があります。
術後化学療法は補助療法です。
ほとんどの場合、再発を予防することを目的に行います。
補助療法を施行することで、再発率、死亡率が低下することが報告されています。
術前化学療法は、かなり進行した大きな乳がん、手術が適応にならない例に対し行われます。
さまざまな抗がん剤が使用されます。
主治医から充分な説明を聞いてから治療を受けましょう。
放射線治療
放射線はいわゆる『局所療法』です。
局所に存在するがんに対して行います。
乳房温存療法の場合は局所の再発をおさえる目的で乳房に放射線治療を行います。
【乳がんにならないための確認方法】7つの予防法を徹底しましょう

生活習慣の上で自制および制御可能なものとしては、肥満、食事性因子、アルコール飲用、運動などが重要です。
- 閉経後は脂肪組織が内因性エストロゲンを上昇させるので、太りすぎ、肥満にならないようにする。
- アルコール摂取をひかえる。
- 野菜、果物、豆類、穀物など食物繊維を多く含む食品の摂取を心がける。
- 動物性脂肪や蛋白の摂取をひかえる。
- 適度な運動をする。
- 喫煙をさける。
- 経口避妊薬の長期使用をさける。
また早期発見のための自己診断も重要です。
毎月、生理が終わって数日以内に(閉経後の生理のない方も)、日を決めて自己検診をしましょう。
鏡を見ながら
- 乳房の形や皮膚の変化がないか
- 左右に形の違いはないか
- おっぱいの皮膚にひきつれやくぼみ
- えくぼがないか
- 乳頭の位置が左右対称か
これらのことを両腕を万歳したり降ろしたりして、また鏡の前でお辞儀をして、乳房を揺らして観察します。
しこりがないかどうかは、横になったり、座ったままで、自分で乳房を触って確認しましょう。
指を交互に動かしたり、4本指を滑らすようにして、平手で乳房を触ります。
乳首から分泌するものがないか、乳頭の下をつまみ、マッサージをするようにして、分泌物を押し出すようにします。
毎月行って変化がないことを知ることが大事です。自己診断だと迷うことも多いので、おかしいなと思ったら検診を受けましょう。
まとめ

いかがでしたか?
今回は、湯名人である海老蔵さんの奥様である小林麻央さんが乳がんであることが判明したことを契機にこのような内容をご紹介してきましたが、乳がん検診への促しはここ10年ほどではさらに高まっているはずです。
あなたやあなたの大切な人も例外なく癌にかかります。
他人事と知らん顔をせず、改めて健康について見直してみてはいかがでしょうか?
そんなことを考えさせてくれたお二人には感謝しなければならないと思います。
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